》“ラクリマ(ラテン語で涙の意味)“デザインが目を引く、イギリスの個性派ブランド
ISOTOPE(アイソトープ)は、ホセとジョアナ・ミランダによって2016年に創設された日本未上陸の新鋭ブランド。イギリス・ロンドンから北北西、約50kmに位置するハーペンデンを拠点にしており、 “アイソトープ(同位元素、同位体:原子番号が同じで質量数が異なる核種)”という名前が示す通り、時計の中央に“ラクリマ(ラテン語で涙の意味)”をレイアウトしたアイコニックなデザインを軸にしつつ、ユニークなコレクションを展開している。
ホセは1970年代後半に両親から手巻きのタイメックスをもらったことがきっかけで時計に興味を抱き、 そこからブライトリング、ベル&ロス、タグ・ホイヤーなど、様々なブランドの時計をコレクションしていく。
ポルトガルからイギリスへ移住したのち、ホセは著名な時計デザイナーであるジェラルド・ジェンタの時計に興味を持ち、いくつかの時計を購入。なかでも特に影響を受けたのがジャンピングアワー機構を搭載した“レトロスポーツ バイレトロ”のデザインであったようだ。デザインに魅了されたホセは、自分でもジャンピングアワー機構を搭載した時計を作りたいと考えるようになり、妻のジョアナのアドバイスもあって、2013年から時計ブランドを立ち上げるための準備を始める。
デザイン、製作技術、販売方法など、時計について様々な側面から知識を学び、ブランド立ち上げのための時間を費やすなかで、ホセは2014年にロシア・サンクトペテルブルクで時計デザイナーのヴィケンティ・グリヤズノフと出会う。グリヤズノフが独立時計師のコンスタンチン・チャイキンと共同でデザインした“ルノホド”を見て感銘を受けたホセは、グリヤズノフとパートナーシップを締結。16年にアイソトープのデビューコレクションである“ライダー・ジャンピング・アワー”が完成することになる。
オリジナルブランドを立ち上げるきっかけとなった“自分だけのジャンピングアワーウオッチを作りたい”という夢を実現するため、“ライダージャンピングアワー(写真左)”では6時位置に時間表示の小窓を備えた特徴なデザインを採用。ジェラルド・ジェンタの“レトロスポーツ バイレトロ(写真右)”からの影響を感じさせつつ、しっかりと独自性を獲得しているのが魅力的だ。
時計の中央には、ホセが幼少期から愛用しているユンハンレイアウトされた“ラクリマ(ラテン語で“涙”の意味)”デザインを採用。このユニークなアイコンは“アイソトープ”の全コレクションに共通する特徴となっている。
現在は代表モデルである“ライダー・ジャンピング・アワー”のほかに、“GMT 0º”、“グゥットゥ ドォ・コンプレッサーダイバー”などを展開。今後は、ミリタリー・フィールドウオッチの発売が予定されており、クロノグラフ開発にも着手しているとのこと。 “ラクリマデザイン”を取り入れつつどのようなアプローチで時計を完成させるのか、日本市場への上陸を期待しながら、新作モデルの発表を待ちたい。
ISOTOPE(アイソトープ)
ライダージャンピングアワー
アイソトープのファーストコレクションとして2016年に発売された“ライダージャンピングアワー”。独自のジャンピングアワー機構を発明した時計師ジョセフ・パルウェーバーと、ジェラルド・ジェンタへオマージュを捧げたモデルである。
■SS(46.8mm径)。自動巻き(ETA 2824またはSellita SW200がベース)。2380ポンド (約36万円〜)
ISOTOPE(アイソトープ)
GMT 0 °
ユニークなデザインと表示方法を採用したGMTモデル。裏ブタは、ラクリマデザインのシースルーバック仕様。GMTを基準とした世界の主要都市間の時差がエンボスされている。
12時位置にセットされたラクリマデザインの夜光マーカーでGMT表示、インデックス内側に配置されたレイヤード構造のドットインジケーターで日付けを確認(赤くマーキングされる)することができる。
■SS(41.5mm径)。自動巻き(S24-45)。710ポンド(約10万7000円〜)
》ISOTOPE(アイソトープ)公式サイト
https://isotopewatches.com
文◎William Hunnicutt
時計ブランド、アクセサリーブランドの輸入代理店を務めるスフィアブランディング代表。インポーターとして独自のセレクトで、ハマる人にはハマるプロダクトを日本に展開するほか、音楽をテーマにしたアパレルブランド、STEREO8のプロデューサーも務める。家ではネコのゴハン担当でもある。
https://www.instagram.com/spherebranding/