アンティーク時計 @kikuchiのいまどきの時計考

【明日12月6日終了】80年代の手巻きデッドストックを再生させたアウトラインの最新作が9万円から!

 自分の宣伝で恐縮だが、オリジナルブランド「アウトライン」の最新作“1980リビルドシリーズ”の発売に先駆けて、クラファンサイト“WATCH Makers(ウオッチメーカーズ)”で実施してきた先行予約も、いよいよ明日12月6日(日)が最終日。そこで、あらためて全3モデルについて紹介させていただきたいと思う。

 この1980リビルドシリーズだが、実は1980年代に日本で販売されていたスイス製手巻き時計なのだ。昨年の11月にそれを扱っていた輸入商社からそのデッドストックが偶然見つかったという連絡が入り、今回、アウトラインでリデザインを行い1年かけて製品化したものなのである。つまり、ムーヴメントとケースはそのまま活用して文字盤のデザインのみをまったくの別物に変更したというわけだ。

 ラインナップは、バルジュー社のCal.7768を搭載した“ムーンフェイズクロノグラフ7768”、フォンテンメロン社のCal.FHF138を搭載した角形時計、レクタンギュラー138IVとレクタンギュラー138BLの2種の3タイプ。では、それぞれを簡単に紹介したいと思う。

<ムーンフェイズクロノグラフ7768>

写真は雰囲気を強調しブロンズの色合いになっているが、ゴールドはトップの着用写真の色味が正しい。真鍮ケース(裏ブタはステンレススチール)。ケース径36mm。非防水。手巻き(Cal.Valjux7768)。革ベルトはアリゲーター(トカゲ革)。限定17本。定価24万2000円

 オリジナルのデザインは白文字盤にゴールドでバータイプのアップライトインデックスを配し、細いリーフ針を採用したとてもシンプルなものだった。それを今回は、ゴールドのアルファ針にアップライト仕様のローマンインデックスを合わせて1950年代風のデザインに仕上げている。

 12時位置の30分積算計には、当時の積算カウンターに見られたテレホンユニットをさりげなく再現。かつては電話料金が3分ごとに加算されたため、それを確認するため3分ごとに目盛りが長くなっているというものだ。実は当時のクロノグラフの多くに採用されていたものである。

 そして、このモデルの魅力は何と言ってもムーンフェイズにある。その小窓も大きく、しかもディスクに描かれた月にはいまでこそほとんど表現されなくなった顔が描かれており、古典的な雰囲気で味わい深い。わずか17本のみが製品化できたというものだ。

<レクタンギュラー138IV>

レクタンギュラー138IV。真鍮ケース(メッキ、裏ブタはSS)。ケースサイズ24×31mm、ケース厚8.3mm。手巻き(Cal.FHF138)。限定32本(シルバーケース6本、ゴールドケース26本)。各11万円

 これのオリジナルは、文字盤に数字などのインデックスや装飾は何もなく時分針だけというもの。つまりノーインデックスタイプのドレスウオッチだったためファッション性の強いものだった。それを今回はブレゲ風のアップライト(立体的な)のアラビア数字に置き換えて、1940年代のアメリカ製角形時計、俗に言う“角金時計”のような雰囲気に仕上げたのである。

 ケースは丸みを帯びたシンプルなレクタンギュラーケースで、ワイヤーラグが施されたとても古典的なスタイルのため、ホワイト文字盤が少し経年変化したようなアイボリー系のカラーを採用。アラビア数字インデックスと時分秒針にはゴールドを使用し、大人っぽい落ち着いたデザインに仕上げた。

<レクタンギュラー138BL>

レクタンギュラー138BL。真鍮ケース(メッキ、裏ブタはSS)。ケースサイズは23.5×37mm。非防水。手巻き(Cal.FHF138)。限定33本(シルバーケース15本、ゴールドケース18本)。各13万2000円

 もうひとつの角形タイプは、そもそもケースの作りに魅力があった。側面に段差を設けた通称ステップドタイプのケースが採用され、加えて12時と6時位置にはさりげなくちょっとしたオーナメントがあしらわれるなど、時代を感じさせる造形が施されていた。しかも、このオーナメント自体は別体で取り付けられたもので、作りも凝っていたのだ。

 そのため文字盤デザインは、この装飾的なケースに対してそれをおさえる意味で、あえて地色にブラックを採用しつつ、インデックスに太めのアラビア数字を使い、文字盤デザイン自体を男っぽく存在感のあるものにしている。

 実のところ開発段階では同じデザインで文字盤中央のみをグレーにしたツートンダイアルにもチャレンジしてみたのだが、それはそれで魅力的なデザインではあったものの、全体の古典的な雰囲気に対してモダンな印象がだいぶ強まったため、今回はブラック1色を採用した。

 さて、今回搭載されているムーヴメントはすべて、未使用のデッドストック品ではあるが、当然30年以上も前のもののためすべてオーバーホールを実施。再調整を行なったうえで組み上げられている。そのためムーヴメントについては1年保証が付けているためご安心を。

 なお、冒頭にも触れたように、現在12月6日(日)まで「WATCH Makers(ウオッチメーカーズ)」で先行予約を受付中で10%OFFにて提供している。当サイトもぜひチェックしてみてほしい。

※クラウドファンディングは終了しました。現在公式サイトで販売中! 

菊地 吉正 - KIKUCHI Yoshimasa

時計専門誌「パワーウオッチ」を筆頭に「ロービート」、「タイムギア」などの時計雑誌を次々に生み出す。現在、発行人兼総編集長として刊行数は年間20冊以上にのぼる。また、近年では、業界初の時計専門のクラウドファンディングサイト「WATCH Makers」を開設。さらには、アンティークウオッチのテイストを再現した自身の時計ブランド「OUTLINE(アウトライン)」のクリエイティブディレクターとしてオリジナル時計の企画・監修も手がける。

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