現在、機械式モデルの運針は、秒針がなめらかに進むスイープ運針が一般的である。これに対して、針が1秒ごと飛ぶように進む運針をステップ運針と呼ぶ。クォーツ時計の大半がこのステップ運針だ。
そのため、比較的新しい運針方法と思われがちだが、もともとは機械式で誕生し、18世紀に流行した古典機構であったことをご存じだろうか。
秒単位の時間を正確に読み取れるという利点があるステップ運針は、主にマリンクロノメーターなどに採用されていた。
しかし、その後、正確な計時が行えるクロノグラフが発明され実用化されていくと、ステップ運針は徐々に数を減らしていったのである。
一般的なスイープ運針も、実は小刻みに時を刻んでいる。ただ秒針を動かす4番車の歯一つひとつが非常に細く、視覚的には流れているように見えることから、こう呼ばれている
秒針をステップさせるための方法は各社で異なるが、基本的な原理は、秒針を動かす4番車に、アンクルなどをかませることによって、針を1秒ごとに進むよう制御している
ちなみにこのステップ運針は、“デッドビート”や“トゥルービート”とも呼ばれることがある。後者は1950年代にロレックスが発表したモデルの名称。“TUR-BEAT”、つまり真実の時を刻む機能を備えたモデルというわけだ。
文◎堀内大輔