アンティーク時計

【プロが教える!】ビギナーが選ぶべきアンティーククロノBEST10(前編)

 特に最初の1本として購入するアンティーク時計は、構造がシンプルで扱いやすい3針モデルをチョイスしたいところだが、それでもやはり、アンティークの花形とも言えるクロノグラフをほしいという人は少なくないだろう。

 前回記事では、アンティーク時計ショップスタッフが最初の1本としておすすめする3針モデルのBEST10をランキング形式で発表したが、今回はその【クロノグラフ編】をお届け!

【アンティーク時計のプロがビギナーにおすすめする3針モデルBEST10】

 

 ちなみに当時、複雑なクロノグラフムーヴメントを製造できる時計メーカーはほんのひと握りであった。それゆえ多くの時計メーカーは、バルジューやヴィーナスといったムーヴメントメーカーから供給を受け、クロノグラフモデルを展開していたのである。有名なパテック フィリップやヴァシュロン・コンスタンタンでさえ、初期の腕時計クロノグラフは他社からムーヴメントの供給を受けていたぐらいだ。

 この点を踏まえ、【クロノグラフ編】ではムーヴメントでランキングしていく。

やっぱりクロノグラフが欲しい!
ビギナーにおすすめのBEST10は?

》第1位
OMEGA オメガ
Cal.321(スピードマスター)

《おすすめの理由は?》

 スピードマスターの初代モデルから4代目までに搭載されたことで知られるCal.321がおすすめクロノグラフの第1位。1946年初出の本機は、防水ケースに納めるため、直径を27mmに留めた、当時としては珍しい小径クロノグラフムーヴメントであった。
 またスピードマスターのほか、シーマスターなどでも搭載されたが、プロたちからは特に3代目スピードマスターを推す声が多かった。その理由としては、圧倒的な知名度はもとより、スピードマスターではこれをインナーケースで覆い優れた耐衝撃性や防水性を実現するなど、高い実用性を備えていることが挙げられる。

オメガ。スピードマスター。SS(40mm径)。手巻き(Cal.321)。1960年代製。参考価格150万円〜

 

 

》第2位
LEMANIA レマニア
Cal.27CHRO

レマニア。クロノグラフ。SS(35mm径)。手巻き。1950年代製。参考価格40万円〜

《おすすめの理由は?》
 1位のCal.321のベースキャリバーとなったのが、レマニアが開発したこのCal.27 CHROだ。
 12時間積算計はないものの性能面で321と遜色なく、かつその搭載モデルが割安な価格で購入できることから、2位に選出された。

 

 

》第3位
VALJOUX バルジュー
Cal.7730系

ギャレット。2レジスタークロノグラフ。SS(33.5mm径)。手巻き(Cal.7733)。1970年代製。参考価格60万円〜

《おすすめの理由は?》
 主に1970年代製クロノグラフモデルで多く搭載された汎用クロノグラフムーヴメント。ギャレットのほか、ブライトリングやホイヤーなど様々なメーカーで採用されたムーヴメントであるため、いまでも入手が比較的容易でメンテナンス面での心配が少ないことなどが、プロたちから評価されたポイントだ。

 

》第4位
VALJOUX バルジュー
Cal.23(/22)

《おすすめの理由は?》
 1916年から製造が開始されたと言われるCal.23。主流が懐中時計から腕時計へと徐々に切り替わるなか、30mmを割るサイズを実現した小型クロノグラフムーヴメントだ。ちなみにパテック フィリップがこのCal.23に徹底的なチューンナップを施して、Cal.13として展開した実績もある。

ユリス・ナルダン。2レジスタークロノグラフ。SS(35mm径)。手巻き。1940年代製。参考価格80万円〜

 

》第5位
LEMANIA レマニア
Cal.1280

ティソ。クロノグラフ。SS(33mm径)。手巻き(Cal.1280)。1960年代製。参考価格40万円〜

《おすすめの理由は?》
 オメガのスピードマスターにも搭載されたCal.861のベースともなったレマニア製クロノグラフムーヴメントCal.1280が5位。省コストと堅牢な設計を両立したムーヴメントであり、メンテナスさえ欠かせなければ、いまでも不具合なく動作する個体は多い。なお当時これを好んで採用したブランドのひとつがティソである。

 

次回は【クロノグラフ編】の5位〜10位をお届けする。

 

文◎堀内大輔(編集部)/写真◎笠井 修

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