流線型のフォルムが、見る者の目を引き付けるブルガリ エルゴン。ケースからベルトまで、全体が緩やかなカーブを描くように作られているので、腕に巻いたときの着け心地も抜群。自らを「一点豪華主義」と分析する小野寺さんが愛用している1本だ
ボタンダウンのシャツに、ジーンズというラフな格好で取材陣を迎え入れてくれた小野寺昭さん。優しそうな微笑みと柔らかな物腰は、テレビで観るそれと同じだ。挨拶もそこそこに早速、腕時計を拝見せてもらった。
「今日してるのはブルガリだね。ここのところブルガリが好きで、今は3本ぐらい持っている。一時、腕時計に凝っていた時期があって、その頃はロレックスにオメガ、カルティエなど、12~13本ぐらいあったんだけど、最終的にブルガリに落ち着いたという感じなのかなあ」
そう言いながら、腕から外したのはブルガリのエルゴン。人間工学を意味するエルゴノミックスから名付けられた機能美溢れるモデルだ。
「でも、意外に重くてね(笑)。こうやって身に着けて外に出るのは、人前に出るときや、お芝居のリハーサルなんかのときだけ(笑)。それ以外はもう少し軽い時計を使っていますね。うん、それもブルガリです。え、ブランドとして好きな理由ですか? う~ん……なんでだろうなあ。やっぱり見た目、なのかな」
ブランドとして好きな理由ですか? う~ん……なんでだろうなあ。やっぱり見た目、なのかな
ちなみに、ブルガリ以外の高級時計の多くは、すでに息子さんたちに譲ってしまったそうだ。
「長男にロレックス、次男にオメガ、三男にカルティエ、とそれぞれ大人になった記念としてプレゼントしましたね。正直にいっちゃうと、僕はもうこの歳になったら腕時計にそれほど興味はないんですよ。たくさん集めてもね、結局は本当に好きな物しか使いませんから。若い頃は、欲しくなったらギャラなんて入ってきたぶんだけ何でも買っちゃう、なんて時期もありましたけど、今にして思えばムダ遣いしちゃったなっていう(笑)」
僕はもうこの歳になったら腕時計にそれほど興味はないんですよ。
たくさん集めてもね、結局は本当に好きな物しか使いませんから。
そんな風に物やお金への執着が薄れた代わりに、小野寺さんは別の人生の楽しみ方を見つけた様子。
「実は大阪芸術大学短期大学部というところで、演劇の教授をすることになりまして。僕はもともと、若い人に教えることがあんまり好きじゃなかったんだけど、今では自分の体験してきたことを伝えるのがすごく楽しくてねえ。本当にお金では買えない経験をさせてもらっています。もちろん僕のほうも一生懸命、今までやってきたことを還元する……といったら大袈裟ですけども、1人でも2人でも演劇に興味を持ってくれる人が増えればいいなという気持ちでやっています」
自分の手にした物を次世代へ贈る。それが小野寺さんの現在の幸せなのだ。
AKIRA ONODERA 943年9月19日生まれ。北海道出身。1969年、ドラマ『パンとあこがれ』にてデビュー。その後、『太陽にほえろ』の島公之刑事役で大々的にブレイク。役のニックネームであった“殿下”は、そのまま自身の二つ名として広く世間に定着した。ドラマ以外にも映画、舞台、CMなど、幅広い活躍を見せてきたが、最近ではバラエティにも積極的に出演している。また今年4月からは、大阪芸術大学短期大学部広報学科の教授も務めている。