3年を費やして開発された新型ムーヴメントを搭載
世界に30店舗を展開するドイツの老舗高級時計宝飾店が2006年に立ち上げた“ヴェンペ”。いまやグラスヒュッテを代表するマニュファクチュールの時計メーカーのひとつに数えられる。そんなヴェンペの悲願だったオリジナルの自動巻きムーヴメント、Cal.CW4を完成させたのがブランド創設10周年を迎えた16年。そして、その最初の搭載コレクションとして17年に市場に投入されたのが、このクロノメーターヴェルケ オートマティックである。
搭載されたCal.CW4は開発に3年を費やしたというだけあって、その独自設計もさることながら、ポテンシャルもかなり高い。なかでもこだわったのが92時間というロングパワーリザーブだ。しかも、オフセンターに配置された小振りなタングステン製ローターは、今後の汎用性を考慮して設計されたもので、優れたエボーシュとして知られるETA2829の1.7倍もの巻き上げ効率を誇るというからすごい。まさに実用性を最大限重視するヴェンペらしい作りといえるだろう。
特徴的レイアウトのムーヴメント。オフセットされた重いタングステン製ローターで巻き上げ効率とムーヴメントの装飾性をともに高める。
一見シンプルな文字盤はよく見ると細かな粒子状の質感を持ち、マットでありながら光沢感もある独特な仕上げで静謐な印象を与えている。加えてケースはポリッシュ面と、ヘアラインの面がキレイに仕上げ分けられているほか、ミドルケースとラグが切り替わる部分のヘアライン仕上げも非常に丁寧。
余計なものを削ぎ落とした、いかにもドイツらしい質実剛健なデザイン。視認性を重視したシンプル文字盤で時計単体だと比較的大きく見えるが、ラグは短く腕のカーブに沿う形状でフィット感はすこぶる良好である。(文◎菊地吉正)
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