【Q74】機械式ムーヴメントに用いられる“シリコーン製パーツ”は何がすごいのか

A.磁気に強く、パーツの磨耗も軽減するから

 近年、機械式ムーヴメントにシリコーン製パーツを採用するメーカーが増えている。
 なぜシリコーンが機械式ムーヴメントのパーツ素材として注目されているのか。結論から言うと、シリコーンは非磁性素材であるため耐磁性能に優れているからだ。

パテック フィリップやユリス・ナルダンといった老舗の高級時計メーカーが率先してシリコーン製パーツを採用していたが、近年ではスウォッチグループに属するティソやミドーといったミドルレンジブランドでもシリコーンが採用されている

 シリコーンとはケイ素樹脂のことで、電子機器などが発する磁力の影響を受けない特性をもつ。
 これまでは、腕時計に耐磁性能をもたせるためにはインナーケースなどを用いていたが、そのぶんケースに厚みがでてしまっていた。
 そこでガンギ車(一定の精度を維持する役割を果たす脱進機のパーツのひとつ)、ヒゲゼンマイ(テンプの中心にあり、髪の毛ほどに細く長いゼンマイ。このテンプが規則的に一定の伸縮運動を繰り返す)といったムーヴメントの要であるパーツそのものをシリコーンにすることで、インナーケースを採用することなく耐磁性が得られるというわけだ。

 シリコーンは非磁性素材であるため摩擦が少ないという利点も。とりわけ1時間に数万回もの接触を繰り返す脱進機(ゼンマイからの動力を規則正しい往復運動に変換させるための装置)には打ってつけの素材なのだ。
 ただ、その反面で衝撃を受けると壊れてしまうなどもろい一面もあるため修理が難しいというデメリットもある。

 ちなみにこのシリコーンを機械式ムーヴメントにいち早く取り入れたのは、ユリス・ナルダンと言われている。同ブランドは2001年のスイス・バーゼルワールドにて、脱進機にシリコーンを用いたフリークコレクションを発表している。

 

<参考文献>
・シリコーン工業会(https://siaj.jp/ja/index.html)
・ユリス・ナルダン公式HP>シリシウムテクノロジー(https://www.ulysse-nardin.com/jp_jp/silicium)

文◎松本由紀(編集部)

 

【関連リンク】
■Q5.日常生活において磁気の影響を受けてしまうのはどんなとき?
■Q19.金属アレルギーでも着けられるステンレススチールの時計ってあるの?
■Q25.気温の変化で、時刻の進み方にどう影響するか
■Q53.ロレックスのミルガウスはどのようにして高い耐磁性を実現しているか【ロレックス編】
■【Q61】GPS時計と電波時計の違いとは

オススメ記事

  1. 【Q75】機械式時計の針は逆回ししても良いのか

  2. Q13.ロレックスの3大発明のひとつ“パーペチュアル”。開発を迫られた…

  3. 【Q88】回転ベゼルの動きが重くなってしまった!その原因は?<時計のト…

  4. Q39.デイトジャストに用意されている3種類のベゼルはケースの仕様で決…

  5. Q17.ロレックス3大発明のひとつ“デイトジャスト機構”開発の発想の原…

  6. Q34.クォーツの腕時計にもオーバーホールは必要か

  7. 【Q67】現行ロレックスの針の素材は、すべてゴールド素材って本当?<ロ…

  8. Q30.時刻合わせをする際に異音が。内部で何が起きている?【時計のトラ…

人気の記事

ロレックス

国産時計

スマートウォッチ

ドイツ時計

カジュアル時計

アンティーク時計

レディース時計