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いまや時計製造にハイテクは欠かせない! 3Dプリント技術を駆使した個性派時計 Holthinrichs Watches(ホルセンリックス・ウォッチズ)

 日本未上陸ブランド。要は、国内に正規代理店をもたない海外ブランドのことだ。メジャーな海外時計メーカーはほぼ日本にやってきているが、きっとまだ見ぬお宝ブランドが世界には眠っているはず!
 今回はオランダの個性的なブランドを紹介しよう。

金属3Dプリント技術を駆使したケースを製造する
ホルセンリックス・ウォッチズ

 創業者ミヒール・ホルセンリックス氏は、オランダのデルフト工科大学で建築デザインを学んでいた際、繊細で複雑な機械式腕時計を目にしたことから腕時計づくりに魅せられ、大量のアンティークウオッチを購入。
やがて自分の腕時計ブランドを立ち上げたいとの思いから設立されたのが、オランダ・デルフトに創業した新進気鋭の高級時計ブランド、ホルセンリックス・ウォッチズである。

 建築デザインに着想を得たミヒール氏が想像する時計のデザインは、立体的で非常に複雑だ。特に彼のデザインするケースは複雑なディテールを持っているため、旧来の金属加工方法では生産不可能かもしれないと思いはじめたという。

 そうして彼がたどり着いたのが、金属3Dプリント技術を時計ケースの成形に取り入れるというアイディアだった。彼はアール・ヌーボーやアール・デコ、初期モダニズムなどからインスピレーションを受けた独創的な時計デザインを設計。これを最先端の金属3Dプリント技術と組み合わせることで、まったく新しい外観の古典的なスタイルを生み出している。

 金属3Dプリント技術を駆使して作られるのは、基本的にはケースのみ。金属3Dプリントにより成形されるケースは、最終的には手作業で滑らかに磨きをかけ、仕上げられていく。
こうして生み出されるホルセンリックス・ウォッチズのコレクションは、クラシックな雰囲気を備えつつも、最先端の金属3Dプリント技術だからこそ実現可能な、複雑かつ個性的なディテールを備える。

 ブランドの創業は2013年。テストを繰り返して、16年にファーストモデルが完成。18年6月には内製による文字盤の生産を開始、そして同年12月には金属3Dプリンタによるチタンウオッチの開発にも成功した。なお、バーゼルワールド2019では新作も発表している。いま注目の時計ブランドのひとつと言えよう。

 

ホルセンリックス・ウォッチズ創業者、ミヒール・ホルセンリックス氏。伝統的な職人技と最新の金属3Dプリント技術を融合させ、自由なデザインとカスタマイゼーションを可能にする個性的な腕時計を手掛ける

金属3Dプリンタから成形されるステンレススチール製の腕時計パーツ。金属3Dプリンタを使用することで、旧来の金属加工方法では生産が難しいような複雑なデザインや作り込みのケースを生み出すことに成功

最先端の技術と伝統技術が融合!
新時代のハンドメイドウオッチ

オーナメント1 ルテニウム
ブランドのなかでも、最もベーシックなスチールケースを採用したモデル。3Dプリントケースならではの立体感のあるディテールがやはり最大の魅力だが、サイズは控えめな38mm、手巻きムーヴメントを搭載しているため、厚みも10mm程とよくまとまっている。こうしたツウが好みそうなスタイルとスペックなのは、アンティークウオッチが時計製造の原点になっているということが大きい。
■SS(38mm径)。防水性不明。手巻き(Cal.ETA 7001)。世界限定250本。4100ユーロ(日本円で約52万700円)

ケースの中心部分にへこみをもたせ、凹んだ部分に文字やシリアルナンバーをあしらう。素材にもこだわっており、ベルトはドイツ製のハンドメイドを採用する

 

Holthinrichs Watchesの[語りドコロ]
何と言っても、ホルセンリックス・ウォッチズの特筆すべき点は、ケース製造に最新の金属3Dプリント技術が用いられるところだ。伝統的な製法ではなし得ない立体的で複雑なディテールを持つケースはほかでは見られない。一方で、仕上げは伝統的な手仕事とすることでハンドメイドならではの温もりや美しさを実現している点は見逃せないだろう

Variation
カスタマイズの自由度が高いのも魅力。バーゼルワールドでお披露目されたミヒール・ホルセンリックスの2019年新作、ローオーナメント。5500ユーロ(日本円で約69万8500円)

●掲載価格は1ユーロ=127円で計算し、算出

 

文◎佐藤杏輔(編集部)

 

【問い合わせ】
Holthinrichs Watches
https://holthinrichswatches.com

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