パテック フィリップは、Watches & Wonders Geneva 2022において、“ヴィンテージ・スタイル”と“グリーンカラー”を含め、四つのテーマを柱として、実に12ものニューモデルを発表した。情報は順次お届けしていく予定だが、まずは先の二つのテーマにおけるハイライトとなる2モデルを紹介する。
年次カレンダー・トラベルタイム
5326G
■K18WG(41mm径、11.07mm厚)。3気圧防水。自動巻き(Cal.31-260 PS QA LU FUS 24H)。888万8000円
同社における象徴的な二つのコンプリケーションを、まったく新しいデザインのケースに初めて統合した新作が、年次カレンダー・トラベルタイム5326だ。
今日100件を超える技術特許を有したパテック フィリップでは、とりわけコンプリケーションの分野で存在感を示している。そのなかでも有用な機構として知られるのが、曜日、日付け、月を表示する完全なカレンダーであり、年に一度のみ日付け調整を必要とする年次カレンダー(1996年に特許取得)と、二つのタイムゾーンの時刻を表示するトラベルタイム(1997年発表)だ。
新作の5326は、独創的で操作も容易なこの二つのコンプリケーション機能を、初めてひとつの時計に統合した。
このユニークな機能を実現するため、同社技術陣は、トラベルタイム機構が年次カレンダーを制御し、前進・後退、いずれの方向にも日付け調整が可能な、新たな自動巻きムーヴメント、Cal.31-260 PS QA LU FUS 24H(8件の技術特許)を設計した。これにより、日付け表示は常に現地時刻に同期し、タイムゾーンを変更すると同時に日付け表示も修正される、有用なコンプリケーションを生み出した。
また5326には側面全周にクルー・ド・パリ(ホブネイル・パターン)・ギョーシェ装飾を施したまったく新しいケースも与えられた。さらにアンティークカメラの外装を彷彿させるブラック・グラデーションのテスクチャード・アントラサイト文字盤、シリンジ(注射器)型の針、ベージュ夜光付き植字インデックスと、文字盤デザインもヴィンテージルックな仕上がりだ。
永久カレンダー搭載クロノグラフ
5270P
■Pt(41mm径、12.4mm厚)。3気圧防水。手巻き(Cal.CH 29-535 PS Q)。2446万4000円
パテック フィリップのコレクションには、これまでにも注目に値するグリーンのカラーが登場している。2021年にも、新しい文字盤カラーであるオリーブグリーンを発表。Twenty~4 オートマチック7300/1200A-011モデルに始まり、ステンレススチール仕様ノーチラス5711シリーズの最後の2モデル(5711/1A-014と5711/1300A-001モデル)、およびステンレススチール仕様の自動巻年次カレンダー・フライバック・クロノグラフ(5905/1A-001モデル)と、それらは大きな話題を集めた。
これに続き、22年は“グリーンカラー”を大きなテーマとして多彩な新作を発表しているが、なかでも注目は美しいヴィンテージ・カーのボディワークを彷彿させる、ブラック・グラデーションのラック・グリーン文字盤を採用したプラチナ仕様の永久カレンダー搭載クロノグラフ5270Pだろう。
1941年の1518モデルに始まる同社のダブル・コンプリケーションの伝統を受け継ぐ、5270モデルは2011年に発表された。
このタイムピースを新たに解釈した新作では、クラシックな文字盤スタイルは踏襲しつつも印象的なラック・グリーン文字盤が与えられたプラチナモデルとなっている。
搭載しているCal.CH 29-535 PS Qは、同社初の完全自社開発・製造による永久カレンダー搭載クロノグラフ・ムーヴメントであり、伝統的なアーキテクチャーと、クロノグラフに関する特許取得の六つの技術革新、そしてきわめて薄いカレンダー機構を特徴としている。
【問い合わせ先】
パテック フィリップ ジャパン・インフォメーションセンター TEL.03-3255-8109
公式サイト https://www.patek.com/ja/
文◎堀内大輔(編集部)