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【スマートなルックスが魅力】ブランパンの本格ダイバーズを実機レビュー

 1953年に最初期のダイバーズウオッチとして開発されたフィフティ ファゾムスは、もともとフランス海軍の要請に基づいて生まれた背景がある。その後も世界各国の海軍に採用されてきた本格仕様のプロフェッショナル仕様でありながら、ダイバーズ特有のゴツいイメージは薄い。その理由にはシンプルだが上品なデザインや、ブランパンというブランド自体の筋目の良さもあるだろう。今回紹介するバチスカーフもそうしたキャラクターを忠実に受け継いだモデルと言える。

フィフティ ファゾムズ バチスカーフ
■Ref.5000-1210。TI(43mm径、13.45mm厚)。30気圧防水。自動巻き(Cal.1315)。125万4000円

 今回の取り上げるバチスカーフは外装がチタン、しかもチタンのなかでも耐食性に優れ医療機器や宇宙開発に採用される純度の高いグレード23チタンを採用している。かつてチタンは切削や研磨などの加工が難しい素材とされてきたが、ここ数年で工作機械のクオリティが急激に上がっていることもあって、各時計ブランドが積極的に取り入れるようになってきた。しかしブランパンでは、1960年代初めに米海軍掃海艇チームのために製造したMIL-SPEC IIと呼ばれる特別モデルで、すでにチタン製時計を実用化した実績がある。これは世界初のチタン製時計であるといわれており、いわばチタンに関してはかなり先駆けたブランドだったわけだ。グレード23チタンはその純度ゆえにとりわけ加工が難しいのだが、このモデルでもケースにしっかりと筋目を入れるなど、きめ細かな仕上げ加工も施している。当然ながら着用したときの感触もステンレス製の時計に比べるとはるかに軽い。

 ダイアルは小振りなドットインデックスとバーインデックスのコンビネーションで、4時半位置に控えめなデイト表示が入る。秒針先端の赤いマーキングがアイキャッチになっている程度で、ロゴも控えめであるし、いまどきのダイバーズウオッチとしては静謐で抑えられたルックスだ。ダイアル表面にもやはり美しい筋目が入っており、落ち着いた雰囲気をさらに高めている。セラミックインサートを使った逆回転防止機能付きのベゼルも円周状に筋目が入っており、その仕上げ加工は繊細にして丁寧だ。時計全体から漂う気品は、従来のチタン製ウオッチとは明らかに一線を隠している。リューズにも特にガードなどは装備されておらず、シンプルなデザイン美をとことん追求している。43mmというケースサイズも大きすぎる感じはしない。

 搭載されているムーヴメントは、耐久性の高いシリコン製ヒゲゼンマイを採用した自社製Cal.1315。香箱には主ゼンマイを3基も搭載しており、パワーリザーブは120時間(5日間)と強力だ。ケースの堅牢さと合わせて非常に信頼の置ける設計がなされており、長期にわたって付き合うにふさわしい時計と言える。

 今回紹介したNATOストラップ仕様のほか、チタンブレスレット仕様もラインナップ(152万9000円)されており、好みでチョイスが可能だ。前述のようにダイバーズウオッチとしては非常にシンプルなルックスだが、それゆえ日常使いには最適で、フォーマルな場面で使ってもまったく違和感はないだろう。各社がギミックを競い合っている最近の時計市場で、こうしたシンプルなルックスで基本性能に優れたモデルをさりげなくリリースしてくるところに、ブランパンというブランドの奥深さを感じさせる。

 

【問い合わせ先】
ブランパン ブティック銀座 TEL.03-6254-7233
https://www.blancpain.com

構成◎堀内大輔(編集部)/文◎巽 英俊/写真◎笠井 修

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