2022年新作発表まで3日。動向が注目されるミルガウスの異変!?|ロレックス通信 No.139

 ロレックスの2022年新作モデルが発表される予定の、スイス・ジュネーブで開催される「Watches & Wonders Geneva」(ウォッチ&ワンダー ジュネーブ)も3日後(日本時間で3月30日)に迫った。さてどんな新作になるのやらという感じだが、例年だと年明け早々からSNS上ではその予想合戦が繰り広げられ大いに盛り上がる。しかし、それがなぜか今年はその盛り上がりがあまりみられない。

 いまや旧型のムーヴメントが搭載されているのはミルガウスとエアキングだけと、モデルチェンジの大方の予想がついているのと、両者ともロレックスの人気プロフェッショナルシリーズのなかでは人気が低めのモデルだということもあるのだろうか。加えて、ロレックス自体が高騰しすぎて、かなり遠い存在となってしまったことから、どうせ買えないという諦めもモードも大なり小なり影響しているのかもしれない。

 さて先週のロレックス通信では、そんな候補とされる二つのうち“エアキング”について取り上げた。そこで今回はミルガウスについて簡単におさらいさせていただく。

グリーンがかったサファイアクリスタル風防が採用された現行のミルガウス、Ref.116400GV。左が黒文字盤で右が2014年に加わったZブルー文字盤

 ミルガウスは、機械式腕時計の天敵のひとつ“磁気”に対抗するべく優れた耐磁性能に特化して開発されたいわゆる耐磁時計である。最初に開発されたのは1956年と歴史は古い。名前はフランス語で1000を表す“ミル”と磁束密度の単位“ガウス”を組み合わせた造語だ。

 ただ、当時はいまと違ってパソコンすら一般的ではない時代。スマホなんてもちろんない。その意味では時代的に特殊すぎたのだろう88年頃に生産終了する。それが2007年に復活(Ref.116400)を遂げた。そして意外にも今年で約15年と生産期間は長い。モデルチェンジ(または生産終了)が確実視されている背景にはこのことも大きい。

Ref.116400GVの黒文字盤タイプの2015年5月から直近3月25日までの実勢価格の推移を表したグラフ。11月から急激に上昇。2月4日を境に下落に転じていることがわかる

 実勢価格を見るとモデルチェンジを期待してか案の定2021年11月頃から急激に上昇した。ただ、22年2月4日の200万円(Zブルータイプは220万円台)をピークに一転下落に転じ、直近3月25日の調査では163万円(Zブルーは190万円台)と、30万円以上も安値相場が値下がりした。新作発表が1週間を切ったこのタイミングにおいてだ。これはかなり珍しいことだと思う。

 一方で、まったく下がらないミルガウスもある。それは17年にすでに生産終了しているグリーンがかっていない通常のサファイアクリスタル風防を採用する白文字盤タイプである。現在のUSED実勢価格は220万〜250万円と現行新品よりもかなり高い。ちなみに、15年に生産終了となった同じく黒文字盤は150〜160万円台。同じUSEDでも白との差は50万円以上もあるという驚きの状況だ。

【写真】ミルガウスの初代とセカンドモデル、そして白・黒文字盤もチェック!

 これについては当連載のNo.125で取り上げたが、世界的な白文字盤人気の影響によるものだ。もちろんロレックスに限ったことだが、特にスポーツ系となるとロレックスには白文字盤が極端に少ないことも拍車をかけた。その根底にあるのはデイトナの異常な白文字盤人気だと言われている。

 このようにミルガウスひとつとっても実際のところまったく予想がつかないというのが現在のロレックス市場なのである。

菊地 吉正 – KIKUCHI Yoshimasa

時計専門誌「パワーウオッチ」を筆頭に「ロービート」、「タイムギア」などの時計雑誌を次々に生み出す。現在、発行人兼総編集長として刊行数は年間20冊以上にのぼる。また、近年では、業界初の時計専門のクラウドファンディングサイト「WATCH Makers」を開設。さらには、アンティークウオッチのテイストを再現した自身の時計ブランド「OUTLINE(アウトライン)」のクリエイティブディレクターとしてオリジナル時計の企画・監修も手がける。
2019年から毎週日曜の朝「総編・菊地吉正のロレックス通信」をYahooニュースに連載中!

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