軍用も手がけた本格機械式メーカーが
20万円台のエントリーラインを投入
近年は自社製ムーヴメントの開発にも乗り出し、これを搭載したドレス系モデルが愛好家から高い評価を得るなど高級時計ブランドとしてのイメージを定着させているチュチマ・グラスヒュッテ。
しかし、その根底にある時計作りに対する考え方はいまも昔も変わらない。実際、2018年末に同社のディター・デレケイトCEOが来日した際に行ったインタビューでも次のように語っている。
「ミニッツリピーターなどの高級ラインはブランドの技術力を示すために開発したもので、我々のメインビジネスは、あくまでもミリタリークロノグラフをはじめとする堅牢で実用的なコレクションなのです。これは今後も変わりません」
そしてこの言葉が嘘ではないことを証明するように、2019年にも魅力的な本格実用時計をリリース。そのひとつがここで取り上げるフリーガー スカイである。
本作の魅力のひとつが、同社がこれまでに手がけたミリタリーウオッチのDNAを継承しつつ、カラーグラデーション文字盤やミラネーゼブレスなどを採用し、カジュアルな雰囲気に仕上げられた点だろう。
優れた実用性はそのままにファッション性をプラスすることでデイリーユースとして、より使いやすいデザインとなっているのだ。
トレンドも意識したカラーがチョイスされグリーン、ブルー、グレー、レッドの4色で展開されるフリーガー スカイ。文字盤の色は中央から外側にかけて黒く落としているため、派手すぎず着けやすいことに加えて、実際のサイズ(41mm径)より引き締まって見える
さらに特筆はその価格設定だ。同社ではフリーガー スカイをエントリーラインと位置付け、実用重視の本格的な作り込みでありながら、20万円台という価格に抑えたのである。本格機械式腕時計を探しているなら、ぜひチェックしてもらいたい1本だ。
■ フリーガー スカイ
2019年に発表された新シリーズのフリーガー スカイは、軍用時計をルーツにもつ本格モデルを中心に展開するチュチマ・グラスヒュッテが、そのエントリーラインとして投入したベーシックな3針モデルだ。印象的なグラデーション文字盤やミラネーゼブレスを採用するなど、カジュアルな雰囲気が高められ、デイリーユースとして使い勝手の良いデザインに仕上がっている。
■ステンレススチールケース&ミラネーゼブレス、ケース径41mm。10気圧防水。自動巻き(Cal.330)。各20万9000円
エントリー機ながら作りは本格派
搭載する自動巻きムーヴメントは、38時間のパワーリザーブを備えるCal.330。ローターにセットされたブランドロゴは18金製で、見た目にアクセントを与えている。またネジ込み式の裏ブタが採用されており、防水性も10気圧防水だ。
ミラネーゼブレスは重厚感ある造形となっているが、動きがしなやかなためフィット感は抜群。時計をしっかりとホールドし、快適な装着感を実現している。
定番のフリーガーにも新色が登場!
軍用パイロットウオッチに範をとった定番のフリーガーに、グリーングラデーション文字盤を採用した新色が登場。オレンジを差し色に効かせ、優れた視認性とデザイン性を両立させた点がポイントで、こちらの価格も20万円台とお手頃だ。
■(ブレス仕様)Ref.6105-30。25万800円。(レザー仕様)Ref.6105-29。21万2300円。ステンレススチールケース。ケース径41mm。10気圧防水。自動巻き(Cal.330)
文◎堀内大輔(編集部)/写真◎水橋 崇行
【問い合わせ先】
モントレックス TEL:03-3668-8550
公式サイト http://www.montrex.co.jp/tutima.html
【チュチマ・グラスヒュッテとは】
ドイツ時計産業の聖地に拠点を構えるマニュファクチュール
チュチマ・グラスヒュッテの起源は、1926年にエルンスト・クルツ博士の指揮のもと設立された時計会社だ。“チュチマ”とは、実はそこで作られた製品グレードの中で最高品質を示す名称だったのだ。
当時、軍用クロノグラフなど数多くの名機をリリースした同社だったが、第2次世界大戦はチュチマブランドのすべてのものを破壊した。大戦後、クルツ博士は西ドイツへと亡命し、メンメルスドルフの町に小さな工房を設立。後にチュチマをブランドとして復活させ、83年には会社名もチュチマ時計製造会社に変更している。ここでもNATO軍に制式採用された軍用クロノグラフなどの傑作を多く手がけ、軍用時計メーカーとしても一目置かれる存在となった。
そして2008年には創業の地であるグラスヒュッテへの帰還を果たす。現在は自社製ムーヴメントまでを手がけるマニュファクチュールとして、堅牢で実用的な本格機械式モデルを展開している。