セカンダリーマーケットにおける腕時計の高騰ぶりはよく知られるところだが、実はここ数年、海外ブランドは材料費の高騰や国内外の価格差調整などを理由に、国内定価自体も全体的に値上がり傾向にある。
これもあって最近やや選択肢が少なくなったと感じるのが、“20万円台”というプライスゾーンのアイテムだ。この辺りの時計は、デイリーユースとしてもある程度気兼ねなく使えるなど、なにかと重宝するため、探している人も少なくないのではなかろうか。
そこで改めて20万円前後で購入できる魅力的なアイテムを探してみると、シチズンやオリエントスター、オシアナスなど、実は国産各社が非常に力を入れていることがわかる。先に発表されたばかりのキングセイコーなど、まさにこのプライスゾーンを狙った戦略モデルだろう。
今回は、国産各社がしのぎを削る20万円前後の実力派モデルを厳選して紹介しよう。
キングセイコー
■Ref.SDKS001。SS(37mm径)。10気圧防水。自動巻き(Cal.6R31)。19万8000円(2022年2月18日発売)
2022年にレギュラーラインとして復活したキングセイコー。デザインのベースとなっているのは1965年に発売された2代目の通称“KSK”。このKSKは高い実用性を追求しつつも、無駄のない文字盤レイアウトにエッジを際立たせたシャープなケーススタイリングを備えたキングセイコーデザインを確立したモデルだ。レギュラー化に先駆けて2021年に限定復刻されたモデルでは、セイコーの現行自動巻きムーヴメントとしては最も薄いものとなるCal.6L35が搭載されていたが、今作ではノンデイト仕様のCal.6R31を採用。精度面ではやや劣るものの、後者のほうが約70時間のロングパワーリザーブを有するうえ、価格が大幅に抑えられた。
【問い合わせ先】セイコーウオッチお客様相談室 TEL.0120-061-012
www.seikowatches.com/jp-ja/products/kingseiko
シリーズエイト/870 メカニカル
■Ref.NA1004-87E。SS(40.8mm径)。10気圧防水。自動巻き(Cal.0950)。22万円
2021年に8年の時を経て再始動したシチズンのシリーズエイト。同シリーズを代表するモデルが“870 メカニカル”だ。曲線と直線をバランス良く組み合わせたケースフォルムをもち、さらに2体構造となったユニークなベゼルが与えられた。搭載されているのは新開発されたCal.0950で、ハイスペックながらも4.1mm厚という薄型化を実現。さらにJIS第2耐磁時計でありながらケース自体の厚みも10.9mm(設計値)に留められている。このケース自体の薄さに加えて、ブレスレットのコマがフラットにデザインされているため、実際装着してみると、腕へ吸い付くようなフィット感が心地良い。
【問い合わせ先】シチズンお客様時計相談室 TEL.0120-78-4807
https://citizen.jp
オリエントスター/メカニカルムーンフェイズ
■Ref.RK-AY0104N。SS(41mm径)。5気圧防水。自動巻き(Cal.F7M62)。19万8000円
2017年にブランド初の機械式ムーンフェイズ機能搭載機として登場して以降、ブランドを代表する人気モデルとして定着。現在では様々なバリエーションも展開されている。ローマン数字インデックスなど古典的な雰囲気を強調すると同時に、セミスケルトン仕様やパワーリザーブインジケーターなどオリエントスターらしい意匠を盛り込み、オリジナリティーが発揮されたデザインも人気を集める。搭載しているのは1971年(昭和46年)に開発されたロングセラーの46系キャリバーをチューンナップしたムーヴメントで、信頼性も高い。
【問い合わせ先】オリエントお客様相談室 TEL.042-847-3380
https://www.orient-watch.jp/orientstar/
オシアナス/マンタ S5000シリーズ
■Ref.OCW-S5000E-1AJF。TI(42.3mm径)。10気圧防水。クォーツ(電波ソーラー、モバイルリンク)。19万8000円
カシオでもハイグレードなラインとして位置付けられているオシアナスは、ブルーを基調としたシャープで高級感あるルックスが持ち味で、スポーティブなテイストを交えたビジネスウオッチとして幅広い支持を得ている。そのオシアナスでフラッグシップに位置付けられるのが“マンタ”だ。Bluetoothを介してのスマートフォンリンクによる多彩な機能性に加え、軽量なチタンを用いることで82gという軽さを実現すると同時に、ザラツ研磨によって上質な仕上げを追求するなど外装の造形にも随所にこだわりが光る。またケースの厚みも9.5mmに留めており、その軽さとも相まって非常に軽快な着け心地を実現している。
【問い合わせ先】カシオ計算機 お客様相談室 TEL:03-5334-4869
https://oceanus.casio.jp
文◎堀内大輔(編集部)