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【時計というよりもはやアート!?】シンガポール発の個性派ブランド“ヒューミズム”が面白い。

新たに日本上陸を開始した注目ブランド、個性的なデザインがインパクト抜群

 2017年、創設者でもありデザイナーのデイビット・ジーがシンガポールで創業した時計ブランド、Humism(ヒューミズム)。同社は時計をアートキャンバスとして捉え、“手首のキネティックスカルプチャー(動く彫刻)”コンセプトに独創的なコレクションを展開ししている。


 ヒューミズムのデザインは20世紀初頭に起こったキネティックアートムーブメントからインスピレーションを得ている。キネティックアートムーブメントとは動きによって美を生み出す芸術表現のひとつ。フランス生まれでアメリカで活躍した画家・彫刻家であるマルセル・デュシャンが手がけた“Bicycle Wheel”や“Rotoreliefs”などの作品がその代表作として知られており、ヒューミズムでも彼の作品に大きな影響を受けて、錯視を取り入れた文字盤を生み出している。


 ヒューミズムは既存の時計ブランドとは異なるデザインであることに専念しているが、特徴的なのが針を使用していない点だろう。錯視ディスクとは別に二つのドットが設けられており、 それが文字盤の周りを回転することで時と分を表示するのだ。


 最大の特徴となっている錯視効果は、多層構造の回転ディスクによって生み出されており、常に変化するパターンを作り出し、時計を見る人を魅了している。

 この文字盤の回転ディスクは長年の研究の成果であり、何百という数のサンプルやレンダリングを作成し、数ヶ月にもわたって行われたテスト経て完成したようだ。

 錯視効果を生み出すディスクの動きにこだわり、ムーヴメントには機械式を採用。信頼性の高いセイコーインスツルのCal.NH35Aを搭載している。

 アイデアからプロダクトとして完成するまでの過程において、それぞれ厳しいテストを設けているヒューミズム。時計としての品質にも強いこだわりをもっており、すべての製品はシンガポールで手作業で組み立てられ、厳しい品質管理テストを通過している。
2021年5月現在、7種類のコレクションをリリースしているが、いずれもキネティックアートの魅力を最大限に引き出したユニークかつ魅力的な腕時計に仕上げられている。


KATO
 KATOはシンプルな同心円をベースに、調和のとれかつ複雑さを実現しているのが特徴的。異なる層の花びらが交互に咲き始め、時間とともに48枚の花びらが同時に開くことでクライマックスを迎える。

■SS(39mm径)。5気圧防水。自動巻き(Seiko SII/Cal.NH35A)。318米ドル(約3万5千円)


Rhizome
 Rhizomeのデザインは人を惹きつけ、そして惑わす。直線的でシャープな印象を感じさせる回転ディスクが拡大と縮小の錯覚を同時に引き起こし、一時的にデザインがバランスのとれた状態に戻り、再び旅に出る。対称性を備えたデザインと、まるで騙し絵のような動きが目を引きつける。


■SS(39mm径)。5気圧防水。自動巻き(Seiko SII/Cal.NH35A)。318米ドル(約3万5千円)



 創設者のデイビット・ジーは、時計会社を立ち上げる前にグアテマラやシエラレオネなどの非営利団体で働いていた経験をもつ人物。世界をより良い場所にするために、ヒューミズムではウェブストアの売上の5%を地震、台風、洪水などのアジアの自然災害に対応する人道的救済機関であるMercy Reliefに寄付しているという点も、素晴らしい。

 デザイン力に特化し、想像力を駆り立てられるキネティック・スカルプチャー(動く彫刻)を融合した腕時計が、日本の時計市場に数多く流通するようになることを期待したい。

 

》HUMISM(ヒューミズム)公式サイト
https://humism.com
》HUMISM(ヒューミズム)日本販売サイト


文◎William Hunnicutt
時計ブランド、アクセサリーブランドの輸入代理店を務めるスフィアブランディング代表。インポーターとして独自のセレクトで、ハマる人にはハマるプロダクトを日本に展開するほか、音楽をテーマにしたアパレルブランド、STEREO8のプロデューサーも務める。家ではネコのゴハン担当でもある。

https://www.instagram.com/spherebranding/

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