近年、増えているカスタムウオッチのなかでも、より高い自由度とオリジナリティーを誇るのが、ケイウノが展開する“カストヴァ”シリーズだ。ここでは実例とともにその実力を探っていきたい。
メモリアルに最適な本格オーダーウオッチ
1981年に創業したケイウノは、いまや全国に30店舗以上展開する屈指のオーダージュエリーブランドだ。
そんな同ブランドが“腕時計”の展開も行っていることは、まだあまり知られていない。
腕時計の基幹コレクションとなっている“カストヴァ”の特徴は文字盤やケース、針などユーザーが好みのものをチョイスして組み合わせられる点。いわゆるカスタムウオッチと呼ばれるものだが、カストヴァはひと味違う。
既製のパーツからチョイスするだけでなく、なんと一からデザインした針や文字盤などのオーダーもできるのだ。
カストヴァ最大の特徴は、数種類ある既製パーツを組み合わせるだけでなく、デザインから起こしたオリジナルのパーツを取り付けられる点にある。作業内容にもよるが、オリジナルの文字盤制作は6万3800円〜で、針制作は3万6300円〜。3針機械式モデルの基本価格が5万9400円(クロノグラフは13万2000円)なので、10万円台で世界でひとつだけのオリジナルウオッチを手に入れることができるのだ
ここに掲載している3本の時計は、その実例。
愛犬のモチーフを針にあしらった時計や職業にちなみミシンをデザインした時計など、一部のパーツをオーダーするだけでも実にオリジナリティーにあふれている。
カスタムウオッチというより、むしろオーダーウオッチといったほうがふさわしい仕上がりだ。
個性豊かなカスタムオーダー例
“カストヴァ 機械式”をベースに、針と文字盤をオーダーしたモデルの一例。愛犬のモチーフをあしらった針など、オーナーの愛情がこもった1本となっている。 ■基本スペック:SS(41㎜径)。5気圧防水。自動巻き
Owners Voice 「2018年に愛犬のシーズーが亡くなりました。愛犬との思い出を何かしら形として残したいと考えているとき、ケイウノのオーダーウオッチのことを知りました。そして時針には亡くなったシーズーを、分針にはいま飼っているワイマラナーをデザインしてもらいました。インダイアル部分にさりげなくイニシャルの“M”と“B”を取り入れたデザインもこだわりのポイントで、大切なペットとのメモリアル時計です」
Owners Voice 「彼が好きなバイクをテーマにした婚約指輪のお返しの贈り物。歯車やディスクブレーキなどをヒントにしたデザインで、“気持ちのギアを入れる”をコンセプトに赤いメーターも取り入れてもらいました。ローターには、入籍日と2人のイニシャルをヴィンテージのナンバープレート風に刻印。高級感と遊び心が感じられる仕上がりに大満足です」
Owners Voice 「スーツ工場の営業部長を務めている私。コンシェルジュから提案されたのは、職業にちなんだアンティークミシンを取り入れたデザインです。インデックスにボビンを取り入れ、時針が縫い針になっているのもこだわりです。仕事に欠かせないアイテムを身に着けられることに喜びを感じオーダーしました。いつか息子にも受け継いでいきたい…と夢見ています」
当然ながらすべて一点モノで、ここも時計好きにはたまらないポイントだろう。オーダーには別途費用が掛かるが、それも良心的な価格設定となっており、気軽に楽しめる点も見逃せない。
そしてクオリティの高さも評判だ。実際、独立時計師アカデミーの準会員に認定された牧原大造氏の時計ケースに採用された実績ももつ。これはオーダージュエリー製作で培った経験とノウハウがあってこそだろう。
牧原大造氏の代表作 “菊繋ぎ紋 桜”のケースはケイウノ製
江戸切子の伝統的な文様である“菊繋ぎ”が文字盤に施された、和の情緒あふれるダイゾウ マキハラの“菊繋ぎ紋 桜”。このケースを手がけたのがケイウノだ。※本作のお問い合わせは、牧原氏へ直接コンタクト。dmw88@daizohma kihara.jpまで
ケイウノの時計工房に潜入
ケイウノの工房では針の焼き入れ作業も行っているため、組み合わせでブルースチール針というチョイスも可能だ
時計専業メーカーにも劣らぬ設備を導入している。写真は文字盤の加工工程で、この後、磨き、塗装、仕上げを行う
時計好きなら一度は感じたことのある“こんなデザインだったらいいのに”という思いをカタチにできるのが、ケイウノが展開するカストヴァなのである。
文◎堀内大輔/写真◎笠井 修(愛犬をモチーフにした時計・工房)
【問い合わせ先】
ケイウノ カスタマーセンター
TEL.03-5731-9107
公式サイト
https://www.k-uno.co.jp