ロレックス @kikuchiのいまどきの時計考

菊地の【ロレックス】通信 No.075|並行輸入店に聞きました。何が売れましたか!ベスト10|1位〜5位

 昨日(1月2日)に配信した当連載のNo.074に引き続いて、今回も2010年から20年までの過去11年間をとおして最も売れたロレックスの総合ランキング・ベスト10をお届けしたい。今回は最も気になるトップ5についてである。

 どのようなデータに基づいたランキングなのかについては、昨日の記事を参照(下方に関連記事リンクあり)していただくとして、早速その顔ぶれを見ていきたいと思う。

  今回、11年間で最も売れたモデルとして栄えある第1位の座を獲得したのは何とエクスプローラー I (Ref.214270)だった。実は、このエクスプローラー I は過去11年間で1度も首位を獲得していない。それにもかかわらず、毎年上位に名を連ね、今回、総合トップを獲得したのである。

 使用シーンが限定されずに使い勝手のいいシンプルデザインで、幅広い層に対して人気が安定していたということもあるが、バリエーションが存在しないというのも実は大きい。なぜかというとロレックスの場合“型番での指名買い”が結構多いからだ。例えば同じサブマリーナーデイトでも、“LN”(黒)と“LV”(グリーン)が展開されているため人気が分散してしまう傾向にある。その点エクスプローラー I はカラー違いもなければ素材違いもなく1型しか存在しない。このこともプラスに働いたと言えるだろう。

 では、このエクスプローラー I から順に5位までを見ていくことにする。

1位(総合1位)|エクスプローラー I   Ref.214270

Ref.214270。SS(39mm径)。100m防水。自動巻き(Cal.3132)

 36mm径から39mm径にサイズアップされて2010年より展開される現行エクスプローラー I 。時計の大型化に伴い36mm径というサイズ感に物足りなさを感じていたユーザーから高い評価を得た。ただ、当初は分針の長さがサイズアップされる前の旧型と同じだったことから、目盛に針が届いてなかったために不評を買った部分もあったが、16年に実施されたマイナーチェンジで修正された。

 ちなみに2020年のランキングではなんとサブマリーナーデイト、Ref.11610LNを抑えて第2位。かろうじて実勢価格が100万円アンダー(現在は微妙だが)であることに加えて、次回のモデルチェンジ有力候補とされているところも大きく影響しているのかもしれない。国内定価 68万7500円に対して新品実勢価格 100万〜 105万円

2位(総合2位)|サブマリーナーデイト Ref.116610LN(生産終了)

Ref.116610LN。SS(40mm径)。300m防水。自動巻き(Cal.3135)

 2010年から20年のモデルチェンジまで製造された旧サブマリーナーデイト。このレファレンスからセラクロムベゼルが採用され、耐傷性を高めたほか高級感もアップし、過去のランキングでも数度、首位を獲得するほどの人気を獲得したモデルだ。

 しかしながら、近年は特にバリエーションのグリーン文字盤タイプの需要も高くなり人気が分散したことは確かだろう。そのため総合ランキングではトップにあと1歩及ばずという結果になった。新品実勢価格 150万〜 170万円

3位(総合3位)|コスモグラフ デイトナ Ref.116520(生産終了)

Ref.116520。SS(40mm径)。100m防水。自動巻き(Cal.4130)

 2000年に登場し、16年まで長きにわたって製造が続けられたデイトナの旧品番。もちろん現行だった時代の人気も抜群に高かったが、製造終了後もその人気が衰えなかったことで現行のRef.116500LNよりも上位にランクインする結果となった。

 現行が高くなりすぎたことに加えて、搭載するムーヴメントは現行と同じCal.4130で、性能的にも大きな差がなかったことも継続して人気を獲得できた理由のひとつと言えるのかもしれない。レアディテールを持つ個体なら、現行以上の相場で流通している。中古実勢価格 218万〜238万円

4位(総合4位)|GMTマスター II   Ref.116710BLNR(生産終了)

Ref.116710BLNR。SS(40mm径)。100m防水。自動巻き(Cal.3186)

 2013年からラインナップに加わった黒青ベゼルを備えた旧GMTマスター II 。現デザインに変更されたGMTマスター II になってから久しぶりの2色ベゼル復活となったことに加え、採用された黒青は歴代モデルには存在しなかった配色だったこともあり、そのスタイリッシュな雰囲気が高評価。“バットマン”の愛称がつくなど、一躍ヒットモデルとなった。

 19年にはモデルチェンジが実施され、この116710BLNRはわずか6年ほどしか製造されていない。にもかかわらずこの順位はいかに注目度が高かったかを物語る結果だ。希少性の高さもあり今後はさらに注目が集まる可能性は高い。中古実勢価格170万〜184万円

5位(総合5位)|コスモグラフ デイトナ Ref.116500LN

Ref.116500LN。SS(40mm径)。100m防水。自動巻き(Cal.4130)

 2016年に登場した現行のコスモグラフ デイトナ。今回3位にランクインしている旧型デイトナからの1番の変更はベゼルがセラクロム(セラミック)製へと改められた点だ。デイトナと言えば、旧型では黒文字盤の人気が圧倒的に高かったが、現行ではブラックカラーのベゼルが採用されたこともあって、よりメリハリが効いた白文字盤の人気が高い。

 そのため現在の実勢価格では白文字盤のほうが20万円ほど割高となっている。またいずれのモデルも200万円台後半と、定価の2倍以上もする驚くべき実勢価格で流通している。そのためこれまで以上に遠い存在となってしまったことは否めない。国内定価 138 万 7100 円に対して新品実勢価格 285 万〜 300 万円

菊地 吉正 - KIKUCHI Yoshimasa

時計専門誌「パワーウオッチ」を筆頭に「ロービート」、「タイムギア」などの時計雑誌を次々に生み出す。現在、発行人兼総編集長として刊行数は年間20冊以上にのぼる。また、近年では、業界初の時計専門のクラウドファンディングサイト「WATCH Makers」を開設。さらには、アンティークウオッチのテイストを再現した自身の時計ブランド「OUTLINE(アウトライン)」のクリエイティブディレクターとしてオリジナル時計の企画・監修も手がける。

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