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【アンティーク時計傑作選】往年のクロノグラフ機を代表するオールドロンジン

 クロノグラフムーヴメントの傑作として挙げられるものはいくつかあるが、そのなかでも性能はもとより優れた美観を併せもち、愛好家から高い評価を得るがロンジンのCal.13ZNである。腕時計では初となるフライバック機能を装備した13ZNは、それゆえに湾曲したパーツが複雑に絡み合った見応えのある造形となっていたが、一方で製造コストも高く、1936年の製造開始からわずか10年程度で生産が終了している。

 この傑作ムーヴメントもさることながら、愛好家から同等以上に評価されるのが、文字盤デザインである。リューズの直線上に積算計とスモールセコンドをレイアウトした2カウンター、そして外周を緻密なタキテレスケールで囲んだ文字盤デザインは、この時代のロンジンクロノグラフモデルの代表的なスタイルであり、ひいては古典機を象徴するスタイルと言えよう。

K18YG(37mm径)。手巻き(Cal.13ZN、17石)。1930年代製

 ここで取り上げるのは、そのなかでもとりわけ希少とされている、ユニークなレイヤー構造を持つロンジンのクロノグラフモデルである。この個体ではアラビア数字と砲弾型のインデックスをくり抜いた文字板と、その下にゴールドのプレートを重ねるレイヤー構造という手法をもって、文字盤に奥行き感と存在感を演出している。高級機種のインデックスと言えば、植字や手書きによるものが主流であった当時、こうしたレイヤー構造の文字盤を採用したモデルは極めて少なく、希少性という点においても大きな魅力をもつ逸品だ。

ラグは上面に角度を付けることでシャープな印象が強調されている。またケースサイドのサテン仕上げもしっかりと残すなど、コンディションは良好だ

文字板にアラビア数字をくり抜き、レイヤー構造とした文字盤。3、6、9、12時方向には文字板を留めるためにリベットが打ち込まれている

 

 なお現在、クラウドファンディングサイトのWATCH MAKERS(ウオッチメーカーズ)では、こうした希少なアンティーク・クロノグラフモデルをはじめ、クロノグラフの歴史や機構解説などを収録したスペシャルBOOK『Antique collection クロノグラフ大全 LowBEAT編集部』の先行予約を5月31日(火)まで受け付け中。興味のある人はぜひチェックしてもらいたい。

ウオッチメーカーズ:https://watchmakers.en-jine.com

 

文◎堀内大輔(編集部)/写真◎笠井 修

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