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【ロレックス】通信 No.038|サブマリーナデイトは、なぜ多くの支持を集めるのか?

 本連載のNo.036ではロレックスが2020年新作モデルの発表を延期したことを報じた。「中止」とは明言していないため、おそらくは新コロナウイルスの収束の兆しが見えた、どこかのタイミングで発表するのではないかというのが大方の見方のようだが…。

 そこで、今回のロレックス通信からは最新の3200系ムーヴメントへの移行に伴ってモデルチェンジが実施されてもおかしくない、下記のスポーツ系6モデルについて回を分けて順に取り上げてみたいと思う。

<今後モデルチェンジが予想されるモデル>
1、サブマリーナデイト
2、サブマリーナ(日付表示が付いてないタイプ)
3、エクスプローラー I
4、エクスプローラー II
5、ミルガウス
6、エアキング

 そして、今回はこの中でも特に人気の高い“サブマリーナデイト”を取り上げる。

 サブマリーナが誕生したのは1953年のこと、今年で実に67年目となる。その間、クォーツ時計の台頭やスイスフランの高騰などによって、スイスの多くのブランドが倒産に追いやられた70年代においても一度も途切れることなく生産が続けられた。しかも基本デザインは今日までほとんど変わっていない。つまりそれほど完成されたデザインだったということだろう。

 また、歴代モデルに付与されたレファレンスはロレックスのスポーツモデルのなかでダントツに多いというのもサブマリーナの特筆すべき点だ。これは常に改良に改良を重ねながら生産が続けられたことを意味する。ダイバーズウオッチの場合は、時間を知る道具であると同時に潜水時間を計測するという役割も担う。ともすれば生命にかかわることだけに、道具としての様々な改良が加えられてきた歴史があるのだ。その意味ではほかのスポーツモデルとは明らかに違い、試行錯誤を経て完成した技術力の結晶とも言えるのである。

Ref. 116610LN。SS(40mm径)。100m防水。自動巻き(Cal. 3135)。国内定価89万8700円(2020年4月24日時点の実勢価格123万円)

 さて、現行モデルのRef.116610LNが登場したのは2010年のこと。つまりちょうど今年で10年目となる。本連載のNo.032で取り上げた「読者が選んだ欲しいロレックス2020、人気ベスト10」でも3位に入るなど、ロレックスのスポーツ系のなかでもトップ3内の常連と言えるほど高い人気を誇る。

 サブマリーナデイトがこのように高い支持を集める最大の要因は、ダイバーズウオッチとしての性能の高さはもちろんだが、60年以上もの間ほとんど変わることがなかったこの完成されたデザインを挙げる人は多い。

 ダイバーズウオッチとしての実用性重視から生み出された、無駄な装飾をすべて省いたシンプルなデザインで、本来であればスーツスタイルにダイバーズウオッチを合わせるというのは邪道なのかもしれないが、なぜかサブマリーナデイトに限っては、ベゼルにセラミックが使われるようになってからは特に高級感もプラスされたこともあってそれほど違和感はない。つまり性能もさることながら、この用途の広さもユーザー層を広げていると言えるのだ。

 さて、来週のロレックス通信では、この後編として、サブマリーナデイトを実際に購入する場合のポイントについて紹介したいと思う。

菊地 吉正 - KIKUCHI Yoshimasa

時計専門誌「パワーウオッチ」を筆頭に「ロービート」、「タイムギア」などの時計雑誌を次々に生み出す。現在、発行人兼総編集長として刊行数は年間20冊以上にのぼる。また、近年では、業界初の時計専門のクラウドファンディングサイト「WATCH Makers」を開設。さらには、アンティークウオッチのテイストを再現した自身の時計ブランド「OUTLINE(アウトライン)」のクリエイティブディレクターとしてオリジナル時計の企画・監修も手がける。

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