意外と知らない時計知識

Q21.タキメータースケールは何のためにあるのか

A.1km移動するのにかかる時間から、平均時速を割り出すため

 “タキメータースケール”(以降タキメーター)とは、ベゼルに配された目盛りのこと。1km移動するのに要した時間を計測し、その区間の平均時速を割り出せる、クロノグラフの機能のひとつだ。ちなみに、速いという意味をもつタキ(Tachy)と計算尺のメーター(Meter)が語源となっている。

デイトナのタキメーターの数字は当初200だったが、現在は最大で400(km)まで計測できる仕様となっている

 タキメーターの数字は、クロノグラフ秒針が計測スタート後の30秒の位置、つまり時間でいう6時位置に時速120km、同じく60秒の位置(12時位置)に時速60kmというように、時速換算のため1時間の秒数である3600秒を1km移動にかかった秒数で割った値となっている。
 飛行機の普及以前、タキメーターは最大でも100km程度の刻みしかなかったが、以降、刻みは年々細かくなっていった。
 A.ランゲ&ゾーネのデザイナーであったラインハルト・メイス氏によると、1940年頃までは500km、50年代以降は750kmから800km、50年代半ばからは1000kmが最大表示とのこと。

 使い方としてはまず、計測開始と同時にクロノグラフをスタートさせる。次に1kmの地点でストップさせる。この際、クロノグラフ秒針が指し示すタキメーター上の数字が時速ということになる。

 

文◎松本由紀(編集部)

 

【意外と知らない時計知識】
■Q1.腕時計の防水性能表示「m(メートル)」と「BAR(バール)はそもそも何が違う?【ダイバーズ編】
■Q2.ローマ数字インデックスにおいて、4はなぜ“IV”ではなく“IIII”とするのか
■Q3.時計の時表示はなぜ“0(ゼロ)”ではなく“12”なのか
■Q4.“m”表示の防水性能以外で、潜水用ダイバーズウオッチに必ず必要なものとは?【ダイバーズ編】
■Q5.日常生活において磁気の影響を受けてしまうのはどんなとき?
■Q6.ハイスペックな潜水時計に装備されているバルブは、なんのためにあるか【ダイバーズ編】
■Q7.街中にある大時計には、なぜ秒針がないのか
■Q8.東京2020オリンピックおよびパラリンピックのオフィシャルタイムキーパー(公式時計)を務めたメーカーは?
■Q9.ダイバーズウオッチを着けて海水浴をしてしまった。洗ったほうがいいの?【ダイバーズ編】
■Q10.アンティークウオッチとは、いつ頃の時計を指すのか?
■Q11.“GMT機能”のGMTって何の略?
■Q12.“牡蠣”を意味する英語名が付くロレックスの3大発明とは?【ロレックス編】
■Q13.ロレックスの3大発明のひとつ“パーペチュアル”。開発を迫られた大きな理由とは?【ロレックス編】
■Q14.時計のムーンフェイズ機構、ある職業の人たちにとっては欠かせないものだった。それはどんな人たちか?
■Q15.“鳩時計”は正式名称ではない。では正式には何と呼ぶのか
■Q16.国産初となる完全防水時計って何?
■Q17.ロレックス3大発明のひとつ“デイトジャスト機構”開発の発想の原点は何か【ロレックス編】
■Q18.リューズはなぜ漢字で“竜の頭”と書くのか
■Q19.金属アレルギーでも着けられるステンレススチールの時計ってあるの?
■Q20.風防はすべて同じ素材なの?

-意外と知らない時計知識