パテック フィリップが2020年の新作第2弾を発表した。
6月中旬に発表された第1弾は、新工場の落成を記念し製作された限定のカラトラバであった。
同作は、文字盤センターにカーボンスタイルのテクスチャーを配するなど、既存モデルにないデザイン的なアプローチを見せるなど興味深いものだったが、今回は時計界の最高峰たるパテック フィリップの本領を発揮。その実力を改めて示す、複雑なコンプリケーションを3モデル投入した。
ミニット・リピーター・トゥールビヨン「5303」
2019年、シンガポールで行われた“ウォッチアート・グランド・エグジビション・シンガポール2019”において、12個の限定製作モデルとしてデビューを飾ったミニット・リピーター・トゥールビヨン5303が、デザインに細部の変更を加えられ、現行コレクションに迎えられた。
■Ref.5303。K18RG(42mm径/12.13mm厚)。非防水。手巻き(Cal.R TO 27 PS/パワーリザーブ最大48時間)。時価
本作における最大の特徴は、ご覧のとおり、従来裏ブタ側にあるチャイム機構(10-11時位置)を文字盤側に据えたことだ。
リピーターウオッチの愛好家のために創作されたこの新しいモデルは、文字盤のないオープン・アーキテクチャーによってその精緻なメカニズムを際立てており、時計を手首に着用しながら、作動中のミニット・リピーター機構を鑑賞することができる。
スプリット秒針クロノグラフ「5370P」
スプリット秒針クロノグラフはミニット・リピーター、トゥールビヨンとともに最も製作の困難なコンプリケーションのひとつに数えられ、1923年以来、パテック フィリップの腕時計コレクションなかでも特別の地位を与えられている。
そしてこの度、スプリット秒針クロノグラフ「5370」シリーズに、初の本青七宝文字盤を採用した「5370P」が発表された。
■Ref.5370P。Pt(41mm径/13.56mm厚)。3気圧防水。手巻き(Cal.CHR 29-535 PS/パワーリザーブ_クロノグラフ非作動時最小65時間)。2866万円
5370モデルのスプリット秒針クロノグラフは、プッシュボタンを2つ備えるタイプだ。2時位置のプッシュボタンでスタート/ストップ、4時位置のプッシュボタンでゼロ復帰、そして3時位置のリューズに統合されたプッシュボタンでスプリット秒針のストップ/再スタートを行う。
現代的なタッチが与えられ生まれ変わったこの5370Pが、黒七宝文字盤を備えた従来モデル(2015年発表)に替わって、今後シリーズを受け継いでいく。
永久カレンダー搭載クロノグラフ「5270」
パテック フィリップによる完全自社開発・製造による最初の永久カレンダー搭載クロノグラフ・ムーヴメント、Cal.CH 29-535 PS Q(2011年発表)を搭載するRef.5270に、初のイエローゴールド仕様が追加された。
■Ref.5270。K18YG(41mm径/12.4mm厚)。3気圧防水。手巻き(Cal.CH 29-535 PS Q/パワーリザーブ_クロノグラフ非作動時最大65時間)。1841万円
本作の登場を待ち望んだ愛好家は多いに違いない。というのも、1941年にパテック フィリップ初の永久カレンダー搭載クロノグラフRef.1518が発表されて以降、後継機を含め同モデルではイエローゴールド仕様が主流だったからだ。
緻密に構成される文字盤デザインに加え、凹型のベゼルや段差のついたラグなど立体的な造形で存在を発揮した5270が、イエローゴールドの外装を与えられ、エレガントさを高めている。
ムーヴメントは、サファイヤクリスタル・バックを通して鑑賞することができるが、イエローゴールド仕様の交換用ソリッドケースバックも付属している。
文◎堀内大輔(編集部)
【問い合わせ先】
パテック フィリップ ジャパン・インフォメーションセンター TEL.03-3255-8109
公式サイト https://www.patek.com/ja/