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【知っておきたい腕時計の基本】ダイバーズウオッチのISO規格はどう変わった?

 ダイバーズウオッチはプロの潜水士が海中で命を託すツールゆえに、その性能には厳格な規格が存在する。そのひとつが国際標準化機構(ISO)の“ISO 6425”である。規格が制定されたのは1982年で、2018年に改定された第4版が最新バージョンだ。
 ISO 6425は、まず「少なくとも水深100mの潜水に耐え、その1.25倍の耐圧性がある」「潜水時間を管理する機能を有する」の2点が基本となっており、このほかに暗所における視認性、耐磁性、耐食性、耐衝撃性、耐熱性など多岐にわたる厳しい基準をクリアしなくてはならない。

 そして18年の改定では時代の流れを受けて、さらに厳しい基準が付加された。
 視認性向上のために、5分ごとのインデックスそれぞれに夜光塗料を塗布することが明確化されたほか、塩水噴霧による耐食性テストは塩分濃度・噴霧時間が大幅に伸び、より錆に強い素材が求められるようになったのである。さらにハンマーで時計を叩く耐衝撃性テストでは、時計本体だけでなくブレスレットまで対象になった。

3時位置のデイト表示部分に注目!
上はどちらもセイコーが1968年に発表したダイバースキューバをベースにした現代デザイン版のモデル。よく見ると、2018年発表モデルのデイト表示部分に夜光はないが、2021年発表モデルには小窓の横に加えられている

 しかし、実は市販されているダイバーズで、このISO 6425を厳格に守っている製品はあまり多くなく、超有名モデルであっても基準に従っているのかどうかは不明瞭だったりする。はっきりとISO 6425準拠を明示している時計ブランドは、セイコー、シチズン、カルティエ、ティソ、ハミルトン、ベル&ロスなど、実はそれほど多くないのだ。
 日常生活で使用するだけなら、ここまでハイレベルなスペックは必要ないのかもしれないが、ダイバーズ選びの基準のひとつとしてチェックしておきたい。

 

文◎堀内大輔(編集部)

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