機械式時計の最大の特徴であり、魅力である機械式ムーヴメント。そんな機械式ムーヴメントの機能美と独特のメカニズムを際立たせたのがスケルトンウオッチだ。腕時計の内部構造や装飾を表裏両面のガラスを通して楽しめることから“骸骨=スケルトン”と名付けられたもので、文字盤の一部をカットしたセミスケルトンと文字盤の大部分を見せたフルスケルトンタイプに大別できる。
このフルスケルトンタイプの醍醐味は何といっても、搭載するムーヴメント全体を細かなところまで堪能できるところ。大部分をスケルトナイズさせるためデザインの自由度も高く、歯車、香箱、受け板などを肉抜きした伝統的な仕様から、近年のトレンドになっているフレームを採用したモダンなスタイルまで、様々なデザインを楽しむことができる。
今回、スケルトンウオッチをクローズアップした連載記事の第3弾として取り上げたモデルは、前者の伝統的なスケルトン文字盤にあたる。だたし、伝統的なスタイルを採用しつつ、六角形のケースやウロコ状のブレスレットなど、アイコニックなデザインを取り入れることで、独創的でモダンなプロポーションを獲得しているのがポイントといえるだろう。
【今回の実機レビューモデル】
roberto cavalli by FRANCK MULLER(ロベルト カヴァリ バイ フランク ミュラー)
RV1G108M0081
■Material:ステンレススチール&ブレス
■Size:41mm、ラグの上下約47mm、厚さ約11mm、ラグ幅20mm
■Waterproof:5気圧防水
■Movement:自動巻き(スイス製)
■Price:33万8800円(レザーベルトは31万4600円)
【ロベルト カヴァリ バイ フランク ミュラーのブランド紹介】
イタリアを代表するファッションデザイナー、ロベルト・カヴァリ氏。 “ロベルト カヴァリ バイ フランク ミューラー”は、彼のシグネチャーブランドであるイタリアのファッションハウス“ロベルト・カヴァリ”と、スイスの高級時計メゾンとして知られる“フランク ミュラー”の共同ブランディングから誕生した時計ブランドだ。
“ロベルト カヴァリ バイ フランク ミューラー”の新作としてリリースされたスケルトンコレクションの自動巻きモデル。蛇のウコロを思わせる同社のアイコンデザインをケースのフォルムとブレスレットに取り入れたデザインがスケルトン文字盤にアクセントを加えている。
【外装について】
このモデルの最大の特徴のひとつと言えるのが、ソリッドで重厚感のある変形オーバルケースだろう。一般的なオーバルケースは、オーバル(卵)という名前が示すようにカーブを備えた卵形だが、このモデルでは3時位置と9時位置に角を設けた六角形のフォルムを採用。表面をフラット、サイドは二段階でファセット面を備えた多面的な造形に仕上げられており、規則的に細かい筋目を施すヘアライン仕上げにより、立体的なケースフォルムと金属的な重厚感がクローズアップされている。
表面をフラットに仕立ててヘアライン仕上げを施した直線的なケースと、立体的なドーム形のサファイアクリスタル風防。直線と曲線を巧みに組み合わせがことで、立体的で奥行き感を感じさせるデザインとなっている。
ブレスレットはラグジュアリースポーツウオッチのデザインを思わせるケース一体型のデザインを採用。ケースと同じく蛇のウロコを思わせる六角形のフォルムを取り入れており、横長の六角形に仕上げた中コマを左右の小さいコマで挟み込むユニークナデザインに仕上げられている。一見すると個性的で着けにくそうな印象だが、フォルム、仕上げの両面でケースの造形とデザインを統一しているため、ユニークだが全体のデザインバランスは良好。外装の仕上げをヘアラインで統一したのもポイントと言えるだろう。
【文字盤のデザインについて】
文字盤の中央部分を大胆にくり抜いて、搭載している自動巻きムーヴメントをデザインのアイコンとして際立たせたフルスケルトン文字盤。規則的なテンプに動き、小さなパーツを組み合わせた機械式ならではのメカニカルな造形が高級感を感じさせる。
フルスケルトン文字盤はデザインによっては時間が見にくいことも多いが、このモデルは外周にリングを設けてアプライドのインデックスを配置しているので、視認性も良好。ロベルト カヴァリ バイ フランク ミュラーのアイコンデザインのひとつである“蛇のウロコ”を思わせる幾何学的なエンボスデザインをアワーリングの表面に施しており、凹凸の陰影がデザインのアクセントと立体感を高めている。
【ムーヴメントについて】
裏ブタはシースルーバック仕様なので、搭載するスイス製自動巻きムーヴメントの動きと造形を鑑賞できる。汎用ムーヴメントのため仕上げや構造は簡素だが、ローターにはロベルト カヴァリ バイ フランク ミュラーのロゴを刻印。機械式ムーヴメントならではのメカニカルな造形を表と裏の両面から楽しめるのは魅力と言えるだろう。
【問い合わせ先】
ミスズ
TEL.03-3247-5585
http://www.watch-world.jp
文◎堀内大輔(編集部)