ロレックス @kikuchiのいまどきの時計考

【ロレックス】通信 No.040|サブマリーナデイトのグリーンタイプは、なぜこんなに高いのか!

上の写真が2010年に登場した現行のグリーンサブ。Ref. 116610LV。SS(40mm径)。300m防水。自動巻き(Cal.3135)。国内定価98万7800円

 前回、前々回とサブマリーナデイトについて解説してきたが、今回は同じサブマリーナデイトでも、ロレックスのコーポレートカラーであるグリーンが採用された通称“グリーンサブ”ことRef. 116610LVを取り上げる。

 このグリーンサブ、実はデイトナ、GMTマスターII(青赤ベゼル)とともに実勢価格が高騰しているもののひとつなのである。国内定価は通常のサブマリーナデイトが94万3800円、一方のグリーンサブは98万7800円と5万円ほどグリーンサブのほうが高い設定とはなっている。しかし、現在の実勢価格をみるとサブマリーナデイトの安値が120万円前半なのに対して、グリーンサブの安値は160万円前後と、その価格差は5万円どころの話ではない。

 では、なぜこうも価格に開きがあるのか。まずは、このグリーンサブについて簡単に触れておくと、サブマリーナが1953年に誕生してから50年目の2003年に登場したもので、それ以前はなかったのである。そして現在のモデルは2010年にモデルチェンジされた2代目となる。

 限定モデルでは無かったものの当初から流通量自体が少なかったため、通常モデルとの実勢価格に最初から10万円ぐらいの差はあったのだ。

当サイトの「週間ロレックス相場」に掲載さているグリーンサブの2011年から20年5月までの実勢価格の推移

 それがデイトナやGMTマスターIIと同じく19年3月を境に急激に上昇。160万円から5月下旬には200万円まで一気に高騰し、通常のサブマリーナデイトとの価格差も一時期は60万円まで大きく開いた。

 その背景にあるのがインバウンド需要だ。これはすべてのモデルに対して同じことが言えるのだが、特にこのグリーンサブは、地味に映る通常のサブマリーナデイトよりも派手なグリーンサブを好む外国人愛好家によって、その需要が押し上げられたと言われている。特に顕著なのが中国人愛好家。縁起の良いヒスイに色が似ているということが背景にあるようだ。

 そのため、新コロナウイルスによる消費の停滞ばかりか外国人の渡航禁止の影響は大きく、今年の最高値だった2月下旬の185万円から一気に159万円(5月8日時点)まで値下がりした。新コロナの影響としてはGMTマスターIIに次ぐ下げ幅となったのである。しかもこの数字は19年6月の大暴落で記録した底値の163万円よりも低い。

 ベゼルのみならず文字盤もグリーンのため、ブラックの通常モデルに比べると日本人にとっては好みがハッキリと別れる。そのため今後も多少は値下がりするかもしれないが、新コロナ禍が収束傾向に向かえば確実に再び高騰するとみているショップは少なくない。

菊地 吉正 - KIKUCHI Yoshimasa

時計専門誌「パワーウオッチ」を筆頭に「ロービート」、「タイムギア」などの時計雑誌を次々に生み出す。現在、発行人兼総編集長として刊行数は年間20冊以上にのぼる。また、近年では、業界初の時計専門のクラウドファンディングサイト「WATCH Makers」を開設。さらには、アンティークウオッチのテイストを再現した自身の時計ブランド「OUTLINE(アウトライン)」のクリエイティブディレクターとしてオリジナル時計の企画・監修も手がける。

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