本格的なダイバーズウオッチといえば、そのスペックや構造上、ケースが分厚くなってしまうのが時計業界の常識である。しかし、そんな常識を覆す世界で最もスリムなダイバーウオッチを発見してしまった。それが、今年7月に開発、発表されたダイバーズウオッチ、トライデントである。
縦から横へスペースを広げる発想の転換で、
本格ダイバーズウオッチらしからぬ薄さを実現
開発したのは、スイスの時計メーカーであるNOVE(ノーヴェ)。
驚くなかれ、ケースの厚みは6.8mmしかないにもかかわらず、200mの防水性を実現しているのだ。一般的な腕時計でケース厚は10mm強、本格的なダイバーウオッチとなると、ケース厚が15mmを超えるようなものも少なくないが、トライデントは一般的なダイバーズウオッチのおよそ半分の厚みで優れた防水性を確保した。
もちろん、この驚きの数値を実現できた背景には、いくつかのからくりがある。
ひとつは、比較的厚みを抑えやすいクォーツムーヴメントを搭載している点だ。トライデントはムーヴメントに、スイス・ロンダ社性の薄型クォーツを採用した。
そして、もうひとつのポイントはベゼル。本格的なダイバーズウオッチでは、防水性の確保も重要な命題となるが、加えて、ダイバーに正確な潜水時間を提供するため、ダイビング中にベゼルが時計回りにしか回転しない、つまり逆回転防止機能付きのベゼルが必須の機能となっている。ダイバーズウオッチでは、この逆回転防止機能をベゼルに持たせる場合、ベゼルリングの下に逆回転防止機能を付加したベゼルの回転機構を設けるのが一般的。
しかし、ノーヴェのトライデントでは、ケース外側にベゼルの逆回転を規制する三つのレバーストッパーを設け、その外側に歯を設けた回転ベゼルを置くことで、ベゼルに逆回転防止機能を与えている。縦ではなく、横にスペースを取ることでケースに厚みを抑えたのだ。
これに加えて、トライデントは30mm径のサファイアクリスタル風防とネジ込み式リューズを与えることで、一般的なダイバーズウオッチと遜色ない、200mもの防水を実現させたのである。
ケースのカラーリングにもよるが、価格は360ドル〜530ドル。日本円換算で3万9240円〜5万7770円(1ドル=109円で計算)と、その性能の高さにしてはリーズナブルな価格も魅力だ。
日本未上陸ブランドゆえ、日本で購入することはできないが、公式サイトではペイパルなどの電子決済が可能なシステムが実装されているので、インターネットを通じてで購入可能。気になった方は、ぜひチェックされたし。
NOVE(ノーヴェ)
トライデント
■Ref.E009-02。SS(ブルーIP加工、46mm径)。200m防水。クォーツ(Cal.Ronda 1062 Slimtec Quartz)。写真のモデルは530ドル(日本円で約5万7770円)
写真は、トライデントのサイドビュー。ご覧の通り、本格的なダイバーズウオッチとは思えないほど厚みが抑えられている。
ケースバックは厚みを抑えるためであろう、ネジ止め式を採用。また薄型ケースに合わせて、ブレスも薄く作られている。
文◎佐藤杏輔(編集部)
【問い合わせ先】
NOVE
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