女性編集者がレディースウオッチの新作を実際に見て、感想を交えて紹介する本企画。今回は“CARTIER(カルティエ)”の“タンク マスト”の実機をレビューしていきます。
170年以上の歴史を有する名門メゾン、カルティエ。高級ジュエラーとして世界的な名声を博していますが、時計に関してのアプローチも本格的です。
時計好きであればご存じかと思いますが、飛行家アルベルト・サントス=デュモンから依頼を受けて完成した世界初の実用的な紳士腕時計は、現在も製造の続く“サントス”の原型となっています。
今回の“タンク マスト”はメゾンのエントリーラインに位置付けられているモデル。“タンク”名としては1917年に誕生しており、“サントス”同様長い歴史を誇っています。
【コレクションのおさらい】
平行に伸びたレクタンギュラーケースがデザインテーマの“タンク マスト”は、2021年に登場し、伝統的な”タンク”のデザインの意匠を受け継いだコレクション。
“タンク”と、極めてシックなデザインで1970年代に誕生し当時多くのファンから愛されたレ マストが融合した革新的なモデルです。
現在、“レ マスト”は展開を終了しており、“カルティエ コレクション”の収蔵品として博物館などで展示されています。
“タンク マスト”は自動巻き、クォーツ、そしてソーラーの三つの種類で展開。今回は新機軸となるソーラーモデルにフィーチャーします。
【チェックポイント】
》新開発されたソーラービートムーヴメント
投入されたソーラーウオッチはメゾン初。今後永く続くサステナビリティの時代とデザインの不変性を大切にしたいというメゾンの思いから、開発チームが2年の歳月をかけて、デザインを修正することなく光発電の原理を適用することに成功。満を辞して登場しました。
文字盤の下にソーラーパネルが重なっており、肉抜きされたローマ数字インデックスから光を集約して駆動します。
写真でもわからないほどインデックスが文字盤となじんでおり、“タンク”のスタイリッシュなデザインは変わっていません。
》非動物性素材を採用したベルト
ソーラービートムーヴメントももちろん重要ですが、実はベルトも注目ポイント。
こちらには新素材となる、ヨーロッパで栽培されたリンゴの廃棄物などを約40%使用した、非動物性素材のベルトを採用。サステナビリティを考慮したブランドの思想が反映されています。
レザーベルト生産時と同じ耐久テストを施しているため、耐久性の心配もありません。なお質感もほぼレザー素材と同じで、見た目の区別はつきません。
工具なしでベルトの着脱が可能なクイックスイッチも付いていますので、簡単にベルトを付け換えることができます。
》艶のあるブルーシンセティックスピネルのカボションリューズ
メゾンのアイコニックなデザインポイントであるカボションカットのリューズ。こちらにはブルーシンセティックスピネルがセットされています。爽やかなブルーがホワイト文字盤、ステンレススチールケースによく映えています。
ちなみにステンレススチールモデルのリューズのストーンはブルーシンセティックスピネル、と決まっているそうです。
【装着感】
■カルティエ。タンク マスト。Ref.CRWSTA0060。SS(29.5×22mmサイズ)。日常生活防水。ソーラービート。31万200円
ケースサイズは、縦でも30mmアンダーと小振り。頼りない私の手首にもなじんでくれました。“タンク マスト”はラグが設けられていないため時計と手首の間に無駄な隙間ができることなく手首に沿ってくれます。
またコレクションをとおしてシンプルな表情のため、ビジネスからカジュアルファッションまで幅広くマッチ。1本は所持しておきたいところです。
女性の手首に合う“タンク マスト”SM、LMサイズはクォーツ、ソーラービートの二つのムーヴメントで展開。両者ともに価格差があまりないので、個人的には数年置きの電池交換が不要で手間暇のかからない、ソーラービートモデルの購入をおすすめしたいです。
文◎松本由紀(編集部)/写真◎水橋崇行
【問い合わせ先】
カルティエ カスタマー サービスセンター
TEL.0120-301-757
https://www.cartier.jp