ロレックス @kikuchiのいまどきの時計考

【ロレックス】通信 No.032|読者が選んだ欲しいロレックス2020、人気ベスト10(後編)1位〜5位

 3月8日(日)のロレックス通信 No.031に引き続き、今回はその後編としてトップ5を見ていくことにしたい。

 前編を見逃した人のために、このランキングがどういった内容のものなのかを、まずおさらいさせていただくと、筆者が刊行するPOWER Watch(パワーウオッチ)3月号 No.110(2020年1月30日売り)で行なったロングラン企画「読者が欲しい腕時計」の2020年版から、ロレックスだけに着目して、いまユーザーが欲しいと思っているロレックスとはどんな機種なのか、今回20位以内に入った10機種を紹介するというものである。

 そして、前編では全体の傾向について筆者なりに総括した内容に加えて、6〜10位までを紹介させていただいた。ちなみにその機種は以下のとおりである。

第6位(総合7位) シードゥエラー
第7位(総合8位) エクスプローラー I
第8位(総合10位) エクスプローラー II
第9位(総合11位) ミルガウス
第10位(総合12位) エアキング

 では早速1位から見ていくことにしよう。

読者の欲しいロレックス! 第1位(総合1位)|デイトナ

Ref.116500LN(白文字盤)。SS(40mm径)。100m防水。自動巻き(Cal.4130)

 令和初となる読者が欲しい時計ランキングで堂々の総合1位を獲得したのが、このデイトナである。実は2015年から6年連続(15年はモデルチェンジ前のため旧デイトナ)1位を獲得しており、もはや不動の人気を誇る。

 デイトナが連続1位になるようになったのは15年以降からで、実はそれ以前の本企画がスタートしてから12年間というもの、1位になったのは2〜3度だったように記憶している。その代わりに1位の常連だったのはサブマリーナデイトやエクスプローラー I だったのだ。

 デイトナだけは、かなり以前から入荷数が極端に少なかったことから正規店で購入することがほとんどできず、そのため並行輸入店では常に定価以上のプレミアム価格で販売されていた。

 そのため確かに憧れの存在としては支持は高かったものの、当時はいまと違い、定価を下回る30万円台でサブマリーナデイトやエクスプローラー Iが購入できたために、欲しい対象としてはデイトナよりも現実的な機種に票が集まる傾向にあったからではないかと思われる。

 そんなデイトナ人気に拍車をかけたのが、2016年に現行デザインにモデルチェンジされてからだ。それまでの旧モデルとは明らかに違い、メリハリの効いたデザインが高い評価を得たのである。そのためもともと供給が少ないところにきて需要が伸びたために、プレミアム価格もエスカレートしていき、いまでは国内定価の138万7100円に対して、2020年2月時点での実勢価格は安値で268万円と約2倍だ。しかも1年以上もこの数値が続いている。

 1点もののアンティークならばまだしも、いまだに新品が生産されている現行品でこの価格は、まさに異常(最近はP社とA社にもっと凄いものがあるが…)としか言いようがない。

読者の欲しいロレックス! 第2位(総合2位)|GMTマスター II

Ref.116710BLNR。SS(40mm径)。100m防水。自動巻き(Cal.3186)

 第2位に意外なモデルがランクインしている。実はこのGMTマスター II の黒青ベゼルタイプ(通称バットマン)、Ref.116710BLNRは2019年のモデルチェンジで生産終了になったばかりの旧仕様なのである。違いはムーヴメントとブレスレット。現行は3200系の最新型なのに対して旧型は3100系を搭載、ブレスも5連のジュビリーブレスではなく3連のオイスターブレス仕様だ。

 現在はまだ新品が手に入る状況で、その実勢価格を調べてみると180万円前後で流通している。一方現行のRef.126710BLNRは国内定価が102万800円に対して並行輸入店の実勢価格でその安値が163万円である。つまり実勢価格は旧型のほうが20万円弱も高い。

 本来であれば、性能的に考えても現行のほうが格段に良く、しかも安いのであればなおさら現行がランクインしてもおかしくないのだが、あえて旧型が選らばれたということは、新品があるうちに手に入れようとしての一時的なことなのかはわからない。

 ちなみに現行でもうひとつの青赤ベゼル(通称ペプシ)、Ref.126710BLROの実勢価格は200万円ぐらいと、現行の黒青ベゼルよりも約40万円も高く流通している。

読者の欲しいロレックス! 第3位(総合3位)|サブマリーナデイト

Ref.116610LN。SS(40mm径)。300m防水。自動巻き(Cal.3135)

 ダイバーズウオッチのスタイルを確立したとも言われるサブマリーナデイト。POWER Watchで「欲しいものランキング」をスタートして今回で18年になるが、3位以内にランクインした回数では最も多いかもしれない。それぐらいに人気を博したモデルだ。

 しかしながら、2016年頃からじわりじわりと実勢価格が上がり始め、定価を超えるようになったことが影響したのか、その翌年(17年)の本企画では10位まで一気に順位を落とした。

 そして、18年に5位、19年に4位、そして今回は3位と年々順位を上げ、ある意味ではやっと定位置に戻ったといった感じだろうか。現在の国内定価は94万3800円。それに対して2月時点の実勢価格の安値は135万円と、定価より40万円も高い。

 サブマリーナデイトもエクスプローラー Iと同じく2010年のモデルチェンジで登場しているため今年で10年目と製造期間も長い。しかもエクスプローラー I と同様に旧型ムーヴメントのため、新型への移行に伴うモデルチェンジはそんなに遠い話ではない。その点からするとこのプレミアム価格は今後上がることはあっても下がることはあまり考えにくいだろう。

読者の欲しいロレックス! 第4位(総合4位)|デイトジャスト41

Ref.126334。WG×SS(41mm径)。100m防水。自動巻き(Cal.3235)

 定番ロレックスの王道とも言えるデイトジャストが総合4位にランクインした。このデイトジャスト、通常のデイトジャスト36ではなく、3200系の新型ムーヴメントを搭載し、2016年にデイトジャストⅡの後継機として登場したデイトジャスト41である。

 モデル名にもあるようにサブマリーナなどの定番スポーツモデルよりも1mm大きい41mmケースを採用。時計のトレンドが大型化していくなかで、通常のデイトジャストが36mm径だったこともあり、それまでの物足りなさから一気に人気を博した。

 そのためデイトジャストとなると、いまとなっては昔からある36mmではなくこの41mmがメンズラインの人気の主流となっている。

 このデイトジャスト41については、2020年1月26日に配信したロレックス通信 No.025「新旧デイトジャスト41を実機で比較してみた!」で詳しく紹介しているので、ぜひ、そちらも参照してほしい。

 さて、1番人気はケースとブレスはステンレススチールだが、ベゼルだけに18金ホワイトゴールドを採用した写真のRef.126334だ。定価は104万2800円。それに対して実勢価格は120万円前後と、スポーツモデルほどではないがいまではベーシックなラインもプレミアム価格での流通となってしまった。

読者の欲しいロレックス! 第5位(総合5位)|ヨットマスター40

Ref.126622。PT×SS(40 mm径)。100m防水。自動巻き(Cal.3235)

 今回総合5位にランクインしたこのヨットマスターは、どちらかというと使用シーンが限定されるモデルにもかかわらず根強い人気を誇る。ヨットオーナー向けをコンセプトに作られたたためゴールド仕様が主流で、オールステンレスモデルはラインナップされていない。

 そんななかで最も控えめなモデルが、このRef.126622なのである。ただ、ケースとブレスレットはステンレススチールだが、回転ベゼルはプラチナ950を使用、地はサンドブラスト処理が施されているものの、目盛りや数字は隆起(ロレックスではレイズド加工と呼ぶ)させて表面は鏡面仕上げを施しているため、ステンレスとは明らかに違う光沢感がある。

 そのためほかのスポーツモデルにはない独特の高級感をもち、ビジネスシーンには難しいが、華やいだ場にはイエローゴールドほどの派手さはないこともあり、この程よい高級感と輝きが好まれているようである。なお、このヨットマスターはダイバーズウオッチとして作られていないため、ベゼルは両方向に回転し、防水能力も100mだ。

 現在、ブルーと写真のダークロジウムの2種類の文字盤が用意されており、人気はこのダークロジウムだ。定価は126万5000円で、実勢価格は安値で148万円。2019年に新型の3200系ムーヴメントに移行されている。

菊地 吉正 - KIKUCHI Yoshimasa

時計専門誌「パワーウオッチ」を筆頭に「ロービート」、「タイムギア」などの時計雑誌を次々に生み出す。現在、発行人兼総編集長として刊行数は年間20冊以上にのぼる。また、近年では、業界初の時計専門のクラウドファンディングサイト「WATCH Makers」を開設。さらには、アンティークウオッチのテイストを再現した自身の時計ブランド「OUTLINE(アウトライン)」のクリエイティブディレクターとしてオリジナル時計の企画・監修も手がける。

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