2015年、Kickstarterキャンペーンを成功後、マイクロブランドのPeren(ペレン)はトランシルバニアの子孫である、アンディ・ビカによって設立された。
ルーマニア南部、ドラキュラで有名なトランシルバニアの神秘と神話をからなる時計製造をしており、ブランド名のペレンの由来は、“perennial(永久)”を意味し、ブランドロゴはドラキュラの牙を模している。時計はすべてスイスで設計、手作業で組み立てられているそうだ。
アンディ・ビカは父親から機械式時計への情熱を受け継ぎ、10歳の時に初めて機械式腕時計を分解した。 その後、スイスの時計産業でのインターンシップを経て、初の腕時計を完成させることとなる。 ペレンを製作するにあたり、ビカは現代の計時の柱として知られる古代トランシルヴァニアの暦“サルミゼトゥサ・レジア”にインスピレーションを得ており、この歴史ある暦はペレン製品の核となり、ブランドのエッセンスとなっている。
紀元前1世紀から紀元後1世紀にかけて標高1200mの山の上に建設されたサルミゼゲトゥサ・レジアはローマ帝国との戦争前、ダキア人にとって最も重要な軍事、宗教、政治の中心地だった。ユネスコの世界文化遺産に登録され、6つの城塞からなるこの要塞は現在のルーマニアであるオラスティ山脈の戦略的な防衛システムの拠点でもあった。
Peren(ペレン)
ネラ
最初にご紹介するペレンの時計はトランシルバニア地方のネラ峡谷にある、デビルス湖からデザインを得ているダイバーズウオッチ、ネラ。
デビルス湖からデザインのインスピレーションを得ており、文字盤の色はブルーとグリーンの中間に位置する深いティール色だ。39mmのステンレススチールケースには、セリタの自動巻きムーヴメント、Cal.SW200 を搭載。ドーム型のサファイアクリスタル風防とねじ込み式リューズにより200mの防水機能を備えている。 200本限定製造で販売価格は488スイスフラン(約5万8000円)。
Peren(ペレン)
ネラ・ローグ
ネラ・ローグは1960年代のダイバーズウオッチ “Tornek Rayville TR-900” からインスパイアされているモデル。 “Tornek Rayville TR-900” は歴史的なダイバーズウオッチのひとつで、ネイビーシールズの前身となる実験潜水部隊のためにアメリカ海軍が1000本発注し、ブランパンが製造するものの、文字盤の夜光塗料に放射性物質を採用した影響により大半が廃棄処分されたというモデル。
ネラ・ローグはアンティ―クスタイルと現代的な外観を併せ持つデザインに仕上げられており、ケースは39mmでステンレススチール製。セリタ社の自動巻きムーヴメント、Cal.SW200を搭載。ネラと同じく、スクラッチプルーフのドーム型サファイアクリスタル風防とネジ込み式リューズを採用し、200mの防水機能を備えている。限定200本製造で、2021年9月末からペレンのウェブサイトで予約を開始し、11月に納品の予定となっているようだ。価格はプレオーダー特別価格、412スイスフラン(約4万9000円)、通常販売価格は688スイスフラン(約8万2000円)。
Peren(ペレン)
ヒンツ
最後に紹介するのは、1900年代初頭にトランシルバニアの初代時計師の一人であるユーゲン・ヒンツが、スイスのワイラーSAから受領したスイス製懐中時計をモチーフにしたヒンツ。 ヒンツはテルス、ワイラー、ユンハンスなどの有名時計ブランドと提携していた経歴をもつ時計師だ。
アールデコ調の構成を持つネオヴィンテージの文字盤デザインを採用し、明確な表示マーカーのない回転ディスクが採用されている。 この回転ディスクのデザインは日時計からインスピレーションを得ており、サルミゼゲトゥサ・レジアの古代トランシルヴァニア暦の隣にある。 この回転ディスクの意義は世代から世代へと受け継がれるペレンのブランド哲学の延長線上にある。ケースサイズ42.5mmで、ETA社の Unitas 6498-1ムーヴメントを搭載。ドーム型サファイアクリスタル風防を採用し、100本の限定生産。販売価格は696スイスフラ(約8万3000円)。
》Peren(ペレン)公式サイト
https://perenwatches.com
文◎William Hunnicutt
時計ブランド、アクセサリーブランドの輸入代理店を務めるスフィアブランディング代表。インポーターとして独自のセレクトで、ハマる人にはハマるプロダクトを日本に展開するほか、音楽をテーマにしたアパレルブランド、STEREO8のプロデューサーも務める。家ではネコのゴハン担当でもある。
https://www.instagram.com/spherebranding/