意外と知らない時計知識

【Q86】ごく限られたメーカーにのみ見られる“ジュネーブ・シール”とはなにか

A.複数の条件に準拠した高品質な時計に与えられる規定

 “ジュネーブ・シール”とは、スイスのジュネーブで作られる、高品質な時計に与えられる認証のことである。1886年に設立されたジュネーブ時計検定局が認証を行っている。
 ちなみに、同企画で以前紹介したクロノメーター認定とはまったく異なるものである。

ジュネーブ・シールの認証マーク。認証された時計には、ジュネーブ市章がムーヴメントに刻印される

 一定の品質基準、精度と耐久性、定められた構成部品が、ジュネーブ州内に住む時計職人の手で製作され、組み立てられることなどが主な条件。
 条件には、歯車・脱進機の受けにポリッシュされた穴をもつルビー石を使用することや、ネジ頭はポリッシュしフチとネジ溝は面取りするなどがある。
 現在、ジュネーブ・シールが与えられているのは、ヴァシュロン・コンスタンタン、ショパール、ロジェ・デュブイといったごく少数の高級ブランドのみだ。

 以前のジュネーブ・シールはムーヴメントに対して与えられる認証であったが、2013年には新しいジュネーブ・シール規定が発足。
 ムーヴメントのみならず、防水性能やパワーリザーブ、精度査定の見直しなど、時計全体の実用性を追求した認証へと進化した。

 

文◎松本由紀(編集部)

 

【関連リンク】
■Q41.機械式時計の振動数とは何か?
■Q43.高級時計でよく聞く“クロノメーター認定”とは何か
■【Q60】高級時計の製品データに“21石”などと表記がある。この“石”とはなんのこと?
■【Q68】ドイツの一部の高級時計にロゴマークとともに表示されている“GLASHUTTE I/SA”とはどんな意味があるのか
■【Q81】高級皮革素材であるアリゲーターとクロコダイルは同じものなのか?

-意外と知らない時計知識