A.ベゼルを潜水開始時間の分針に合わせて経過時間を計測
ダイバーズウオッチを名乗るうえで必要なのが潜水時間表示計、いわゆる目盛りのついた“回転ベゼル”のことである。
これについて、JIS規格(日本産業規格)でのダイバーズウオッチの回転ベゼルでは、下記のような基準を設けている。
『潜水時計は、回転ベゼル又はデジタル表示装置のような潜水時間表示計を備えていなければならない。不慮の回転の防止又は誤作動防止が配慮されていなければならない。60分間にわたり1分又はそれ以上に細かく、潜水時間の表示をしなければならない。なお、アナログ表示の場合、5分ごとの目盛りは他の目盛りと比べ強調して表示していなければならない』
ダイバーズウオッチの回転ベゼルで最も大切なことは誤作動が起こらないようにすること。
そのためロレックスのサブマリーナーのように、手で直接まわす一般的なアウターベゼルタイプの場合は逆回転防止機能が必ず付いており、左(時計回りとは逆)にしか回転できない(逆回転防止ベゼルと呼ぶ)。
一方の回転ベゼルがケース内のインナーベゼルにあるタイプであれば、それを操作するボタン自体にネジ込み式などのロック機構が備えられている。
理由は、誤操作などでベゼルが右回転してしまうと、実際の潜水時間より短く表示されてしまい、最悪は命にかかわる事故につながりかねないからなのである。
最後にこの回転ベゼルの使い方を、簡単にではあるが触れておきたい。
※写真はインナーベゼルタイプのものです
1、計測時間のゼロの位置を示すインナーベゼルの“▼”が12時位置である状態からスタート
2、ベゼルを反時計回りに回転させて、インナーベゼルの“▼”を潜水開始時間の分針の位置に合わせる。写真の場合は10時30分から計測を開始
3、インナーベゼルの“▼”の位置から、分針の先端が指し示しているベゼルの目盛りまでが、潜水開始からの経過時間となる。写真の場合は潜水を開始してから10分が経過したことを示している
ちなみにダイバーズウオッチ規格について詳しくは、同企画Q1とQ4で紹介している。
文◎松本由紀(編集部)
<参考文献>
・JIS規格(日本産業規格)−規格番号:JISB7023、規格名称:潜水用携帯時計-種類及び性能
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