ロレックス @kikuchiのいまどきの時計考

【ロレックス(ROLEX)】通信 No.008|時計専門誌編集部が記事を作る際の参考資料用に作ったロレックス本

 今回は最近刊行したロレックスの本について取り上げる。ちょっと宣伝じみた内容で恐縮だが、たぶんほかにはなかった内容であり、作り手が言うのもなんだが、ロレックスに興味を多少お持ちの御仁なら資料としても重宝すると思う。そこで刊行に至った経緯も含めて簡単に紹介させていただく。

 まずは、今回なぜこの本を作ったのかというところからお話ししたい。と言ってもたいそうなことではなく、単に筆者自身がこういう内容の本が欲しかったからなのである。

 筆者然り、我が編集部は時計を専門に20年近くやってきたため、ロレックスの特集記事はもちろん、一冊丸ごとロレックスのムック本もかなり手がけて刊行してきた。

歴史の流れが俯瞰できるようにした、スポーツ系からドレス系までの主要な11モデルの変遷を1940年代がら辿った年表

 当然のごとく、それらすべては日本ロレックス社の非公認のため、情報は独自に入手しなければならない。それでも2000年以降は、ロレックスブームの流れもあって、様々な専門書も刊行され、ロレックス社自体も情報を開示するようになったこともあり情報には事欠かなかった。しかし、問題はそれ以前の情報で、厳密には80年代以前のいわゆるアンティークの部類に入るものが厄介だったのである。

 余談だが、アンティークウオッチの業界で、アンティークと呼ばれるのは1960年代よりも前に作られた個体を指す。しかし、ロレックスに限っては、最近になり製造年代ではなく、ムーヴメントの番号で括られるようになってきた。つまり、1500系と言われる機械を搭載している個体を指す。そのため高年式のものだと1980年代後半まで含まれることになる。

 なぜそうなったかについては別の機会に書かせていただくとして話を戻すと、80年代以前のロレックスについては、実際に資料がなかったわけではないのだが、ロレックス愛好家が持っている資料や海外の文献等を集めて、それらを調べつつも情報を重ね合わせながら串刺しにしていく、この作業が大変なのである。しかも海外の文献は、デイトナであればデイトナだけというように、コレクションごとがほとんどで、しかも10万円以上と高額なものが多い。さらに言えば本のサイズが馬鹿でかく扱いにくい。

 そこでロレックスの記事を作るときにいつも思っていたのが、過去の主要モデルの情報が1冊に集約されており、しかも判型は大きくても一般的な雑誌のA4サイズの文献があったら、記事を作るときにデータをサクッとチェックできるし、どんなに便利だろうと。

 ということで、今回我が編集部でそれを作らせていただいたというわけである。

これはGMTマスターのページ。このように各モデルごとに歴史や歴代モデルのキャリバーナンバーやスペック、そしてブレスレットの情報の一覧を掲載している

 人気のスポーツモデルからドレス系までを網羅した。そのため、デイトナであったり、サブマリーナであったりと、人気モデル単体の情報としては、ほかにあるモデルごとの専門書にはかなわないかもしれない。ただ、基本的な情報はおおかた盛り込んでいるため、ちょっとした確認には使い勝手が良く便利だと思うのだが。

 去る8月29日から一般書店で販売させていただいている。機会があったら立ち読みでもいいので、ぜひ手にとってご覧になっていただきたい。価格も税抜き1500円と、こういった性格の本としては手頃だと思う。

文◎菊地吉正(編集部)

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菊地 吉正 - KIKUCHI Yoshimasa

時計専門誌「パワーウオッチ」を筆頭に「ロービート」、「タイムギア」などの時計雑誌を次々に生み出す。現在、発行人兼総編集長として刊行数は年間20冊以上にのぼる。また、近年では、業界初の時計専門のクラウドファンディングサイト「WATCH Makers」を開設。さらには、アンティークウオッチのテイストを再現した自身の時計ブランド「OUTLINE(アウトライン)」のクリエイティブディレクターとしてオリジナル時計の企画・監修も手がける。

 

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