なんと自費で建ててしまった! ロレックス、オメガなど500本以上の貴重なアンティーク時計を展示する博物館

 “ヴォガ・ウオッチミュージアム&カフェ”という、海外ブランドの貴重なアンティークウオッチ(主に腕時計)を集めて展示している時計博物館があることをご存じだろうか。かつてアンティークウオッチのバイヤーだった故・益井俊雄さんが30年間のバイヤー生活で収集した800本以上の貴重なコレクションの中から、常時500本以上を展示する知る人ぞ知る私設博物館なのである。

 オープンしたのは2017年4月29日と5年前のこと。実のところ筆者は、設立にあたって益井さんの膨大なコレクションを1冊に収録した本の出版のお手伝いをさせていただいた。博物館に展示するだけでなく資料としても後世に残したいという益井さんの強い思いがあったからである。

 そして筆者が刊行するアンティーク時計の専門誌“Low BEAT”の編集部が全面協力し、800本以上のアンティーク時計をムーヴメントも含めてすべて撮影。日本語と英語の解説文を添えて324ページの分厚い1冊に仕上げ、「ウオッチミュージアム ヴォガ アンティークコレクション」(4950円、シーズ・ファクトリー刊)と題して書店で販売したのだ。ちなみに現在はミュージアムとウオッチライフニュースのオンラインSHOPでのみ販売している。

800本以上も所有する益井俊雄さん。その全コレクションを収録した「ウオッチミュージアム ヴォガ アンティークコレクション」(4950円、シーズ・ファクトリー刊)を出版

 そんな設立当時に益井さんはこんなことを言っていたことを思い出す。

「ミュージアムは資金と物があれば出来ますが、どちらかというとその後の維持管理のほうが大変です。どうやれば末永く続けていけるのかずいぶん悩みました」。

 確かにお金があれば作ることができても、小さなものではないだけにその後の維持費はどうしてもそれなりにかかってしまう。それでも決断した背景には、日本にあるアンティークウオッチが近年どんどん海外に流出している現状に対する危機感からだったと当時話していた。

ブライトリングの展示ショーケース。もちろんほかにもロレックスやオメガ、パテック フィリップなどの人気ブランドのショーケースもある

 そして、いまやそれも現実のものとなってしまった。時計だけでなく中古の日本車などもそうだと思うが、日本人はとかくものを大切に扱うため、中古やアンティークだとしても総じてコンディションがいい。そのため海外の愛好家からもかなり評価が高いのだ。しかも、このコロナ禍で越境ECの需要が加速し、わざわざ日本に来なくても手に入れられる環境が整ってきたことも大きい。日本市場が低迷気味ということもあり、いまや日本にある個体がどんどん海外に流れてしまう傾向にあることは否めない。

 さて、ミュージアムが設立されているのは島根県江津(ごうつ)市。益井さんの故郷である。ちょうど4年前の今日(2018年4月16日)、筆者も一度訪問している。さすがにそれ以降はコロナ禍になるなどなかなか行けずにいるが、フローリングやショーケースがウッドで統一され、しかも自然光が入るためぬくもりも感じて心地いい。そのため妙に落ち着く雰囲気だ。しかも、ミュージアムにはカフェも併設されているため、くつろぎながら時間を気にせずゆっくり楽しめると思う。

アンティーク調の木のショーケースにはブランドやテーマごとに時計が展示されている。外光も入るため明るい雰囲気だ

 最寄りの萩・石見(いわみ)空港までは羽田から約1時間半のフライト。4年前に筆者が行ったときは羽田発10時40分の飛行機で向かい、空港からはクルマで約1時間だったためなんと午後1時半には着いてしまうほどだった。ミュージアムの真ん前が海とロケーションも抜群。そのためこれからの季節こそ色々と楽しめる最高の場所だ。コロナウイルスの感染拡大状況を見つつだが、感染予防対策をしっかりして、時間があればちょっと足を運んでみてはいかがだろうか。

【写真】ヴォガ・ウオッチミュージアム、その他の写真をチェック!

<ヴォガ・ウオッチミュージアム&カフェ>
住所:〒699-3161 島根県江津市波子町イ1255-230
営業時間:10:00~17:00
入場料:大人1,000円
定休日:毎週火曜日 (GW、7月16日〜8月末までを除く)
アクセス:<お車で>山陰自動車道・浜田東ICから約5分、浜田自動車道・浜田ICから約9分
アクセス:<公共交通機関で>JR山陰本線・波子駅から徒歩10分
駐車場:あり
電話番号:0855-52-7565
公式WEBサイト:http://voga-museum.com/

菊地 吉正 – KIKUCHI Yoshimasa

時計専門誌「パワーウオッチ」を筆頭に「ロービート」、「タイムギア」などの時計雑誌を次々に生み出す。現在、発行人兼総編集長として刊行数は年間20冊以上にのぼる。また、近年では、業界初の時計専門のクラウドファンディングサイト「WATCH Makers」を開設。さらには、アンティークウオッチのテイストを再現した自身の時計ブランド「OUTLINE(アウトライン)」のクリエイティブディレクターとしてオリジナル時計の企画・監修も手がける。
2019年から毎週日曜の朝「総編・菊地吉正のロレックス通信」をYahooニュースに連載中!

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