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【パテック フィリップ2020年モデルの本命!?】チャイム機構にハイライトを当てた“グランドソヌリ Ref.6301P”

 バーゼルワールド中止を受けて、今年パテック フィリップは新作を段階的に発表していく方針を採った。そのなかには、新たに現行コレクションに迎えられたミニット・リピーター・トゥールビヨン「5303」など話題作もすでにあるが、さらにこのタイミングで新作が追加発表された。
 それが、このグランドソヌリ 「6301P」である。

■Ref.6301P。Pt(44.8mm径/12mm厚)。非防水。手巻き(Cal. GS 36-750 PS IRM)。時価(受注生産)

 

 音で時刻を知らせる“チャイム機構”を備えた、いわゆるチャイムウオッチのなかでも、この6301Pは間違いなく最高峰に位置するだろう。

 まずチャイム機構だけでも、正時と15、30、45分の1時間に4回、時とクオーター(15分)を自動的にチャイムの音で知らせてくれる“グランドソヌリ”と、その簡略版であるプティットソヌリ(15、30、45分には時は鳴らない)、そして任意の操作で現在時刻を分単位で知らせてくれるミニット・リピーターを備える。時・分を聞き分けられるよう3音階を鳴らす3ゴングだ。
しかもこれらは、6時位置のケースサイズに据えられたスライドピースによって切り替えが可能だ。

スライドピース左側はプティットソヌリ・モード、中央がグランドソヌリ・モード、そして右側に設定することで音を鳴らさないサイレント・モードを選択できる

 

 これだけでも十分にすごいのだが、6301Pではさらに新たに特許を取得したジャンピング・セコンド機構まで加えている。意図したものなのかは定かではないが、これにより美しいチャイムが響くその瞬間をいっそう捉えやすくなるだろう。

 搭載しているのは新たに開発された手巻きのCal.GS 36-750 PS IRMである。
 こうしたチャイム機構を実装するにあたってひとつ問題となるのが、“エネルギーの確保”だが、このムーヴメントでは時刻用とチャイム機構用で動力源をわけることでその問題を解消した。それぞれでツインバレルを採用(つまり本作では香箱が四つある)し、時刻用では72時間、チャイム用では24時間のパワーリザーブを確保しているのである。
 実は動力源をわけていることは、文字盤を見てもわかる。
 3時位置にあるのがチャイム用で、その対角にあるのが時刻用のパワーリザーブ表示だ。

リューズ操作によってゼンマイを巻き上げるのは、通常の手巻き式に同じ。ただ本作では時計回りに回すと時刻用、反時計回りに回すとチャイム用のゼンマイが巻き上がる

 

 その複雑さゆえにCal.GS 36-750 PS IRMを構成するパーツは703個にもおよぶ。
 にもかかわず、ムーヴメントサイズを直径37mm、厚さ7.5mmに留めた。そのためグランドコンプリケーションながらも、ケース自体も直径44.8mm、厚さ12mmと腕時計として現実的なサイズ感を実現している。

 そしてムーヴメントだけでなく、外装も凝っている。
 サイドに段差を付けて立体的なフォルムに仕立てたプラチナケースや、植字ブレゲインデックスをセッティングした光沢仕上げの本黒七宝文字盤など、まさしくクラフトマンシップの賜ものだ。
 また古典を踏襲しつつも、現代的なエッセンスを感じさせる魅力的なルックスは、グランドコンプリケーションにふさわしい気品を醸し出している。

 受注生産のため、実物を見る機会はなかなか得られそうもないが、それでも世界中の愛好家がこぞって求めるであろうと思わせる完成度となったグランドソヌリ「6301P」は、おそらくパテック フィリップにとっても2020年モデルの本命だったに違いない。

 

文◎堀内大輔(編集部)

 

【問い合わせ先】
パテック フィリップ ジャパン・インフォメーションセンター TEL.03-3255-8109
http://www.patek.com

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