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価格をとるか、雰囲気か? サブマリーナー、Ref.5513の悩ましき選択|ロレックス通信 No.150

アンティークの雰囲気は少し落ちるが、買い得感は高いラッカーダイアル

 そして最後のラッカーダイアルだが、時分針が文字盤にわずかに映り込むほど光沢感が出てモダンな印象が強まった。そして、この文字盤からはそんなモダンさを強調するもうひとつの大きな変更点がある。それはドットインデックスにこれまで無かったメタルのフチ取りが新たに追加されたことだ。

 本来であれば同じレファレンスでも高年式となれば、コンディション的にも比較的に良いため当然需要も高まって価格相場も上がるのだが、この5513については、このメタルのフチ取りによって現代的な雰囲気が強まったことが仇になり、それ以前のフチ無しよりも人気が低い。

同じRef.5513だが夜光素材は上がトリチウム、下はルミノーバだ。上の“T<25”とは放射量が安全基準の25ミリキューリーよりも低いことを表しており、ロレックスは1998年頃まで採用していた。そのため5513は本来トリチウム仕様なのだが下の写真にはその表記がない。つまり文字盤が新しいものに交換されルミノーバ仕様になったことを意味する

 ちなみに、フチ無しのマットダイアルでそこそこのコンディションの個体を狙うとなると200万円以上は覚悟しなければならないが、このフチありの場合だと160万円台から十分に狙える。購入するうえでの優先順位は人それぞれだが、この価格差を考えると一考の価値はあると思うのだがいかがだろうか。

 なお、フチありを狙う場合にもうひとつ知っておきたい点がある。それは文字盤と針が正規ロレックスでのメンテナンスの際に新しいものに交換されている場合があるということだ。見分ける方法は6時位置にあるバーインデックス下(上の写真参照)を見てもらうとわかる。

 夜光素材が本来のトリチウムの場合は「SWISS - T<25」となるが、文字盤が交換されてルミノーバ仕様になると「SWISS」だけの表示となるようだ。ルミノーバの場合はトリチウムのように飴色に変色しないため経年変化によるアンティークの風合いが若干落ちる。この点がマイナス要素となってしまうため、さらに割安な140万円台から狙えてしまうというわけだ。

菊地 吉正 - KIKUCHI Yoshimasa

時計専門誌「パワーウオッチ」を筆頭に「ロービート」、「タイムギア」などの時計雑誌を次々に生み出す。現在、発行人兼総編集長として刊行数は年間20冊以上にのぼる。また、近年では、業界初の時計専門のクラウドファンディングサイト「WATCH Makers」を開設。さらには、アンティークウオッチのテイストを再現した自身の時計ブランド「OUTLINE(アウトライン)」のクリエイティブディレクターとしてオリジナル時計の企画・監修も手がける。
2019年から毎週日曜の朝「総編・菊地吉正のロレックス通信」をYahooニュースに連載中!

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