》ジェンタデザインにオマージュを捧げた、西海岸らしいオーセンティックな意匠が魅力的
シールズ・ウォッチ・カンパニー(以下、シールズ)は2014年にマイケル・シールズにより、カリフォルニア州エルドラドヒルズで設立された日本未上陸のマイクロウオッチブランド。エルドラドヒルズは州都サクラメントから東に約35km、サンフランシスコとタホ湖の間に位置している。
マイケルは、もともと時計や機械に興味があり、2012年秋頃から起業するにあたって方向性を考え始める。稀代の時計デザイナーとして知られるジェラルド・ジェンタのファンでもあったマイケルは、彼が手がけたパテック フィリップ の“ノーチラス”やオーデマ ピケの“ロイヤルオーク”などの名作からデザインのエッセンスが取り入れつつ、デザイン性にも耐久性にもオリジナリティがあり、優れた時計を作りたいと考え、シールズのスタイルが生み出された。
ファーストコレクションとしてラインナップされた“モデルA”では、いわゆる“ラグスポテイスト”のデザインをベースに採用しつつ、デザインのモチーフに1940年代の戦車を採用。さらに1940年代のドレスウォッチのエレガントなスタイリングを取り入れたことで、独自のスタイリングを生み出している。
品質にこだわりつつ、手頃な価格を維持するため、シールズの時計はカリフォルニアでデザインと品質管理を行いつつ、提携する香港のメーカーで製造。 時計は全て100本以下の限定生産となっているため、人と被ることなく、オーダーメイドのような感覚でユニークな腕時計を手頃な価格で楽しむことが可能だ。
デイリーユースからビジネスカジュアルまで、幅広いシチュエーションで着けられる堅牢でオーセンティックなデザイン、そして10万円以下の手頃な価格。トレンドのラグスポテイストだが、六角形のフォルム、色使い、文字盤のデザインは、現在市場に蔓延している既視感ある時計とは一線を画すオリジナリティを備えている。人とかぶらないマイクロブランドの腕時計を探しているなら、シールズは実に魅力的な時計といえるだろう。
SEALS WATCH CO(シールズ)
モデルA
シンプルかつ大胆なデザインでもあるモデルAのケースデザインは1940年代のブロック型戦車の実用的なラインに由来しており、このモデルはドラマチックな角度のドリルドラグ、低い位置にあるセンタープレート、そしてはっきりとした六角形ベゼルが独特の存在感を加えている。
41mmのケースにはサージカルグレードの316Lステンレススチールを採用し、力強い存在感を主張。ムーヴメントはミヨタのcal.9015の自動巻ムーブメントが搭載され、スタイルに応じて50本から100本の限定生産だ。通常、腕時計に化粧箱が付属しているのがお約束ではあるが、化粧箱ではなくマイクロファイバー製のトラベルロールが付属している。
■SS(41mm径)。100m防水。自動巻き(Cal.Miyota 9015)。675ドル(約7万6千円)〜800ドル(約8万9千円)
SEALS WATCH CO(シールズ)
モデル C フィールド
モデルCフィールド "はヴィンテージのミリタリーウォッチの精神に基づいたデザイン。 ケースデザインはモデルA同様、1940年代のブロック型の戦闘用戦車からインスピレーションを得ており、大胆なケース仕上げのフォルムには60年代初頭ロンドンの街を闊歩していたカフェレーサースタイルのモーターバイクのエッセンスも加えられているようだ。
程よいサイズ感の40mmケースにセリタ社の自動巻ムーブメント、Cal.SW200-1を搭載。レザーまたはパラシュート、どちらかのトラップを選択することができ、キャンバスベルトが付属する。 前述のモデルAと同じく、一般的なウオッチケースではなく、スエードライニングを施したワックスキャンバスのハンドメイド、ウォッチロールが付属するようだ。
■SS(40.5mm径)。200m防水。自動巻き(Cal. STP 1-11 )。640ドル(約7万400円)〜800ドル(約8万9千円)
SEALS WATCH CO(シールズ)
モデルA.5
シールズの最新モデル、モデルA.5。ロリポップのような秒針とサンセリフ型ローマ数字を文字盤に配し、圧倒的な存在感を放っている。スタンダードなブラックに加えて、蛍光グリーンとバーガンディルーレットの2色で標準時間とミリタリータイムの両方対応。 ケースサイズは41mm、Miyota 9039 自動巻きムーブメントを搭載。3種類のダイヤルリングのカラーバリエーションをラインナップしている。
■SS(41mm径)。100m防水。自動巻き(Cal.Miyota 9039)。850米ドル(約9万4千円)
》SEALS WATCH CO(シールズ)公式サイト
https://seals-watches.com
文◎William Hunnicutt
時計ブランド、アクセサリーブランドの輸入代理店を務めるスフィアブランディング代表。インポーターとして独自のセレクトで、ハマる人にはハマるプロダクトを日本に展開するほか、音楽をテーマにしたアパレルブランド、STEREO8のプロデューサーも務める。家ではネコのゴハン担当でもある。
https://www.instagram.com/spherebranding/