先日、筆者のツィートを見た方から「エクスプローラー II にサイクロップレンズが付いていないものがあるのでしょうか」。こんな返信がきた。そこで、今回はこの点について取り上げてみたい。
まずサイクロップレンズとは何かというと、3時位置にあるデイト表示の真上部分に付いていて、中心が膨らんだレンズのことである。これによって日付けの数字を2.5倍に拡大表示して見やすくするためのものだ。
さて、結論から言うと一般的に販売されているエクスプローラー II には間違いなくサイクロップレンズが付く。エクスプローラー II に限らずサイクロップレンズはサファイアクリスタル風防の上に貼り付けたものだ。そのためごく稀に取れるという話は以前から筆者も聞いていたが、実はこれまで一度も見たことがなかった。普段はあまり気にしないためご存じない方も多いのではないか。
そのためどのような状態なのか、そのエクスプローラー II の写真を、コメントをくださった方にお許しをいただいて、参考までに掲載させていただいた。確かにサイクロップレンズが無く、かつてのシードゥエラー状態になっていることがわかるだろう。
送っていただいたサイクロップレンズが無くなったエクスプローラー II
では、こうなった場合にどうしたらいいのか。アンティークから現行までロレックスの修理に精通しており時計愛好家からも評価が高く、筆者もいつもお願いしている“クロノドクター”さんに聞いてみた。
それによると、簡単な話が日本ロレックスに修理依頼をすればいいわけだが、当然、レンズだけを貼り付けるわけではなく、風防ガラスごと新品と交換になる。しかも、それだけでなくオーバーホールもセットでの修理対応となるためかなり高額になるだろうということだった。
では、民間の修理専門店ではどうか。純正のサイクロップレンズだけが交換パーツとして流通するということはないようで、あるとすれば純正ではない社外品。そのためそれを貼り付けること自体は可能だそうだ。
サイクロップレンズが付く本来の姿がこれ。エクスプローラー II に限らず、サイクロップレンズはごく稀に外れることがある
ただしクロノドクターさん曰くには、「社外品レンズの場合は確かに安いです。ただ実際に測ったわけではないですが2.5倍というレンズの倍率もちゃんと正確なのかどうかもわからないですし、そもそもうちでは可能な限り純正部品を使用して修理したいので勧めません」
ちなみに交換パーツ代は、社外品レンズでおそらく数千円、レンズが付いたロレックス純正のサファイアクリスタル風防だと時価となるため一概に言えないが、目安として3万〜6万円(王冠マークの有無で違う)だそうだ。
最終的にはユーザーの判断になるとは思うのだが、古くなっても価値がそれなりに残るロレックス。もうパーツが手に入らないのであれば仕方がないが、手に入るうちはたとえお金がかかったとしても、やはりオリジナル性を優先したいところである。