ドイツ時計 レビュー記事 @kikuchiのいまどきの時計考

【最速実機レビュー】ドイツ時計、ヴェンペの新コレクション“アイアンウォーカー”はなかなかいいぞ!

 ヴェンぺ(WEMPE)というブランドをご存じだろうか。140年以上もの歴史をもつ、ヨーロッパやアメリカでは特に有名なドイツの老舗高級宝飾店である。

 2006年からは店舗展開のみならず、ドイツ高級時計の聖地“グラスヒュッテ”の地に時計工房を構え、手頃なエントリーラインのツァイトマイスターシリーズと、自社製ムーヴメントを搭載する高級ライン、クロノメーターヴェルケシリーズの2コレクションを柱に展開するれっきとしたドイツの高級時計メーカーでもある。

 そして今回、いち早く実機を見させてもらったのは、そんなヴェンペにとって約10年ぶりとなる新シリーズ“アイアンウォーカー”だ。

約10年ぶりの新コレクションとして投入された“アイアンウォーカー”

 このアイアンウォーカーだが、すでに存在する二つのコレクションは、どちらかというと革ベルトタイプが主軸となっているのに対して、すべてのラインナップがブレスレット仕様というのが大きな違いだ。いわゆる雰囲気的には昨今人気を博している“ラグスポ(ラグジュアリースポーツの略称)”スタイル。まさにブレス仕様かつ高防水性能にもかかわらず薄くて仕上げもキレイなのである。

 バリエーションは、10気圧防水のスタンダードな3針タイプが2サイズで36mmと40mm(文字盤は各3色展開)。加えて30気圧防水のダイバーズウオッチに10気圧防水のクロノグラフ(文字盤は両者とも2色展開)と全部で4型10種類の豊富なラインナップが揃う。

(左)■Ref.WI100004。SS(40mm径/9.70mm厚)。39万6000円 (右)■Ref.WI100003。SS(36mm径/9.70mm厚)。37万9500円。ともに10気圧防水。自動巻き(Cal.ETA2892-A2)

 その中から今回お借りしたのは、3針タイプの36mmと40mm。筆者は手首が貧弱なので36mmタイプを実際に着けてみた。

 真っ先に感じたのは、ケースやブレスの品質や仕上げの良さもさることながら、やっぱりこの小振りなサイズ感だ。ブレス仕様でしかも機械式自動巻きでありながら36mm径という小振りなサイズは、他社で筆者が真っ先に思い浮かんだのはロレックスのデイトジャスト36ぐらい。いずれにせよそうとうに少ない。

 しかも、デイトジャスト36はケース厚が約12mmなのに対して、アイアンウォーカーは約9mmと非常に薄い。そのため、それに伴ってブレスレットも薄い作りなので着けやすくなじみもいい。ケースが大型化したことから肉厚なブレスモデルが多い昨今ではとても珍しいこと。細い人にはぜひオススメである。

36mm径という小振りなサイズもさることながら、ブレスレット仕様で約9mmという薄さは着用感という点では大きな魅力である

 デザインはバーインデックスにペンシル型時分針とまさに腕時計の王道とも言える組み合わせ。ビジネスシーンにも合わせやすい使い勝手のいいシンプルさだ。

 肝心の自動巻きムーヴメントはETA社のCal.2892-A2。自社で開発したムーヴメントではないが、ヴェンペの凄いところは、そのまま使うのではなく、一度すべてを分解して、精度の高さを証明するドイツクロノメーター検定にパスするレベルにまでモディファイしてから搭載している点だ。そのため精度面でも申し分ないのである。

 そして何と言っても驚くのはその価格。37万9500円(40mmタイプは39万6000円)と、このクオリティにして30万円台に抑えられている。時代を見据えたかなり戦略的な価格と言えるだろう。

 さて、このアイアンウォーカーだが、発売は10月14日を予定しているとのこと。それに先立って日本橋三越本店 本館6階では8月24日(月)までなんと実機が見られるという。しかも見るだけでなく、気に入ればその場で先行申し込みも受け付けてくれるそうだ。百聞は一見に如かず。この週末にでもぜひ出かけてみてはいかがだろう。

シェルマン日本橋三越:TEL.03-6225-2134(直通)

菊地 吉正 - KIKUCHI Yoshimasa

時計専門誌「パワーウオッチ」を筆頭に「ロービート」、「タイムギア」などの時計雑誌を次々に生み出す。現在、発行人兼総編集長として刊行数は年間20冊以上にのぼる。また、近年では、業界初の時計専門のクラウドファンディングサイト「WATCH Makers」を開設。さらには、アンティークウオッチのテイストを再現した自身の時計ブランド「OUTLINE(アウトライン)」のクリエイティブディレクターとしてオリジナル時計の企画・監修も手がける。

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