昨今は文字盤の一部あるいは全体をカットし、通常であれば文字盤側から見ることのできないムーヴメントをむき出しにした“スケルトンウオッチ”をよく目にするようになった。
ムーヴメント自体も肉抜きすることで、メカニズムそのものを優れたデザインへ昇華させた個性的なスケルトンウオッチは多く、その複雑な造形美に魅了される人はいまやメカ好きだけでなく一般にも広がっている。
こうした需要の高まりを背景に多くのスケルトンウオッチが登場しているわけだが、なかには単にデザインとして見せるだけではなく、独特なメカニズムをアピールするために“スケルトンウオッチ”という形を取ったこだわりのモデルも存在している。
そこで今回は、メカニズムが自慢のワザありなスケルトンウオッチを厳選して紹介する。
》MAURICE LACROIX(モーリス・ラクロア)
アイコン マーキュリー
■Ref.AI6088-SS002-030-1。SS(44mm径)。10気圧防水。自動巻き(Cal.ML225)。97万6800円
一見、普通のスケルトンウオッチにも見えるが、これもちゃんとワケあってのスケルトン化。
実はこのモデル、時刻を確認しようと手首をひねって腕時計を自分のほうに傾けたとき(文字盤が地面に対して垂直となるとき)にだけ現在時刻を表示する独創的なタイム・メモリー・モジュール機能を備えている。
スケルトン文字盤は、そのユニークな機構の動きを可視化するための配慮というわけだ。
少しわかりにくいが文字盤右側のスネイルカムが時表示、左側が分表示に対応するパーツとなっており、時計を傾けたときに掛かる重力がでカムと歯車が噛み合い針が現在時刻を表示する仕組みとなっている。
【問い合わせ】
DKSHジャパン TEL:03-5441-4515
モーリス・ラクロア 公式サイト https://www.mauricelacroix.com/jp_ja/
》PARMIGIANI FLEURIER(パルミジャーニ・フルリエ)
トンダ 1950 スケルトン
■Ref.PFC289-0002801-XA1442。SS(40mm 径)。30m防水。自動巻き(Cal.PF707)。264万円
パルミジャーニ・フルリエのアイコニックな薄型時計、トンダ 1950シリーズの精密なメカニズムを見せることを主眼に置いた全面スケルトンモデル。
繊細な薄型ムーヴメントをスケルトン加工するには機械の設計と同様、高い職人技術を要する。つまり同社の高い技術力をアピールするためのスケルトン化だ。
本作では厚さ2.6mmという薄型のマイクロローター自動巻きムーヴメントの必要最低限の部分のみを残し、限界までスケルトナイズ。
なおマイクロローターの裏ブタ側はバーリーコーンのエングレービング、文字盤側はアイコニックなラグのモチーフをあらい、表裏から見て楽しめるよう工夫されている。
【問い合わせ】
パルミジャーニ・フルリエ TEL:03-5413-5745
公式サイト https://www.parmigiani.com/jp/
》PEQUIGNET(ペキニエ)
ロワイヤル サフィール ブルー
■Ref.9010873。SS(42mm径)。100m防水。自動巻き(Cal.Royale/EPM01)。154万円
苦心の末に完成させたカリブルロワイヤルの革新的な機能のひとつである、段差なく隣接した3枚のディスクが同時にジャンプして表示が切り替わる“フラット3ディスクジャンピング・ビッグデイデイト”。
この魅力を強調するべく誕生したのが本作だ。
主役はあくまでカレンダー機構のため、ムーヴメントを肉抜きして見せるのではなく、文字盤すべてにサファイアクリスタルを取り入れることで特徴的な技術をアピールしている。
なお文字盤は0.1mm厚に精密加工されたサファイアクリスタルを採用。段差なく隣接した3枚のカレンダーディスクというのは世界初となり、国際特許を取得している。
【問い合わせ】
カリブルヴァンテアン TEL:03-6206-2333
公式サイト https://www.calibre21.jp
文◎堀内大輔(編集部)