スペシャル ロレックス @kikuchiのいまどきの時計考

【ロレックス(ROLEX)】通信 No.003|バーゼルワールド2019年新作情報 注目のロレックス最新作|Part 2

いよいよ日本での流通も始まった
2019年の新作たち

 去る3月20日、本国スイス時間で昼の12時(日本時間20時)に情報が解禁されたのを受け、「バーゼルワールド2019年新作速報 注目のロレックス最新作」と題して、公式資料の抜粋をいち早くアップさせていただいたが、いまではその新作も入荷しつつあるため、今回は、その状況も含めて各モデルについてあらためておさらいしたい。

 さて、ロレックスが直近の3年間に発表した新作を振り返ってみると、その中心的モデルとなっていたのが、2016年がコスモグラフ デイトナ、17年はシードゥエラー、そして18年にGMTマスターIIの青赤ツートンベゼルだった。

 2004年にGMTマスターIIとデイトジャストから始まった外装面のリニューアルは、16年のデイトナでほぼ終了。そのためそれ以降は、17年が赤シードの復活、18年は青赤ペプシベゼルの復活と、どちらかというと過去のアーカイブから人気のディテールを再現した内容だったといえる。

 では今年はどうだったのか。あらためてラインナップの仔細を見てみると、新作のほとんどが次世代ムーヴメントへ移行されている。つまりは次世代ムーヴメントへの移行に伴うマイナーチェンジというのを強く感じる。そのため発表になった新作を見渡してみても正直言って目新しいモデルはないに等しく、強いて挙げるならばヨットマスターコレクションに今回新たに加えられたヨットマスター42ぐらいだった。

 しかし、新デザインとして発表されたこのヨットマスター42も、確かに見た目はかなりカッコイイのだが、ケースは18金ホワイトゴールド製のため、残念ながら身近な存在ではない。そのため全体的に少々期待はずれだったと感じている人は少なからずいるのではないか。

 ただ、サブマリーナデイトやエクスプローラー Iといった、ロレックスの主軸を成すスポーツモデルが、まだ旧ムーヴメントだということを考えると、恐らくは今後も当分の間、このムーヴメントの移行に伴う新たな発表ということになるのかもしれない。

 では早速一つひとつ見ていくことにしよう。

ヨットマスター42

2019年新作モデル
唯一のニューフェイス

Ref.226659。WG(42㎜径)。100m防水。自動巻き(Cal.3235)。国内定価286万2000円(予価)

 ヨットマスターの派生モデルではあるが、マイナーチェンジではないという意味からすると今回の新作のなかでは唯一の新コレクションと言えるだろう。既存のモデルよりも2㎜サイズアップ。44㎜径のヨットマスターⅡを含めると37、40、42とコレクションとしては、これで四つのサイズ展開となった。

 ヨットマスターを特徴付けているのがベゼルである。何が特徴的かというとサブマリーナなどは目盛り部分が凹んでいるのに対して、ヨットマスターのそれは隆起しているため主張が強いものとなっている。ちなみにこの隆起させた仕上げのことをロレックスは“レイズド”と呼んでいる。つまりカタログに記載されているポリッシュレイズドとは隆起させた目盛りを鏡面仕上げしているという意味である。

サブマリーナなどは目盛り部分が凹んでいるのに対して、ヨットマスターは隆起しているため主張が強いものとなっている。ちなみにこの隆起させた仕上げのことをロレックスでは“レイズド”と呼んでいる

 ベゼルのインサート(目盛りのある黒い部分)にはマットブラック仕上げのセラミックを使用しているため、ポリッシュレイズド仕上げされた目盛り類の輝きがより際立って見える。余談だが、サブマリーナデイトのように逆回転防止ベゼルと勘違いしている人がよくいるがこれは双方向に回転する。あくまでもヨットでのクルーズをイメージしているため、スクーバダイビングを想定しているわけではないというのが理由なのだろう。

今回搭載されたCal.3235は、既存のCal.3135に代わる主力ムーヴメントとして2015年に開発された。約70時間のロングパワーリザーブに加えて日付け調整禁止時間帯の制限を受けないカレンダー機構などを搭載するなど最新技術が投入されている

ベルトは一見するとラバーのようだが、これはメタルプレートの上に高性能なエラストマー(人工ラバーの一種)をコーティングして作られている。柔軟性とブレスのような堅牢性も特徴だ。ホワイトゴールド製のバックルは約2.5 mm単位で計15 mm まで延長可

GMTマスター II

ジュビリーブレスヘ変更し
ムーヴメントも最新型に移行

Ref.126710 BLNR。CEベゼル、SS(40㎜径)。100m防水。自動巻き(Cal.3285)。国内参考定価95万400円

 GMTマスターはもともと昼夜を判別できるようにとベゼルを青と赤の2色に色分けしたツートンベゼルを装備していた。それが2005年に現行スタイルにモデルチェンジした際、ツートンベゼルは無く、黒の単色ベゼルのみだった。

 素人考えからすると、色の違う2枚のセラミックリングを使えば簡単なように感じるのだが、ロレックスは1枚のセラミックベゼルリング上で2色を再現することにこだわったため、当初それが技術的に難しかったことが理由のようである。

 そして5年の開発期間を経て多色成形に成功。最初のツートンベゼルとして2013年に登場したのがこの黒青ベゼル(愛好家の間ではバットマンの愛称で呼ばれる)だったのだ。それからさらに5年後の18年に、ステンレスモデルで黒青に続く二つ目のツートンベゼルタイプとして、青赤(こちらの愛称はペプシ)が新ムーヴメント、Cal.3285に変更されてリリースされた。

 しかもそれには、かつてスポーツモデルとしてはGMTマスターだけに採用された5列のジュビリーブレスをも復活させたことで大きな話題を呼んだ。そして今回は、この青赤タイプと同じ仕様が今回既存の黒青タイプにも採用されたというわけだ。つまりマイナーチェンジである。

5列リンクのジュビリーブレスレットは、1945 年登場のデイトジャスト用に作られたもので、スポーツモデルではGMTマスターIIだけが、かつて一時期だけ採用していた。今回のそれはデイトジャストからの転用ではなく独自に設計されたもの。コンシールドアタッチメントシステムにより、ブレスレットとケースとの接続部はつなぎ目がなく一体感のある外観を実現している

GMTマスターIIのジュビリーブレスレットには、ロレックスが特許を取得しているセーフティーキャッチ付オイスターロッククラスプがセットされている。 この2重ロックが誤まって外れるのを防いでくれる。また、クラスプ内側にはイージーリンク(エクステンションリンク)を備えており、これによってブレスレットの長さが簡単に約25mm 調節することができる

 さて、この新しい黒青ツートンベゼルは、すでに日本での流通が始まっている。現在(6月中旬)の並行輸入店での実勢価格はなんと230万円前後。ちなみに国内定価は税込みで95万400円。およそ2.5倍である。これにつられて2018年にすでにリリースされている青赤ツートンのRef.126710BLROも100万円台後半だったものが、この新作の流通と同時に一気に高騰。いまでは同じ実勢価格となってしまっている。残念ながら気軽に手が出せる状況にはない。

 また、今回生産終了となった黒の単色ベゼル、Ref.116710LNも今年の3月に110万円台だったものが、現在は160万円台と高騰した。

シードゥエラー イエロー ロレゾール

シードゥエラー初となる
ラグジュアリー仕様が登場

Ref.126603。YG×SS(43㎜径)。1220m防水。自動巻き(Cal.3235)。国内定価165万2400円(予価)

 シードウェラー4000に代わって2017年に新ムーヴメントを搭載したシードゥエラーが登場。6時位置に記載された英字のモデル名が赤にプリントされていたことから赤シードの復活として注目を浴びた。

 赤シードとは、1967年に誕生したシードゥエラーが初期のモデルにのみ採用されていたデザイン的な仕様(途中から白文字に変更)で、モデル名の英文字が赤にプリントされていたことから、愛好家の間で付けられた通称である。当時の赤シードはいまなおアンティーク市場において高額な価格で取引されており、いわば愛好家から一目置かれるディテールだったわけだ。

 そして今回発表されたのは、それの18金イエローゴールドとステンレススチールのコンビモデル(このコンビ仕様をロレックスではロレゾールと呼ぶ)だったため、驚いた人も多いのではないだろうか。

6時位置のモデル名“SEA-DWELLER”にはベゼルとブレスレットに使われた18金イエローゴールドに合わせて、赤ではなくゴールドカラーが採用された

 シードゥエラーはサブマリーナの上位機種であり、あくまでもプロ仕様として開発されてきた歴史がある。そのため50年以上もの間、基本的にはラインナップにバリエーションは存在せず常にステンレスモデル1型だけだった。それがよりによって初の派生モデルがラグジュアリー仕様とはかなり意外だった。

コスモグラフ デイトナ

ダイヤモンドを贅沢に配した
デイトナ特別バージョン

Ref.116588TBR。YG(40mm径)。100m防水。自動巻き(Cal.4130)。国内定価1061万6400円(予価)

 ロレックスは既存のスポーツ系コレクションのなかから1モデルをピックアップして、ゴージャスなジュエリーモデルへとブラッシュアップした、既存のラインナップには存在しないような特別なプレステージモデルの新作を毎年発表しているようだ。

 ちなみに2018 年に発表されたそれは、ベゼルとアワーマーカーに、レインボーカラーに並べられたサファイアをセットしたデイトナだった。そして今回はというと、一見するとデイトナとは思えないほど雰囲気が様変わりしたデザインに驚かされる。

ブラックラッカーとダイヤモンドによって一見するとそのデザインは、豹柄とも取れるような不思議な模様が施されており、これが全体の雰囲気を独特なものにしている

 タキメーターの代わりに、36 個のトラピーズカットダイヤモンドがベゼルにセットされ、文字盤には、ブラックラッカーとダイヤモンドによって豹柄模様のようにも見えるデザインが施され、独特の雰囲気を醸し出している。

デイデイト36

女性ユーザーを意識か
カラフル文字盤が登場

Ref.128238。YG(36mm径)。100m防水。自動巻き(Cal.3255)。国内定価356万4000円

 3時位置にデイト表示、12時位置にフルスペルのデイ表示を備えたデイデイトは、金無垢モデルのみがラインナップするロレックスのなかでもプレステージラインに位置付けられる。

 現在、メンズは36と40mmの2種類のサイズ展開があり、今回は36mmタイプの文字盤に新たなバリエーションが追加された。

 写真はそのひとつ18金イエローゴールドケースにグリーンのグラデーションカラーが美しい新デザインは、アワーマーカーの10カ所にも18金イエローゴールドの台座にセットされたダイヤモンドを備えている。

 この他にもブラウン(Ref.128235)のグラデーション文字盤も登場。ベゼルにダイヤをあしらったターコイズ文字盤(Ref.128348RBR)と同じくピンクオパール文字盤(Ref.128349RBR)、そしてアワーマーカーにレインボーカラーの10個のバゲットダイヤをあしらった極めてゴージャスなジュエリーモデル(Ref.128349RBR)もラインナップするなど、ユニセックスモデルとしてどちらかと言うと女性ユーザーを強く意識したラインナップとなった。

 ちなみにこの新作デイデイトは、現在、日本でも流通が始まっているようだ。

デイトジャスト36

ホワイトロレゾールにも
新ムーヴメントを搭載

Ref.126234。WGベゼル、SS(36㎜径)。100m防水。自動巻き(Cal.3235)。国内定価84万2400円(予価)

 新ムーヴメントのCal.3235がデイトジャストの36mmケースモデルに搭載されたのが2018年のこと。最初はイエローかエバーローズゴールドとのコンビモデルからだった。

 そして今回はホワイトゴールドとのコンビモデル(カタログ上はホワイトロレゾールと記載)に搭載されて発表となった。

 外装面の基本仕様はほとんど変わっていない。なお、ホワイトゴールドの場合はコンビと言ってもゴールド素材なのはベゼルとアワーマーカー、そして針のみ。ブレスレットの中央のコマはゴールドではなくステンレススチールである。

デイトジャスト31

31㎜モデルにも新たに
コンビモデルが登場

Ref.278273。YG×SS(31㎜径)。100m防水。自動巻き(Cal.2236)。

 フルゴールドケースにダイヤベゼルというプレステージの高いラインナップで2018年に登場したデイトジャスト31。19年の新作はそれとは一転、イエローとエバーローズゴールドの2種類のコンピモデルが登場するなど、意外にもスタンダードなものとなった。

 自動巻きムーヴメントにはシリコン製のシロキシ・ヘアスプリングを採用し、パラフレックスジョック・アブソーバーを装備するCal.2236を搭載する。デイトジャストのレディースモデルはこれのほかに17年からすでにCal.2236に変更された28mmサイズもある。

※この記事は公式情報をもとに構成した独自の記事です。

文◎菊地吉正(編集部)
写真◎Rolex(時計)、水橋崇行(ブースカット)

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