ご存じですか? 同じモデルなのに個体によって中古市場価格が数百万円も違う理由|ロレックス通信 No.145

右が今回例として取り上げたゼニスのエル・プリメロを搭載するRef.16520。左はその後継となる自社ムーヴメントを搭載したRef.116520。上二つのインダイアルの計測針の軸が3時と9時を結んだ線上にあるかどうかで見分けられる

 ロレックスにおいて、すでに生産終了している過去の人気スポーツモデルの中古市場価格を見ていると、同じ型番なのになぜか実勢価格に数百万円もの開きがあることがよくあるが、それはなぜなのかご存じだろうか。

 この価格の開きには、個体自体のコンディションの良し悪しが関係していることはもちろんなのだが、それ以外にもロングセラーを誇るロレックスゆえの理由も実はあるのだ。

 例としてここに取り上げたデイトナのRef.16520は、自動巻きクロノグラフムーヴメントが採用された初のデイトナで、搭載するのがゼニスのエル・プリメロということからもロレックスファンに一目置かれる人気モデルだ。製造期間は1988年から2000年頃までと長い間生産が続けられており、実はその間に文字盤や外装の一部に少しずつ仕様変更が加えられているのである。例えば下の写真をみると12時位置のロゴまわりの表記が同じレファレンス、Ref.16520ながら製造年代によって少しずつ変更されていることがわかるだろう。

一番古い上の表記が生産初期のものが製造期間が短く希少性が極めて高い。これ以外にも「逆さ6」やタキメータースケールの違いなど年代によって複雑だ

 つまり、この仕様変更がどの時期のもので、かつその個体の製造期間が短いかどうかによって希少性が高まり、それに伴って実勢価格もどんどん上がっていくというわけだ。ちなみにRef.16520の場合は製造後期の仕様のもので400万円台から流通するが、生産初期だけに見られる希少な仕様だと、もちろんコンディションにもよるが800〜900万円ぐらいまで跳ね上がってしまう。

 このような製造期間中の若干の仕様変更が見受けられるのはどちらかというと2000年以前のレファレンス。特に1960年代後半から80年代に製造されたものに多い。ここに取り上げたデイトナもそうだが、62〜89年までと約27年もの超ロングセラーとなったサブマリーナーのRef.5513は、製造期間が極端に長かったこともあってそれだけ変更点も多い。こういったモデルについては購入する際はもちろんだが、特に手放そうかと考えている人は、よく仕様変更に伴う相場観について事前に知識を得ておいたほうがいだろう。なぜかというとロレックス自体の相場がここ数年で桁違いに上がっているため、希少な仕様かどうかで驚くほど買い取り価格が違ってくるからだ。

【写真】デイトナ、Ref.16520の文字盤の主なマイナーチェンジ詳細

菊地 吉正 – KIKUCHI Yoshimasa

時計専門誌「パワーウオッチ」を筆頭に「ロービート」、「タイムギア」などの時計雑誌を次々に生み出す。現在、発行人兼総編集長として刊行数は年間20冊以上にのぼる。また、近年では、業界初の時計専門のクラウドファンディングサイト「WATCH Makers」を開設。さらには、アンティークウオッチのテイストを再現した自身の時計ブランド「OUTLINE(アウトライン)」のクリエイティブディレクターとしてオリジナル時計の企画・監修も手がける。
2019年から毎週日曜の朝「総編・菊地吉正のロレックス通信」をYahooニュースに連載中!

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