Milus(ミルス)は、1919年にポール・ウィリアム・ジュノーによって創業された、日本未上陸の独立系時計ブランド。創業当初より時計産業の中心地として知られるスイス・ジュラ山脈の麓、ベルン州のビエンヌ(ビール)を拠点にしている。
ミルスは歴史を通じて、クラシカル時計とコンテンポラリー時計のコレクションの間で揺れ動き、スイスの時計製造の伝統と専門技術を融合させながら、手に届く価格で高品質なスイス時計を提供してきた。 51年、父の死後、ポール・ハーバート・ジュノーが経営を引き継ぎ、70年代、複数のデザイン賞を獲得。82年、ポール・ハーバート・ジュノーは2人の息子、ポール・ジュノーとピエール・ジュノーに継承され、86年から2001年にかけて、様々なデザイン賞を受賞し、世界中の美術館で展示されている。
2003年、ミルスは中国の投資家に買収され、中国のジュエリー会社の間で幾度か経営が変わっている。 中国の経営者の元で時計業界の複雑さを十分に理解せずに高級プレステージの価格帯でブランド確立試みるも、ブランドにとって良い結果には結びつかなかったようだ。
2016年、ティソの5代目、リュック・エドゥアール・ティソ・ダゲットがミルスの経営権を取得して以降は、ビエンヌ(ビール)に拠点を置き、ティソを中心にしたした新体制の基で時計の製造を開始。可能な限りスイス国内での製造が行われており、現段階では80%以上をスイスメイドで製作することが可能となっている。
今回は、紆余曲折を経て再びスイスメイドにこだわる時計作りを実現し、手の届く適正な価格で高品質な時計を生み出すミルスのコレクションより、主要な三つのモデルを紹介する。
Milus(ミルス)
ミルス・スノー・スター
1940年代、アメリカ海軍のパイロットや落下傘兵が敵地から脱出するための交換物資としてを支給されていた“ライフ・バーター・キット”。そこに採用されていたスノー・スター・ウオッチにオマージュを捧げ、そのデザインや雰囲気を復刻させたフラッグシップモデル。
このモデルは、グリーンダイアルであるは北半球の北緯45~70度に分布する亜寒帯林、ボレアルフォレストからインスピレーションを得た新作であり、手首の動きに合わせて表情を変えるボレアルグリーンの文字盤が特徴となっている。
ケースサイズは39mmで厚さは9.45mm。サファイアクリスタル風防で100m防水機能を確保。ムーヴメントはETAのCal. 2892-A2を搭載している。 文字盤4色展開で、販売価格は1690スイスフラン(約22万9000円)。
Milus(ミルス)
アルキメデス・バイ・ミルス
2本目のアルキメデス・バイ・ミルスは、60年代と70年代に販売されていたミルス スーパーコンプレッサー、ミルス666の後継モデルだ。
スーパーコンプレッサーは、水深が深く進むほどケースの水密性を増す圧縮方式を採用した当時主流のダイバーズウオッチであり、 気圧が高くなるとケースバックがガスケットを圧迫し、強固な密閉状態となっていた。文字盤外周にインナーベゼルを備えており、外周のリューズで操作を行うのも特徴。ギミック感の強いデザインも魅力となっている。
ケースサイズ41mm、厚さ11.9m。サファイアクリスタル風防、ねじ込み式リューズを備えており300m防水を確保。 9時位置にはヘリウムエスケープバルブも備えている。ムーヴメントはETAのCal. 2892-A2を搭載。風防は文字盤4色展開で、価格は1919スイスフラン(約26万円)。
Milus(ミルス)
LAB 01
最後に紹介するのは、ミニマルなデザインが魅力的な LAB 01。デザインは、優れた特性であるグラスファイバーを工業生産方式へと見出した、チャールズ&レイ・イームズ夫妻の作品からインスピレーションを得たモデル。
文字盤には独自開発したグラスファイバーを採用。一点一点異なる質感を楽しむことができる。
ケースサイズ40mmで厚さ9.5m。 ムーヴメントはセリタのCal.SW200を搭載。文字盤3色展開で、販売価格は963ユーロ(約13万4000円)。
》Milus(ミルス)
公式サイト
https://milus.com/
文◎William Hunnicutt
時計ブランド、アクセサリーブランドの輸入代理店を務めるスフィアブランディング代表。インポーターとして独自のセレクトで、ハマる人にはハマるプロダクトを日本に展開するほか、音楽をテーマにしたアパレルブランド、STEREO8のプロデューサーも務める。家ではネコのゴハン担当でもある。
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