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【実用時計として申し分なし!】シチズンの技術力が結集されたザ・シチズンを本音レビュー

“ザ・シチズン”は実用性と高級感をハイレベルに融合させたシチズンの基幹ラインで、シチズンの技術力をアピールするような贅を凝らしたモデルが目立つ。今回紹介するAQ4100-57Lは、シチズンが長年こだわって素材として使ってきたチタンをフィーチャーしたモデルで、シンプルな佇まいだが実力の高さを感じさせる仕上がりになっている。

ザ・シチズン
■Ref.AQ4100-57L。スーパーチタニウム(38.3mm径、12.2mm厚、デュラテクトプラチナ加工)。10気圧防水。クォーツ(光発電エコ・ドライブ、Cal.A060)。36万3000円

 サビや傷に強く、アレルギー反応も起こしにくい。さらに軽量とその特徴を挙げていくと、チタンは時計の外装素材として最適な素材といえるのだが、同時に加工が難しい素材でもある。時計の素材として使われ始めたのは1970年代からだが、当時は手がけることができるブランドも少なくて価格も高く、ポピュラーなものになってきたのは比較的最近のことだ。シチズンでは70年代当初からチタン素材の研究を続けてきており、現在はスーパーチタニウムという独自の技術を確立している。これはチタンに表面硬化技術(デュラテクト)を施すことで、ステンレスの5倍以上の表面硬度を実現し、同時にチタン独特のしっとりとした美しさを引き立てるというもの。さらにチタンのプレスや切削、研磨においても高い技術を誇っており、シチズンは世界の時計ブランドでもチタン素材への取り組みにおいて最も優れたブランドのひとつなのだ。

 AQ6100-57Lの外装を見ていても、加工技術の高さは十分伝わってくる。チタン素材はどちらかというと光沢の少ない素材なのだが、このモデルは全体にシャイニーな輝きを放っており、研磨技術が相当にハイレベルなことが感じられる。ブレスレットの中コマの光沢は出色で、このキラキラした輝きはかなりプレミアム感がある。デザインがシンプルなモデルだけに、全体を輝かせる方向でまとめた仕上げは、存在感アップの意味でもかなり効果的だと感じる。

 文字盤上はバーインデックスとドーフィン針の3針仕様で、文字盤表面にはそのほかにロゴとデイト表示。かなり抑制されたデザインで落ち着きを感じさせる。個人的には文字盤の濃紺はもう少し深みがあったほうが、ケースの光沢を引き立たせるのではないかと感じたが、渋みがあって色合いとしては悪くない。ラグ部分のフォルムなどはクラシカルな味わいがあり、長年使っていても飽きが来なそうだ。長期間使っても傷がつきにくいスーパーチタニウムは、こういうベーシックなデザインの時計だと大きな意味を持つだろう。風防ガラスには光の約99%を透過させることで反射を抑えるクラリティ・コーティング加工が施されており、視認性を高めている点も実用時計として頼もしい。

 ザ・シチズンは高級ラインだけあって、ムーヴメントはシチズンの自社製機械式か、年差±1秒もしくは年差±5秒を誇る年差クォーツのどちらかが採用されているが、AQ4100-57Lに搭載されているのは後者の年差±5秒。しかも定期的な電池交換が不要なエコ・ドライブで、実用時計としての完成度は高い。これで価格がもう一声抑えめだったらと思わないでもないが、この外装の質と昨今の新作時計相場を考え合わせると、30万円台という設定はまずまずのお値打ち感だろう。ぱっと見はおとなしい顔つきをしていながら、実は相当な実力を持った価値あるモデルだ。

【問い合わせ先】
シチズンお客様時計相談室 TEL.0120-78-4807
https://citizen.jp

 

構成◎堀内大輔(編集部)/文◎巽 英俊/写真◎編集部

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