アンティークの無名クロノグラフって知ってますか?

 近年、世界的にクロノグラフ人気が続くアンティーク市場では、細かな目盛りが並ぶ緻密なデザインの古典的な二つ目クロノグラフ(インダイアルが二つあるもの)の人気が特に高い。そのためロンジンやモバードといったクロノグラフムーヴメントまで製造するメジャー系ブランドにおいては、流通が激減していると言われている。それに伴いこれらの相場は10年前と比べるといまや倍以上に高騰しているというのである。

右がルナというブランドで左は不明。ともに1940年代製造で人気の高い黒文字盤タイプ。38mm径の右は60万円台だが35mmと小振りな左は40万円ぐらい。無名だが、機械は両者とも有名メーカー(下の写真に詳細)のものが搭載されている(ロービート12号より)

 こんなことを書くと、「相場が上がる」と愛好家の方からまた言われそうだが、実はこのような事情もあって4〜5年ぐらい前から、一部の愛好家の間ではクロノグラフでもあまり名前の知られていない無名なブランドのモノが注目されている。メジャー系に比べてまだ安いというのがその基本的な理由だ。

 実は、1950年以前でクロノグラフを製造できるメーカーは技術的にも限られていた。当然のごとくクロノグラフムーヴメントまで製造できるとなるとさらに限られてくる。つまりクロノグラフウオッチを製品化できたとしても、ムーヴメントはバルジューやヴィーナス、ランデロンといった、クロノグラフに強いムーヴメント専門メーカーから供給を受けていることが多い。無名ブランドといえども、心臓部である機械自体はこの3社のような名の知られているものが搭載されていることがほとんどと言っていい。

先に掲載した無名クロノグラフが搭載するムーヴメント写真。右がアンジェラス215。左がヴィーナス150と時計好きなら誰もが知る有名メーカーのものが採用されている(ロービート12号より)

 そのため、いまでは無名とはいえ徐々に相場も上がってきていることも確か。名の知られたムーヴメントメーカーの機械を搭載し、しかもコンデションの良いものは、いまでは「安い」と断言できるほどではなくなっているのが正直なところだ。特に38mm以上の大振りなサイズ、そして黒文字盤のタイプは海外でも人気が高いため、日本でも流通量が減っており、無名といえども50万円を下ることはほとんどない(もちろんコンディションにもよるが)。

 しかしその反面、海外で不人気の34mm前後の小振りなものであれば、比較的に満足のいくものがまだ見つけやすい。もしこれからアンティークのクロノグラフを狙ってみたいという人は、メジャーブランドだけでなく、ここに挙げた小振りな無名クロノグラフも選択肢のひとつに加えて探してみてはいかがだろう。

菊地 吉正 – KIKUCHI Yoshimasa

時計専門誌「パワーウオッチ」を筆頭に「ロービート」、「タイムギア」などの時計雑誌を次々に生み出す。現在、発行人兼総編集長として刊行数は年間20冊以上にのぼる。また、近年では、業界初の時計専門のクラウドファンディングサイト「WATCH Makers」を開設。さらには、アンティークウオッチのテイストを再現した自身の時計ブランド「OUTLINE(アウトライン)」のクリエイティブディレクターとしてオリジナル時計の企画・監修も手がける。

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