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【意外と知らない時計知識番外編】機械式時計でよくあるトラブル、気を付けるべきポイントとは

 時計に関する様々な疑問を一問一答で紹介する本企画。前回に引き続き今回も番外編として、高級腕時計専門誌パワーウオッチで連載中の“腕時計のかかりつけ医”からお届けする。
 腕時計のかかりつけ医とは小誌の読者アンケートで寄せられた疑問を、日々時計の不具合と向き合う修理技術者に質問、解決する企画だ。

 前回はクォーツ時計によくありがちな三つの疑問について紹介したが、今回はその機械式時計版を取り上げる。

 

Q.磁気帯びをしないために、具体的に何に気をつけたら良いか
「最も注意したいのはスマートフォン(携帯電話)の“スピーカー”部分です。腕時計を着けた腕でスマートフォンを持つのは問題ありませんが、時計を5〜10cmまで近づけると磁気帯びする可能性が高まります。ほかにもイヤホンや磁気内蔵のアクセサリーにも注意が必要ですが、特に磁気が強いのは開口部にマグネットが付いたバッグ。密着時はなんとスマートフォンの4倍以上である約7万2000A/mもの磁気が発生します。磁気帯びしてしまうと、磁気を帯びたヒゲゼンマイ同士がくっつき、全長が短くなることで、1秒ごとに等しく刻まれていた全長の間隔が短くなり、時刻が早まる原因となります」

Q.日差±40秒以上遅れる・進んでしまう
「遅れ、進みに関してはまさに上で説明した磁気帯びが考えられます。進みがひどい場合はヒゲゼンマイの絡みということも考えられます。また機械汚れや油切れも、進みや遅れが発生する原因のひとつ。オーバーホールのタイミングでなくとも精度異常は発生するため、少しでも違和感を感じたら修理店に相談をしてください」

Q.急にゼンマイの巻き上げができなくなった
「理由としては油切れによる摩耗、サビ、経年劣化による破損があります。そのほかには振動、衝撃によるパーツの抜け落ちが考えられます。これらは時計を落下させてしまった際やぶつけてしまったときに生じることがあります。腕時計は扱いに慣れてくると立ったまま着脱してしまいがちですが、なるべく卓上で着脱することをおすすめします。万が一落下してしまっても時計に対するダメージが最小限に抑えられるためです」

 

文◎松本由紀(編集部)

 

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