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【セイコー スピードタイマーの名を受け継いだ新シリーズ】1964年当時の高精度ストップウオッチのデザインを色濃く反映したリミテッドエディション

 セイコーがプロスペックスラインの新作として、歴史的なクロノグラフの名称を受け継ぐ“SPEEDTIMER”シリーズを新たにローンチした。スピードタイマーは1960~70年代にかけて人気を集めた世界初の自動巻きクロノグラフを含むモデル群に付けられたシリーズ名で、オールドセイコーファンにはなじみ深いと思うが、今回の新スピードタイマーはその遺伝子を受け継ぎつつ、内容は強力にブラッシュアップされている。今回はそのなかでも1000本のみリリースされている限定モデルをピックアップして紹介しよう。

セイコー プロスペックス スピードタイマー メカニカルクロノグラフ 限定モデル
■Ref.SBEC007。SS(42.5m径/15.1mm厚)。10気圧防水。自動巻き(Cal.8R46)。世界限定1000本。35万2000円

 このモデルのバックグラウンドは、セイコーの機械式クロノグラフの歴史を踏まえたものだ。セイコーは1964年の東京五輪に向けて1/100秒単位で誤差のない計測が可能なストップウオッチを開発し、さらにストップウオッチ機能を組み込んだ国産初のクロノグラフ腕時計“クラウン クロノグラフ”をリリースしている。これが69年に発売された世界初の自動巻きクロノグラフ“スピードタイマー”へと発展していった。スピードタイマーの自動巻きクロノグラフムーヴメントでは垂直クラッチを採用することで、スタート/ストップ時の指針ずれや針飛びを抑制する機構になっていたが、これは現行のクロノグラフにも通じていく重要なモデルといえる。新たにリリースされたスピードタイマー メカニカルクロノグラフ 限定モデルはその歴史を踏まえ、64年に開発された初代ストップウオッチの意匠にインスパイアされたデザインになっているのだ。

 いかにも堅牢そうな厚み15mm超えのケースと、そのケースから大きく張り出したプッシュボタンとリューズ、視認性の良い文字盤デザインは、確かにスポーツ大会などで使われていたストップウォッチを彷彿させる。文字盤外周にはタキメータースケールが装備されているが、クロノグラフ秒針はそのタキメーターまできちんと届くロングストロークになっている。さらに文字盤上のインデックスは時表示ではなく秒表示をフィーチャーしており、あくまでもタイム測定器としてのこだわりを感じさせる。ちなみにこの文字盤のトーンはやや温かみを感じさせるエナメルのような乳白色トーンが採用されており、クラシカルかつ高級な味わいを感じさせる。

 ケースやブレスレットの仕上げはまずまずというレベル。極端に凝った仕上げがなされているわけではないが、実用重視という雰囲気は好感がもてる。ブレスレットはメタルのほかにステッチ入りのカーフベルトも付属。このベルトは裏側に縫い目を隠すコンシール加工が施されており、汗や皮脂による劣化を防ぐ仕様になっているという。このあたりはスポーツクロノグラフとしての配慮だろう。カーフの素材も高級感があって耐久性は高そうだ。

 大振りのプッシュボタンは押してみるとガチッとした重厚な手応えがあり、クロノグラフを操作していると感じられる満足感がある。最近のクロノグラフは操作感を重視してのことか、プッシュボタンの感触が軽すぎるモデルが目立つが、やはりこのくらいの手応えが感じられるほうが操作していて楽しい。重い手応えとはいえ、プッシュボタン自体が大きいため操作しづらいという感じはない。

 搭載するのは新開発された二つ目クロノグラフのCal.8R46。垂直クラッチに加え、安定した動作を実現するコラムホイールを搭載したハイグレードなムーヴメントで、3本のアームが一体となった三叉ハンマーを搭載。耐久性やメンテナンス性の向上に貢献しているだけでなく、秒針、分針、時針のキリッとした同時リセットが気持ちよく、セイコーらしいオリジナリティを感じる。パワーリザーブは45時間とまずまず。裏ブタはシースルーバックになっていて、ムーヴメントの動きを楽しめるほか、シリアル番号も刻印されていてプレミアム感が高い。

 ケースのしっかりした作りも相まって、全体にごつめのデザインがメカとしての魅力をうまく強調している。一方で文字盤の柔らかいトーンがヘビーデューティーになりすぎないように全体を中和している感もあって、仕上がりとしてはなかなかのバランスの良さだ。スポーツクロノグラフにこだわりがある時計ファンなら、このメカ感へのこだわりをぜひ店頭でチェックしてみてほしい。ちなみに限定モデルと同時にチャコールグレー文字盤のレギュラーモデルもリリースされているが、そちらはシンプルなバーインデックス仕様で、ストップウオッチというよりはもっとオーソドックスな腕時計寄りのデザインになっているので、普段使いにはこちらの方が使いやすいかもしれない。

【問い合わせ先】
セイコーウオッチお客様相談室 TEL.0120-061-012
https://www.seikowatches.com/jp-ja/products/prospex/special/speedtimer/

構成◎堀内大輔(編集部)/文◎巽 英俊/写真◎編集部

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