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【アンティーク時計傑作選】クラシックな表情が魅力となった初代クロノマット

 ブライトリングのアイコンとして、ナビタイマーとともに現在もその名が受け継がれるクロノマットは、世界で初めて回転計算尺を装備した腕時計として1942年に発表された。この回転計算尺を用いることで乗除、速度、距離、所要時間などが計算できるという革新的なモデルで、特許も取得。その特許番号が文字盤に記されている。もうひとつのアイコンであるナビタイマーは、この回転計算尺を航空目的に適合するように改良して生まれたモデルである。
 ちなみに、現在展開されているクロノマットのデザインとは大きく異なるが、これは現行モデルがイタリア空軍のアクロバティック飛行チーム“フレッチェ・トリコローリ”と共同開発され、1984年に発売されたモデルのデザインを踏襲しているためだ。

■K18PG(36㎜径)。手巻き(Cal.175)。1940年代製。参考商品

 初代クロノマットのなかでも金無垢仕様は特に希少なモデルだが、この個体はケース、印象的なスクエア型プッシュボタンに研磨された形跡がほとんどなく、シャープな造形が維持されているのが素晴らしい。大きめに刻みを入れた回転ベゼルを特徴とし、ベゼルを回すことで文字盤外周に設置された計算尺を操作することができる。
 やはり印象的なのが初期モデルらしいクラシックな雰囲気を備えた文字盤のデザインだろう。光沢を残したシルバーカラーの文字盤に、オリジナルの夜光のアラビアインデックスと青焼きのニードル針が絶妙なコントラストを見せている。ムーヴメントはこのモデル以降の歴代クロノマットに採用されていくヴィーナス社製の名機Cal.175を搭載する。

ヴィーナス社製のCal.175は、当時の他社製クロノグラフムーヴメントと比較して大きく頑強な作りを採用しているのが特徴。Cal.175を基本に、12時間積算計を備えたCal.178、スプリット機構を備えたCal.179が開発されている

 

ファーストクロノマットの意匠のなかで、特に目を引くのが幅広で深い溝を備えた回転ベゼル。操作性を考慮して生み出された意匠だが、その独特の形状がデザイン的な個性を主張する

 

 なお現在、クラウドファンディングサイトのWATCH MAKERS(ウオッチメーカーズ)では、こうした希少なアンティーク・クロノグラフモデルをはじめ、クロノグラフの歴史や機構解説などを収録したスペシャルBOOK『Antique collection クロノグラフ大全 LowBEAT編集部』の先行予約を受け付け中。興味のある人はぜひチェックしてもらいたい。

ウオッチメーカーズ:https://watchmakers.en-jine.com

 

文◎堀内大輔(編集部)/写真◎笠井 修

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