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【いち早く着けてみた!】H.モーザー流ラグジュアリースポーツ“ストリームライナー”の注目すべき三つのポイントとは?

 2020年1月9日、H.MOSER&CIE.(H.モーザー)から、ブランド初のステンレススチール一体型ブレスを備えた新モデル、ストリームライナー・フライバック クロノグラフ オートマティックが発表された。

 H.モーザーでは、これまでにエンデバー、ベンチャー、パイオニア、スイス アルプ ウォッチ、ヘリテージというコレクションを展開しているが、ストリームライナーは、そのいずれでもない、まったく新しいコレクション。

 新コレクション発表に伴いリリースされたストリームライナー・フライバック クロノグラフ オートマティックでは、まったく新しいケースに新しいブレス、新しいムーヴメント、文字盤、針と、すべて新規に設計、デザイン。すべてにおいてブランド初の試みが盛り込まれた野心的モデルとなっている。

 見るべきポイントは多岐にわたり、語るべき特長は尽きないが、ストリームライナー・フライバック クロノグラフ オートマティックの魅力を知るうえで、特に注目すべきポイントは大きく三つある。一体、それはどんなものなのか。さっそく解説していきたい。

 

1.美しさと着け心地を追求したブレスを出発点として、外装のすべてを設計

 何と言っても、はじめに注目すべきポイントはブレスだ。意外かもしれないが、実はH.モーザーの既存コレクションには限定モデルをのぞき、ブレスの設定がない。ストリームライナーは、ブランド初のブレスを主体としたコレクションなのだ。

 初めてイチから開発されたブレスであるが、その力の入れようが半端ではない。
 というのも、ストリームライナー・フライバック クロノグラフ オートマティックは、ステンレススチールのブレスを出発点として、すべてが設計、デザインされたモデルなのである。

 事実、ストリームライナーのローンチに先立ってメディア向けに催された発表会でH. モーザーのCEO、Edouard Meylan(エドゥアルド・メイラン)氏は、すべての計画を快適かつエレガントで、ほかにはないブレスを開発することから始めたと語った。

 最も重要視されたのは、ステンレススチール製ケースとブレスを一体化させたデザインにすること。そのため、ケースからブレスにかけて滑らかさとしなやかな連続したラインを持つことが絶対条件となった。

 このブレスの実現のため、H.モーザーでは、多くの高級時計ブランドにデザインを提供してきた外部デザイナーのMarcus Eilinger(マーカス・アイリンガー)氏とともに設計。サテン仕上げとポリッシュ仕上げを使い分け、美しいラインが強調されたブレスの形状と機能は人間工学に基づいてデザインされ、流線形の曲線を描いている。また、バックルがブレスと一体になったデザインも大きなポイントとなっている。

 なお、ストリームライナーというコレクション名は、流線形の曲線を描く様が1920~30年代に登場した流線形の高速列車(ストリームライナー)のようであることにちなんだものだ。

 

2.レトロな見た目に優れた実用性を与えた、新しいラグジュアリースポーツ

 H.モーザーにおける既存コレクションには、クラシックなスタイル、ミニマルでモダンなスタイルなど様々なモデルがラインナップされているが、ストリームライナーのスタイルは既存コレクションには見られない1970〜80年代の時計を彷彿とさせるレトロなデザインが取り入れられている。二つ目の注目ポイントはココだ。

 違うのはスタイルだけではない。既存コレクションではスモールセコンドやセンターセコンドのシンプルモデルから、パーペチュアルカレンダーやトゥールビヨンといったコンプリケーションまで幅広くラインナップされているが、クロノグラフは存在していなかった。
 ストリームライナー・フライバック クロノグラフ オートマティックは、その名の通り、クロノグラフモデル。実はクロノグラフの登場は本作が初となる。

 H.モーザーで最も重要視されるのは、搭載機能の違いにかかわらず、表示の読み取りやすさ、視認性の高さである。そのため、クロノグラフの本作においても、視認性の高さが最も重要視された。

 文字盤外周にはホワイトとレッドの2組の分目盛りがあり、外側の目盛りは秒を、内側の目盛りは分を測定。12時位置には60のアラビア数字が大きく文字盤に配され、読み取りやすさと機能性が重視された1960~70年代のストップウオッチを思わせるスタイルとなっている。

 クロノグラフにとって精度や正確性は非常に重要。それを保証するため、経過時間を測定する針は自動車や測定機器に見られるような、根元が太く先端が細い針が選ばれた。読み取りやすさを重視して、レッドのクロノグラフ秒針を採用。同軸の60分積算針にはロジウムメッキを施した。

 加えて、立体的な時分表示用の針は二つのパーツで構成。ベースの針の上に、スーパールミノバを混合し、形も色も思いのままに表現できるグロボライトというセラミックベースの素材を採用した。これまでインデックスへの採用例はあったが、針に使われたことはなく、これも本作が初の試みだ。

 付け加えると、ブランドのアイコンでもあるフュメダイアルも見直された。アンスラサイトグレーの新しい色調を採用した文字盤はフュメだけではなく、バーティカルラインをもつグリフェ(フランス語で引っ搔くの意)仕上げが施された。

 

3.視認性に優れる分と秒のセンター表示式フライバッククロノグラフを採用

 そして、三つ目のポイントがムーヴメントだ。
 一般に、クロノグラフは文字盤の中に経過時間を表示するインダイアルをもつため、視認性が損なわれやすい。しかし、前述の通り、H.モーザーで最も重要視されるのは表示の読み取りやすさ、視認性の高さである。
 この相反する要素をクロノグラフでも実現するために白羽の矢が立ったのが、Agenhor(アジェノー)社である。

 アジェノー社は、時計師Jean-Marc Wiederrecht(ジャン・マルク・ヴィダレッシュ)氏が率いるムーヴメントやモジュールの開発・製造メーカー。本作では、アジェノー社がH.モーザーのために開発したクロノグラフムーヴメントを搭載している。

 アジェノー社のクロノグラフムーヴメントの特徴は、ムーヴメントの地板がドーナツ型になっており、中心の開いた部分に極小のクロノグラフモジュールをセットするという独創的な構造をもつ点だ。動力伝達は水平クラッチ方式で、噛み合う二つの歯車の歯をなくすことで、ボタン操作時のズレや針飛びのない高精度計測が可能になっている。

 アジェノー社のクロノグラフムーヴメントを搭載した時計には、ファベルジェのヴィジョネア クロノグラフ、そしてシンガーのトラック 1がある。これらはセンターに60秒、60分、60時間のクロノグラフ積算計を備え、外周リングで時間と分を表示するというスタイルで、お世辞にも視認性に優れているとは言い難かった。

 ストリームライナー・フライバック クロノグラフ オートマティックに搭載されているムーヴメントもベースは同じだが、本作ではセンターに60秒と60分のクロノグラフ積算針を与えるとともに、通常の時分針も同軸に設計することで、クロノグラフでありながら、インダイアルのない視認性に優れたスタイルを実現させた。
 また、60分積算針はステップ運針するため、クロノグラフ秒針との見間違えることもなく、計測時間も読み取りやすくなっているのもポイントだ。

 なお、一見すると手巻きムーヴメントのようにも見えるが、実は自動巻きの回転ローターは文字盤裏にセットされており、メカニカルなクロノグラフの構造をしっかりと見ることができるのも特長だ。

 

【着けてみてわかった!】ストリームライナーの魅力

 取材に際し、ストリームライナー・フライバック クロノグラフ オートマティックのサンプルを着けさせてもらった。
 スペック上のケースサイズは42.3mm径と小さくはないのだが、ケースからブレスまで一体になるようにデザイン、設計されていることに加え、CEOのエドゥアルド・メイラン氏が着け心地にこだわったというだけに、ブレスのリンクの動きも非常に滑らかで、着け心地は極めて良い。
 さらに12気圧防水を備え、しかも水中でクロノグラフおよびフライバック機能を使用できるという点は特筆すべき特長のひとつと言えよう。価格は税込みで528万円となかなかのものだが、革新的なモデルであることに加えて世界限定100本という希少性を考えれば、妥当でhないだろうか。なお、ストリームライナー・フライバック クロノグラフ オートマティックの詳細スペックについては、公式ホームページをチェックしてほしい。

H.MOSER&CIE.(H.モーザー)
ストリームライナー・フライバック クロノグラフ オートマティック

■Ref.6902-1200。SS(42.3mm径)。12気圧防水。自動巻き(Cal.HMC 902)。世界限定100本。528万円。

 何とも魅力的なストリームライナー・フライバック クロノグラフ オートマティック。気になっている人は、すぐにでも実機を見たいかと思うが、日本入荷はごくわずかとのこと。H.モーザーを見ることができる正規販売店は全国にいくつかあるが、オススメは国内唯一のH.モーザー直営店となるNX ONE 銀座だ。

 2020年1月4日に移転リニューアルオープンしたばかりで、ショールームという位置付けだった裏路地2階の旧店舗から、人通りの多い銀座・花椿通り沿いに移動。
 新店舗では国内では初めてH.モーザーの壁面什器が導入され、年間生産本数約1500本という極めて少ないコレクションを常時多数見ることができるようになったほか、新作が国内最速展示されるというので、新作チェックにはうってつけだ。

NX ONE 銀座
住所/東京都中央区銀座8-4-2
営業時間/11:00~19:00(火曜定休)
TEL:03-3573-7277
WEB:www.nxone.jp

 

文◎佐藤杏輔(編集部)/写真◎笠井 修

 

【問い合わせ先】
イースト・ジャパン
TEL:03-6274-6120
H.MOSER&CIE.(H.モーザー)日本公式サイト
https://www.h-moser.jp

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