意外と知らない時計知識

Q25.気温の変化で、時刻の進み方にどう影響するか

A.暑いと金属が伸びて遅れ、寒いと金属が縮んで進みがちになる

 時計は水、磁力、衝撃など、影響を及ぼすものが多くある。気温もそのうちのひとつだ。
 修理技術者によると、時計の内部は、テンプやヒゲゼンマイなどの様々な部品が金属でできているため、温度変化による膨張や収縮が原因で遅進が発生する場合があるそう。
 特に影響を受けやすいのは、髪の毛ほどの細さしかないヒゲゼンマイで、非常に気温の影響を受けやすいという。

 というのも、金属は気温が高いと膨張し低いと収縮する。つまり、気温が高くなるとヒゲゼンマイが伸びて時刻が遅れてしまい、逆に低くなるとヒゲゼンマイが縮んで進みがちになるのだ。
 夏や冬など、室内外の温度差が大きくなる季節や、極度な高温、低温の場合は特に影響を受けやすいようだ。

写真はロレックスのムーヴメントには、温度の変化に強いだけでなく、耐磁性にも優れる“ブルー・パラクロム”をヒゲゼンマイに採用している

 ただし近年では、特殊合金やシリコンをはじめ、写真で取り上げたロレックスのブルー・パラクロム・ヒゲゼンマイなど、気温による影響を受けにくい素材を用いてヒゲゼンマイを製作しているメーカーが増えてきている。

 

文◎松本由紀(編集部)

 

【意外と知らない時計知識】
■Q1.腕時計の防水性能表示「m(メートル)」と「BAR(バール)はそもそも何が違う?【ダイバーズ編】
■Q2.ローマ数字インデックスにおいて、4はなぜ“IV”ではなく“IIII”とするのか
■Q3.時計の時表示はなぜ“0(ゼロ)”ではなく“12”なのか
■Q4.“m”表示の防水性能以外で、潜水用ダイバーズウオッチに必ず必要なものとは?【ダイバーズ編】
■Q5.日常生活において磁気の影響を受けてしまうのはどんなとき?
■Q6.ハイスペックな潜水時計に装備されているバルブは、なんのためにあるか【ダイバーズ編】
■Q7.街中にある大時計には、なぜ秒針がないのか
■Q8.東京2020オリンピックおよびパラリンピックのオフィシャルタイムキーパー(公式時計)を務めたメーカーは?
■Q9.ダイバーズウオッチを着けて海水浴をしてしまった。洗ったほうがいいの?【ダイバーズ編】
■Q10.アンティークウオッチとは、いつ頃の時計を指すのか?
■Q11.“GMT機能”のGMTって何の略?
■Q12.“牡蠣”を意味する英語名が付くロレックスの3大発明とは?【ロレックス編】
■Q13.ロレックスの3大発明のひとつ“パーペチュアル”。開発を迫られた大きな理由とは?【ロレックス編】
■Q14.時計のムーンフェイズ機構、ある職業の人たちにとっては欠かせないものだった。それはどんな人たちか?
■Q15.“鳩時計”は正式名称ではない。では正式には何と呼ぶのか
■Q16.国産初となる完全防水時計って何?
■Q17.ロレックス3大発明のひとつ“デイトジャスト機構”開発の発想の原点は何か【ロレックス編】
■Q18.リューズはなぜ漢字で“竜の頭”と書くのか
■Q19.金属アレルギーでも着けられるステンレススチールの時計ってあるの?
■Q20.風防はすべて同じ素材なの?
■Q21.タキメータースケールは何のためにあるのか
■Q22.アンティークウオッチに採用されている、スネイルタキメーターとは何か?
■Q23.世界で初めて自動巻きクロノグラフを発売したメーカーはどこか?
■Q24.ロレックスはレファレンスナンバー(品番)でどんなモデルかわかるって本当?【ロレックス編】

-意外と知らない時計知識