ロレックス・ サブマリーナのRef.5513にアウトラインのリベットブレスを実際に装着。ブレスが主張しすぎず全体の雰囲気もいい感じだ
リベットブレスとは、アンティークのサブマリーナなど1950年代半ばから60年代半ばまでの、ロレックス・スポーツ系モデルに採用されたブレスレットのことだ。ブレスレットのコマとコマをリベット(鋲のようなもの)でつないだ仕様からそう呼ばれるようになった。
近年ではチューダー(以前のチュードル)が、ブラックベイコレクションに装飾的に採用し、古典的な雰囲気に仕上げたことで話題を呼んだが、そんな当時の雰囲気を忠実に再現した現代版リベットブレスが完成した。そこでその概略を紹介したい。
今回、製作したリベットブレスは、俳優でアンティークロレックスの愛好家としても知られる、俳優の“木下ほうか氏”と、筆者が展開する時計ブランド“アウトライン”とのコラボ企画として、木下ほうか氏監修の腕時計の開発に合わせて実現したものなのである。
出来上がってきたプロトタイプをチェックする木下ほうか氏
製作にあたっては、ほうか氏の要望を受けて、当時のリベットブレスに極力忠実に再現することに主眼をおいた。そのひとつがブレスレットのコマの作りだ。先述したチューダーもそうだが、現在のコマは時計本体の大型化に伴い、そのほとんどがスチールの無垢(塊)のため厚くて重い。
それに対して50〜60年代はいまのように時計本体も小さく軽いため、もちろん当時は技術的な問題もあったろうが、ブレスレットも薄くて軽い。この感じを再現するには、当時と同じ中空タイプで仕上げなければならない。
バネ棒も通常のものではなくロレックスが採用する太いタイプに対応。また、当時の初期型にあった伸び縮みするエクステンション仕様なのも大きな魅力
ここで問題になったのが、ブレスメーカーは無垢仕様がほとんどのいま、中空でしかもリベットが付くなどパーツも多く手間がかかる、この製作を受けてくれるところが果たしてあるかということだった。そして、3社ほど当たり、唯一請け負ってくれたのが、ベルトメーカー最大手のバンビ社だった。なんとか現場を説き伏せてくれて、実現した代物なのである。
さて、このリベットブレスには、もうひとつほうか氏の要望で当時のオリジナルにはない画期的なあるアイディアが盛り込まれている。それは一部のコマはリベットではなくネジ留めにしているためメガネドライバーがあれば、自分自身でブレスのコマ詰めができるような仕様にしている点だ。
バックルに近い6個のコマが片方だけネジになっているため、メガネドライバーがあればブレス調整が自分でできる
実はこれ、ほうか氏自身が不便を感じていたことらしく、当時のリベットブレスは、コマ詰めの際に構造的に自分ではうまくできず。そうした不便さから生まれたアイディアだったようだ。
なお、このアウトラインのオリジナルリベットブレスは、ブレスとケースのラグをつなぐ弓カン(フラッシュフィット)は、ロレックスの型番でいうところの、Ref.FF580に近づけて製作している。そのため当時のロレックスにも付けられる点も最大の特徴なのである。ブレスレットは使うほどに劣化する。そのため普段使いするときの代替えブレスレットとして活用できるというわけだ。
木下ほうか氏所有のロレックス、GMTマスターのRef.1675にも装着。弓カン(フラッシュフィット)もピッタリで、しっかりなじんでいた
時計専門のクラウドファンディングサイト“ウオッチメーカーズ(WATCH Makers)”にて7月3日から、ほうか氏監修の新作ダイバーズモデルとともに先行受け付けを開始する。ちなみにブレスレット単体の価格は税込み2万4200円。
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