ドイツ・カールスルーエに本拠を構える、世界最大級の高級腕時計のECサイト“Chrono24(クロノ24)”が、2021年の年間総合&国別人気ランキングを発表した。ここではそれについて詳しく見ていきたい。
まず最初にこのChrono24とはどんなサイトなのかについて簡単に紹介すると、Chrono24は月間900万人以上もの世界中のユーザーが利用し、商品数は新品だけでなく中古やアンティークまで何と50万点が揃う、まさに高級腕時計を専門とする巨大なマーケットプレイスなのだ。現在は日本の並行輸入店も数多く出品しているなど、日本人の利用者もかなり増えているようだ。
余談だが、実は筆者も昨年後半に、以前より探していたIWCのダ・ヴィンチ(1991年製)をこのChrono24で手に入れた。それについては「Chrono24で実際に時計を買ってわかった“良い点と注意点”」と題して前編と後編の2回にわたって当サイトに書いている。Chrono24をより詳しく知りたい方は、そちらの記事も参考にしてもらえるといいかもしれない。
では早速ランキングついて詳しく見ていくことにしょう。
【人気ブランドランキング・ベスト5】
※Chrono24上での購入リクエスト数に基づく
このデータはChrono24において購入リクエストがあった全ブランドの中でのシェア率を表したランキングである。やはりロレックスがダントツに高い。しかしながら4割に迫る高いシェア率を誇っていた2020年と比べると今回は2割台後半とだいぶ減った。おそらくは実勢価格の異常ともいえるレベルの高騰が仇になって、他のブランドに流れてしまっていることが数字からも見てとれる。
その一方で2020年よりもシェア率を伸ばし、何と世界第3位に上昇したのが日本のセイコーである。近年、特に巨大なマーケットであるアメリカ市場を中心に人気となっていることから、それが顕著に現れた結果と言えるだろう。
【国別ランキング・ベスト5】
※Chrono24上での購入リクエスト数に基づく
人気ブランドを国別で見ると当たり前だが1位はすべての国においてロレックスだった。そして興味深いのが2位である。アジアの国がパテック フィリップ、欧米の国がオメガとこの2ブランドできれいに分かれた。おそらくこれはChrono24で購入している利用者の属性の違いが出たのではないかと思う。
特に日本は顕著で、トップ3にランクインしているのはすべて異常に高騰しているブランドばかりということから、時計愛好家の利用が中心だからなのではないかと思われる。香港についてはわからないが、おそらくは同様の傾向が強いということなのかもしれない。
【モデル別ランキング・ベスト5】
※Chrono24上での購入リクエスト数に基づく
次にモデル別で見てみると、やっぱりブランドはロレックスとオメガが占めた。しかもモデルはすべてブランドを代表するまさに不動の定番ロングセラーだ。おそらく当分の間は、この傾向は変わらないのではないかと思う。
そして唯一2020年と違ったのが5位である。GMTマスター II に代わってデイトナがランクインしていることに驚く。21年のデイトナは世界的に恐ろしいほど暴騰したため、いまやおいそれと手を出せるレベルではない。しかもこれはステンレスモデルに限ったことではなくなっている。にもかかわらず購入リクエスト数での5位というのは正直かなり意外だった。
【文字盤カラーの人気の傾向】
最後にランキングではないが、面白いデータが発表されていたので紹介する。これは時計の文字盤カラーはどんな色の支持が高いのかを表したグラフである。圧倒的に黒文字盤の支持が高いのはわかるが2番目に定番の白やシルバーではなく、青というのが興味深い。
以前は文字盤に採用されること自体が少なかった青だが7〜8年ぐらい前から増えはじめ、いまでは多くのブランドがコレクションのカラーバリエーションとして採用するなど、もはや定番カラーといえなくもない。しかしながら2番目というのはかなり意外だった。
それともうひとつ、3.2%の緑にも注目したい。確かに21年のトレンドカラーは緑と言われたほど各社が採用し注目された。そして徐々に発表されはじめた22年の新作にもこの傾向が続いているようで青に続く新たな定番カラーになるとさえ言われている。それを予感させるなかなかおもしろい結果といえるのではないか。