グローバル化という言葉が一般的に認知されて久しい現在では、世界中の情報が手軽に検索できるため、日本に流通していない時計ブランドはないように思えるが、決してそうではない。海外に目を向けると、日本で知られていない魅力的な時計ブランドが続々と誕生していることがわかる。
日本で流通している時計ブランドといえば、スイスを筆頭に、ドイツ、イタリアあたりのブランドが定番といえるが、近年は時計立国として知られるスイス、ドイツ、日本以外の時計市場が勢いを増している。自動車産業に代わる地場産業としてローカルな時計ブランドが次々と誕生しているアメリカ、近年の経済発展に伴って時計産業が活発化している東南アジアなど、新勢力から魅力的なブランドがいくつも輩出されている。
今回注目したのはデンマークで創設された気鋭のウオッチメーカー“アバウト・ヴィンテージ”。現在は、日本でのディストリビューターをもたずにインターネットの公式サイトを通じてデンマークから時計の販売を行う、いわゆる越境ECでの展開を行っている今注目のブランドである。公式サイトは各国の言語に対応しており、日本から時計を購入することも可能だ。
アバウト・ヴィンテージは、2014年に幼なじみの時計愛好家2人がデンマークの首都コペンハーゲンで発ち上げた新興の腕時計ブランドだ。細部までこだわり抜いた高級感あふれるデザインに、シンプルなだけでない北欧のミニマルなタッチが溶け込んだ上品な腕時計を良心的な価格帯で提供している。すべての腕時計はミニマルな北欧デザインの精神を的確に反映するため、自社で一貫してデザインを担当。また、地球環境の保全や、環境保護団体への支援など幅広い活動も行っていることでも、高い評価を得ている。
“ヴィンテージはスタイルだけでなく、人生の転機となるような瞬間や思い出とともに歩んでいく道のり”という信念のもと、時計の製造を行っている同ブランドは、時間の経過とともに洗練度や価値が増していくような、ユーザー一人ひとりのかけがえのない時間に寄り添った腕時計を作り続けている。
そんなアバウト・ヴィンテージの時計をいくつか紹介していきたい。
1844 クロノグラフ
■SS(41mm径)。5気圧防水。クォーツ(Cal.6S11)。3万5600円
クロノグラフ機能が搭載された時計が誕生した、1844年という記念すべき年から、名前をつけたモデル。文字盤のデザインはシンプルでありながらも、バータイプインデックスとアラビアインデックスの二つを採用することで、ユニークな個性を演出しているクロノグラフモデル。
針のデザインまで、妥協のない作り込みを見せている。値ごろな価格を維持しながらも、細部のディテールにまで強いこだわりをもって時計製造を行っていることがわかる。
1971オートマチック
■SS(40mm径)。10気圧防水。自動巻き(Cal.STP 1-11)。10万300円
ブランド初、スイスメイドの機械式オートマチックモデル。スイスメイドの基準が定められた1971年にちなんで名付けられた。
アンティーク然としたデザインではあるが、10気圧防水を備えているため、日常で使用するのにぴったりな時計となっている。
1820オートマチック
■SS(40mm径)。5気圧防水。自動巻き(Cal.NH35A)。5万6800円
トーマス・プレストが世界で初めて、自動巻き時計の特許を登録した1820年にちなんで名付けられたモデル。
手頃な価格でありながら、細部までこだわり抜かれた完成度の高さは、まさにアバウト・ヴィンテージの理念を体現しているといえるだろう。
1926 アットシー
■SS(39mm径)。20気圧防水。クォーツ(Cal.TMI VH 31)。3万9800円
1926年にダイバーのための腕時計が誕生したことに敬意を評して“1926 アットシー”と名付けられたモデル。
ダイバーズスタイルにふさわしい、20気圧防水を備えているためタウンユースだけでなく、アクティブなマリンスポーツの際にも装着できる時計となっている。
アンティークの雰囲気をもちながら、防水性やムーヴメントは最新のものを搭載したアバウト・ヴィンテージの時計を、ぜひブランド公式サイトでチェックしてみてほしい。
【ブランド公式サイト:アバウト・ヴィンテージ公式サイト】
【公式インスタグラム:アバウト・ヴィンテージ公式インスタ】
文◎川田健人(編集部)